「こんばんは、藤枝かえでです…っていうか何、このコーナー?必要あるの?ってか何で事務室なわけ?――いいから続けろ?誰に向かって言ってるのよ?…ま、いいわ。疲れてるし、さっさと終わらせるわよ」
かえでが指を鳴らすと、ダイジェストが流れる。
「もう知ってるかと思うけど、私は帝国華撃団・副司令、藤枝あやめの妹。二人きりの姉妹だから、昔からとにかく比較されてばっかり。あやめ姉さんは容姿端麗、成績優秀、品行方正、おまけに誰からも好かれる本当に完璧な人間…。皆、姉さん姉さんって、私のことなんか眼中にないものね。でも、その嫉妬心故に負の心を持った私は刹那の術を受け入れ、姉さんを殺そうとしてしまったの。でも、大神一郎がそれを救ってくれた…。不思議ね、あの男と一緒にいたら、姉さんのことなんてどうでもよくなっちゃった。それに大神君を見てると、何だか私…。この気持ちは一体…?」
大神が入ってくる。ビビるかえで。
「あれ?あ、ダイジェストの最中だったんですか」
「〜〜なっ、何よ!?急に入ってくるから、びっくりしたじゃない…!」
「部屋の電球が切れちゃって…。どうぞ、自分に構わず続けて下さい」
電球を探す大神をちらちら見ながら続けるかえで。
「〜〜そ、それはともかく!刹那を撃退したと思ったら、今度は常磐まで甦ってしまったの。〜〜私の大切なお母様を殺した仇…。でも、突然の襲撃で神武がない私達は、悔しいことに手も足も出なかった…。その時、お、大神…君が私と姉さんの間を取り持ってくれて、神剣白羽鳥の封印を解くことができたの。しかもご丁寧に二本あったのよ?私と姉さんが力を合わせた途端、あんなすごい力が出るなんて思いもしなかったわ…」
「あの戦いはあなた達姉妹の絆のおかげで勝てたようなものですからね」
電球を持って微笑む大神。笑顔にくらっとなるかえで。
「〜〜邪魔しないでよ!今日の担当は私よ!?」
「え?あ、ちょっと…!」
大神を追い出し、後ろ手でドアを閉めるかえで。
「姉妹の絆…。それをわからせてくれたのは大神君なのよね…」
廊下から聞こえる大神とあやめの声。
「あ、あやめさん、電球ありましたよ」
「よかった…!――でも、私は明かりがなくてもよかったのにな…」
「あやめさん…。――続きは部屋でやりましょうか…」
「――!!〜〜あんのエロ姉貴め…!!」
警報。
「帝都タワーに降魔が出現!至急、作戦司令室に集合して下さい!」
「〜〜こ、こんな夜中に敵…!?まったく、私の助けがないと駄目みたいね。見てなさい、姉さん!今回もこの私が大活躍してやるんだから…!」