藤枝かえで誕生日記念・特別短編小説2012
「仲直りの魔法〜かえで編〜その7



「――以上で、今年度の帝国華撃団の収支決算報告を終わります。続きまして、大神一郎総司令より帝国華撃団の新兵器開発提案書について説明させて頂きます。――大神司令、よろしくお願い致します」

「帝国華撃団・司令の大神一郎です。今回、私から提案させて頂くのは2つ。まずは光武の蒸気バッテリーです。現在の光武稼働時間はおよそ2時間であり――」


いよいよ会議が始まったわ。司令の立場で出席するのは初めてだから緊張するけど、あやめ姉さんのサポートのお陰で今のところは順調よ。

一郎君の提案に皆さんも頷いてくれているわ。ふふっ、大変でも頑張った甲斐があるわね、一郎君!

「――以上で説明を終わらせて頂きます。ご意見・ご質問がおありの方は挙手をお願い…――」

「――はい!」


〜〜う…。山本大臣ったら言い終わってないうちから…。

「〜〜ど、どうぞ、山本文部大臣…?」

「新兵器の開発ですって?軍部縮小が叫ばれているこの世の中に矛盾した提案ではありませんか?」

「お言葉ですが、帝国華撃団は軍から独立した組織です。他国と戦争をする為ではなく、あくまで日本の治安維持を…」

「同じことですわ!帝国華撃団は日本の子供達のヒーローです!!憧れのヒーローが何でも暴力で解決していたら、子供達は真似をします!そういう子達が大人になったら暴力第一の危険思想に走りかねないのですよ!?正義のヒーローが平和的解決法を見出さなくてどうするのですか!?」

「降魔は人間ではありません。異形の化け物には言葉は通じず、説得は不可能です。なら、多少の制裁は仕方ないかと…」

「それはあなた方が努力を怠っているからです!降魔とは人の怨念が具現化した怪物なのでしょう?なら、多少なりとも心を持っているはずです!説得だって可能なはずですわ!!」


〜〜だったら、自分で説得してみろっていうのよ…。

〜〜ハァ…、この金切り声を聞いてるだけでノイローゼになりそうだわ…。帝撃にはこんなヒステリーな女上司がいなくてよかった…。

「確かに大臣のおっしゃりたいことはわかりますし、我々も理想としておりますわ。ですが、帝国華撃団はこれまで武力による制裁で何度も闇の組織の撃退に成功しています。今までの実績を見ても防衛方法を変えろとおっしゃりたいのですか?」

「全てを変える必要はありませんわ。時には平和的解決も必要だと申し上げたいまでです。行き過ぎた武力行使のせいで解散した欧州星組の二の舞になりたいのかしら?」

「〜〜花組はただ戦闘能力が高いだけだった星組とは違います!それに花組は山本大臣が声高に叫ばれている女性中心の部隊です。我々は女性も男性と同じように社会に貢献できるのだと身を持って証明しているのですよ!?」

「男性以上に厳しい入隊条件と実績が必要な軍隊と違い、帝国華撃団に所属する女性が男性と平等の条件に活躍の場を提供してもらえるという点は評価しますわ。でも、だからって女性を戦場に送り込む必要はあるのかしら?」

「――私も山本大臣の意見に賛成ですな」


横から入ってきた川島会長に山本大臣は苦々しく顔を歪めた。

「女がどんなに鍛えたところで、男と比べたら体力と筋力が劣るのは自然の原理…。なら、女性本来の力を発揮できる場は戦場ではないでしょう?」

「…ですが、光武を扱うには霊力が高くなければいけません。そうなれば、必然的に霊力が男性より高い女性が搭乗するより他は…」

「今のところは…ね。だが、霊力を必要せずとも操縦できる戦闘人型蒸気を開発中と伺ったもので…。聞くところによると、米田前司令がその戦闘人型蒸気を扱える人材を育成しようと学園を開校する準備を進めているみたいではありませんか。その部隊が登用できるようになれば、戦場に女性が立つ必要はなくなるでしょう?かよわい女性はもっと他の分野で活躍すればいい。…あぁ、それも厳しいか。教育を受けることも職に就くことも難しい今の世の中じゃ、女性で成功できるのは一握りですからねぇ。ここの男子トイレの数が女子トイレより多いことでもおわかりになるでしょうが…」

「〜〜川島会長、それは明らかに女性を差別した発言ですよ!?すぐに撤回して下さい!!」

「ハハハ…!おぉ、怖い。いやはや、山本大臣は女性の割に肝が据わっておられますなぁ。さすが暴力団の組長とお友達なだけはある」

「〜〜な…っ!?」

「山本大臣、それは本当かね…!?」

「〜〜そ、それは…」

「ハッハッハ!いえね、この前、山本大臣が森下組の組長からお金を借りるのを偶然見かけた者が知り合いにいるものですから。しかし、大臣と似た女性なんていくらでもいらっしゃいますからねぇ。まさか教育指導の顔ともいうべき文部大臣がそんな闇のお付き合いをするとは思えませんが」

「〜〜…っ」


〜〜何よ、それ…?仮にそういう噂があっても、今ここで言うこと!?これじゃイジメじゃない…!

「〜〜ちょ――っ!?」

川島会長に文句を言おうとした私をあやめ姉さんが首を横に振って制止した。

〜〜そうよね…。ここで会長に手をあげたら一郎君が悪くなっちゃうもの…。それに、援助金ももらえなくなっちゃうだろうし…。

「――静粛に!議題と関係のない話は控えるように!」

「おっと、これは失敬。いやはや、被害妄想が激しい女大臣を相手にするのも一苦労ですなぁ」

「〜〜な…!?今の発言は立派な名誉棄損ですわ!!裁判所に訴えますわよ!?」

「――静かに、山本大臣!!これ以上騒げば、退場して頂きますよ!?」

「〜〜申し訳ありません…」

「――くくっ、出た出た、山本節」

「――女のくせに偉そうに…」

「――くわばら、くわばら…」


……賢人機関の日本支部に女性が少ない理由がわかる気がするわ…。

〜〜いくら帝都を守る為とはいえ、こんなお偉い方の下で動いてると思うと嫌になってくるわね…!……けど、これが今の日本の現状なのよね…。21世紀になる頃には少しは女性の立場も向上してるかしら…?

「――では、大神君の案を支持する方は挙手をお願い致します」

……たくさんの人が賛同してくれて可決されたのはよかったけど、やっぱり後味悪いわね…。

帝撃を頭ごなしに非難してきた山本大臣にはイラッとしたけど、それぐらいタフな精神がなくちゃ男の中でやっていけないのかなって気の毒に思えてならなかったわ…。



「――そう…。山本大臣が川島会長から…ね…」

帰り道、私は蒸気自動車の後部座席であやめ姉さんに非常階段で見聞きしたことを全て話した。

「きっと、森下組との関係をネタに揺すられてたんだわ…。〜〜あの会長のことですもの、生意気な女大臣の失脚を狙ってるんでしょうよ…」

〜〜会議の参加者達も山本大臣が目の前で責められているのに皆、見ないふりして…。ひどい人では川島会長に便乗して文句を言って…!

「…女性の活躍って男性にしたら、そんなに不快なことなのかしら?」

「人によるんじゃないかしら?私達の仕事は霊力の高さ優先だから、どうしても女性中心になるでしょう?でも、世間ではそんな組織珍しいもの。私も帝撃を設立するまで散々心無い嫌味を言われたりしたわ…。それでも、最近では随分改善されてきたと思うわよ?山本大臣が発案した男女教育・雇用機会均等法も制定されたことですしね」

「あれって山本大臣が発案したものだったの?」

「えぇ、大臣に就任してすぐにね。そのことで余計に男の権力者達からの風当たりが強くなってるんじゃないかしら?」

「そんな立派な方が暴力団と繋がっているとも思えないけど…?」

「暴力団だって悪い人ばかりじゃないわ。ダンディ団みたいにね?」

「そうかもしれないけど…。――あ、そうだわ…!ダンディ団なら大臣と森下組のこと、何か知ってるんじゃないかしら?」」

「…そういうのは興味本位で首を突っ込むものじゃないわよ?」

「〜〜でも、あのまま川島に馬鹿にされっぱなしじゃ悔しいじゃない!私達が協力したら、山本大臣も見る目を変えてくれるかもしれないでしょ?」

「ふふ、それもそうね。劇場はまだ夜公演やってる最中だから、少し帰りが遅くなっても大丈夫よそうだし…」

「決まりね!――かすみ、カフェ・タイガーに向かってくれる?」

「了解しました」


ふふ、女を敵に回すとどれだけ怖ろしいか川島に思い知らせてやるわ!



帝都の繁華街にあるカフェ・タイガー。

一般客にも馴染のカフェだが、夜のVIPルームはその筋の者達のたまり場となっている。

「――いらっしゃいませ」

「VIPルームに通して頂けるかしら?」

「藤枝様、いつもご来店ありがとうございます。どうぞこちらへ…」


あやめ姉さんが会員証を見せると、店員が『特別室』と書かれたドアを開いて案内してくれた。

「よく会員証なんて持ってたわね?」

「このカフェのVIPルームは賢人機関に属している経済人の方々もよく使うのよ。米田さんが司令の時は私もよくお酒のお付き合いをしてたわ」

「そうなの?私は呼ばれたことなかったけど…?」

「ふふっ、うわばみのかえでをお偉い方の前に出せるわけないでしょ?」


〜〜うっ、言い返せないのが辛いわ…。

「――どうぞお入り下さいませ」

「ありがとう」


ここがVIPルームね。初めて来たけど、裏社会の匂いがプンプンするわ…。

「ヒュ〜♪お姉さ〜ん、こっち来てお酌してくれよ〜」

「俺達と遊ばな〜い?」


〜〜あやめ姉さんったら早速ナンパされてるわ…。とっても迷惑そう…。

「…ゴホン!」

私は一郎君の振りをして、あやめ姉さんの肩を抱き寄せ、仲の良さをアピールした。

「ちっ、男連れかよ…」

「ふふっ、ありがとう」

「こういう時、男の姿だと便利よね♪」

「――おや?大神さんにあやめさんじゃないですか!」


あっ、常連のダンディ団がいたわ!

「こんばんは、ダンディボスさん」

「こんな所で会うなんて珍しいですねぇ。もしかして俺達に会いに来てくれたんですかい?」

「えぇ、実はボスにお伺いしたいことが…」

「――あら、可愛い坊やだこと♪耕助ちゃんのお友達?」

「おう、大神一郎さんだ。こう見えて、あの大帝国劇場の支配人なんだよ」

「きゃ!すっご〜い♪」

「紹介します。カフェ・タイガーの店長・エリちゃんです」

「んふふ、よろしくねぇ〜♪」


〜〜服装も化粧もケバいわねぇ…。いかにも水商売の人って感だわ…。

「〜〜あ〜、負けた負けたぁ〜っ!所持金全部スっちまいましたよ、兄貴ぃ〜」

「だから、ギャンブルなんてやめとけって言ったんだ!」

「あら、西村さんに武田さんも」

「おっ!お二人ともお久し振りです」

「〜〜もぎり!ちょうどいいところに…!!頼むから5円貸してくれないか…!?な!?」

「…嫌です!それに自分、もうもぎりじゃありませんから」

「〜〜な…っ!?おいおい、今日はやけにはっきりしてんな〜!?昔から可愛がってやってんのに恩知らずな奴〜!」

「武田、みっともねぇ真似するな!――ほら、これで来月まで飢えはしのげるだろ?」

「おぉっ、10円札…!!さっすが兄貴!ありがとうございやす!!」

「利子は3倍だからな♪来月までに全額返せよ?」

「〜〜えっ!?」

「ふふっ、さっすが耕助ちゃん♪羽振りが良いわねぇ」

「ははっ、エリちゃんの為にドンペリもう一本追加しちゃおうかな〜♪」

「あ〜ん、耕助ちゃん好き好き〜っ♪」


羽振りが良いダンディボスの周りに女達が群がってるわ。〜〜いくらお金の為とはいえ、私は好きでもない男に甘えるなんてできないけどね…。

「――お兄さんも何か飲む?初めてのお客さんはサービスするわよ♪」

「…それって無料で飲み放題とか?」

「そ!ドンペリは別だけどね♪」

「〜〜一郎君っ!ここへ来た目的、忘れてないわよね?」


〜〜あ…、ほほほ…。私ったらお酒を前にしてつい…。

「――それで、俺に聞きたいことって何でしょう?」

「えぇ、山本文部大臣はよくこのお店に?」

「山本大臣ですか?さぁ…?俺は会ったことありませんが…」

「……山本美恵子なら、この前来たわよ?」

「本当ですか、エリさん…!?」

「彼女、森下組の組長と親交があると伺ったのですが、ここでお会いしてたのかしら?」

「…えぇ、組長からお金を借りていたみたいね。大臣が暴力団と金で繋がっているなんて表沙汰になったら、大変なことになるんでしょうけど…」

「〜〜会長が言っていたことは本当だったのね…。でも、どうしてお金なんか…?」

「大臣なんて相当なお給料をもらえてるはずなのにね…?」

「…あなた達、どうしてそんなこと調べてるの?」

「あ…、〜〜そういう噂を耳にしたもので、つい気になって…」

「ふぅん…。…もっと詳しい話、聞きたい?」

「えぇ、ご存知なら是非…!」

「――それじゃ、お姉さんと飲み比べで勝負しない?あなたが勝ったら、森下組の組長と会わせてあげるわ♪」

「組長、今日、この店にいらっしゃってるんですか!?」

「えぇ♪…さぁ、どうする?」

「〜〜飲み比べだって…!?体の水分がほぼ酒でできているという都市伝説を持つあのエリさんと…!?」

「〜〜もぎりって、酒めちゃめちゃ弱くなかったッスか…!?絶対、勝ち目ありませんって!」

「……いや、大神さんの酒を見据えるあの瞳…、いつもと違うぜ。俺達・外野はおとなしく見守るとしようや」

「…本当にその勝負方法でよろしいんですね?」

「フフ、お姉さんにはったりかまそうったってムダムダ♪あなた見るからにお酒弱そうだもの」


ふふっ、本当にはったりかしらねぇ?

「〜〜ほどほどにしておきなさいね?」

「ふふっ、手加減してあげるわよ♪」


――そして、1時間後…。

「――53杯〜!――54杯〜!」

「んふふっ、このウィスキー美味し〜い♪――お兄さ〜ん、どんどん持ってきて〜♪」

「〜〜うっぷ…、もう…ギブアップぅ…」

「ふふ、だから言ったのに♪カフェ・タイガーの店長ともあろう者が口ほどにもありませんねぇ。おっほほほほ…!」

「〜〜お、大神さんの圧勝…!?なんちゅう番狂わせだ…!?」

「さすがは大神さんだ!酒豪の米田さんの後を継いで支配人になっただけはある!」

「〜〜ウィスキー50杯って…、化け物だろ…?」


ホホホ…!大和撫子組兼酔っ払い組の私をナメてもらっちゃ困るわよ!

「〜〜この私が負けるなんて初めてだわ…。ふふ、意外に男らしいのね♪」

「…約束です。森下組の組長を紹介して頂けますよね?」

「もちろん♪」

「どこの席にいらっしゃるか案内して頂けますか?」

「――こ・こ。ずっと目の前にいるじゃない♪」

「えっ?森下組の組長ってエリさんだったんですか…!?」

「あら、女が組長やってちゃおかしい?」

「そ、そういうわけじゃ…」

「では、この店は…?」

「趣味よ。友達と楽しく飲むのが好きなだけ♪」

「なら、話が早いです。自分が口を挟むことではないかもしれませんが、これ以上山本大臣と交流するのを控えて頂きたいのです。そのことで川島会長から揺すられていて…」

「…なるほどなぁ。川島会長は以前、山本大臣と同じ選挙区から立候補して落選したんですよ。それ以来、自分を差し置いて当選した山本大臣を目の仇にしているみたいで…」

「…腹いせにスキャンダルでも暴こうと探偵でも雇って張らせていたんでしょうね」

「けど、私は昔のよしみでお金を貸してやったまでよ?美恵子とは女学校の時からの友人でね…、あの子、女学校時代は目立つのが好きじゃない子だったのに政治家になって随分変わったわ。いつも憎まれ口きく以外は黙ってるようなおとなしい子だったんだから…」


へぇ、あの山本大臣がねぇ…。

「でも、大臣はどうしてお金に困ってらっしゃるのかしら?文部大臣ですもの、娘さんの受験費用くらい簡単に…」

「秘書が横領した金を工面する為よ。あの子の前の秘書、旦那の暴力に悩んでてね…、夜逃げするお金が必要だったみたい。けど、あの子ったら怒るどころか、さらにお金を渡して励ましてやってね…。そういうお人好しなところは学生時代と変わってないな…」

「そうだったんですか…」

「〜〜昔は困ったことがあったら、すぐ私を頼ってくる子だったのに…。最近は世間体を気にして、すっかりよそよそしくなっちゃったのよね」

「でも、暴力団の組長とはいえ、学生時代の友人なら問題ないのでは?」

「たとえそうでも、他の政治家が事実をもみ消すでしょうよ。マスコミもあることないこと書いて面白おかしく騒ぎ立てるでしょうし、その報道を鵜呑みにした国民は反発する…。そうでなくても山本大臣は敵が多いことで有名ですからねぇ。皆、ここぞとばかりに非難にかかるでしょうよ…」

「政治家は一回のスキャンダルが命取りになるもの…。大臣を辞任した挙句に次の選挙に落ちたりでもしたら、政治家生命は終わりでしょうしね…」

「再就職するにもあの歳の女性では厳しいでしょうし、娘さんが進学したら学費がかかるようになりますし…」

「ねぇ、旦那様はいらっしゃらないの?」

「悪い男に引っかかって、何年か前に別れたと聞きやしたぜ?そもそも政治家になったのは愛人を作って逃げた旦那を見返す為だとか…」

「〜〜そうだったんですか…」


……気の毒な話だわ…。山本大臣が男不信になったのもわかる気がするわね…。

〜〜それにしても川島会長ったら、女性差別だけじゃなくて、人の弱みにつけ込む真似までしてくれて…!そんな悪事、帝国華撃団の女副司令として放っとくわけにはいかないわね!

「力になりたいと思って近づいた私が浅はかだったのよね…。そのせいであの子の立場が悪くなるなら、もう交流はやめにする。〜〜ちょっと寂しいけどね…」

「エリさん…」

「あの子はやり手の大臣、私は世間から怖れられる組長…。女学校の頃とは違うんですものね…。――ふふっ、湿っぽくなっちゃったから飲み直しましょ?お詫びに今夜は私がぜ〜んぶ奢っちゃう♪」

「おっ、さっすがエリちゃん!気前がいいね〜♪」

「いいですね〜!朝までじゃんっじゃん飲みましょ〜♪」

「〜〜一郎君っ!もう帰るわよ!?遅くなったら皆、心配するでしょう?」

「え〜?せっかく飲み放題なのに〜」

「〜〜大神さん、まだ飲む気なんですかい…?」

「――ハァハァハァ…、組長、大変ですっ!!」


そこへ、森下組の舎弟が息を切らしてエリさんに駆け寄ってきた!

「…騒々しいわねぇ。どうしたの?」

「〜〜うちの舎弟が川島会長に買収されて、美恵子さんを誘拐しちまったようでして…!!」

「〜〜何ですって…!?」


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