藤枝かえで誕生日記念・特別短編小説2012
「仲直りの魔法〜かえで編〜その4



「――そう…。一晩のうちにそんな出来事が起こっていたとはね…」

階段を上りながら、私は一郎君とあやめ姉さんからこれまでのいきさつを説明してもらった。

精霊に大樹に魔法使い…。まるで西洋のおとぎ話ね…。だけど今、現実にこの帝都で…、一郎君を取り巻いて存在しているのよね…。

「じゃあ、前に一郎君が子供の姿になったのも、アモスが悪い魔法使い君から一郎君を隠す為だったのかしら…?」

「そう考えると、つじつまが合うわね。今回も呪いを解くには藤枝の巫女の力が必要と知ってたから、妹巫女のかえでの魂を一郎君の肉体に移し替えたんだわ…。エリカが言っていた仮面の呪いなんていうのは、誰かが流したデマだったのね」

「〜〜ハァ…、しかし、何でよりによって会議の日に…」

「ふふっ、一郎君が休んだ方がうまくいくってことなんじゃないかしら?」

「〜〜あやめさん…、その冗談笑えませんから…」

「〜〜んもう!仕事と自分の命、どっちが大事なのよ…!?あなたは、わけのわからない魔術師からまだ命を狙われてるのよ!?」

「ですが、そのせいで業務に支障が出るなんて悔しいじゃないですか…!」

「〜〜私達・姉妹はあなたが心配なのよ…。一郎君にもしものことがあったら私と姉さんは…。少しは家族のことも考えてよ…っ!」

「かえでさん…」


〜〜やだわ…、私ったら子供みたい…。冷静沈着なあやめ姉さんと違って、すぐ感情的になっちゃうんだから…。本当は姉さんみたいに優しく励ましてあげたいけど、また煙たがられるに決まってるものね…。

でも、これは私のれっきとした意見ですもの!一郎君がいくら否定しようが、意地でも曲げてやるつもりはないんだから…!

「――あっ!声がすると思ったら、やっぱり父さん達だ〜!」

すると、誠一郎が蒸気携帯ゲームをやりながら部屋から元気な顔を出した。

「誠一郎…!〜〜どうして起きてくるの…!?まだ寝てなきゃ駄目でしょう!?」

「〜〜ごめんなさぁい。なでしこもひまわりもまだ寝てるし、一人だとつまんなくて…」

「もう具合の方は良いのか?」

「うん!母さんとあやめおばちゃんが看病してくれたお陰だよ」

「そうか、よかった…!」

「熱が上がったのは霊力を使っただけじゃなくて、パリシィに取り憑かれたせいもあったみたいね…」


〜〜まだ子供なのに、悪霊を惹きつけてしまう程の霊力を持ってるなんてね…。

でも、体調が良くなってよかったわ…!顔もさっぱりして、熱にうなされてたのが嘘みたい…。

「また風邪がひどくなると大変だから、今日はお部屋でおとなしくしてなさい!いいわね!?」

「……今日の父さんと母さん…、なんか変…」

「え?〜〜へ、変って…!?」

「喋り方も変だけど、ちょっとよそよそしいというか…。……喧嘩でもしたの…?」


〜〜ギクッ!!

「えっ!?〜〜そ、そんなことないわよ…じゃなかった!そ、そんなことあるもんか〜!!父さんと母さんはいつでも仲良しこよしだぞ〜!!」

「〜〜そ、そうよ〜、誠一郎!熱っぽさがまだ抜けないんじゃなぁい?」

「そうなのかなぁ…?えへへっ、でも、仲良しならいいや!」


〜〜ハァ…、子供は親の微妙な空気に敏感って言うのは本当みたいね…。

「ねーねー父さん、今日会議なんでしょ?帰ってきたら、一緒に母さんのお誕生日お祝いしてあげようね!」

「誠一郎…」「誠一郎…」


〜〜そうよね…。親が喧嘩して一番悲しむのは子供ですもの…。両親の身勝手のせいで悲しい思いをさせるのは可哀想だわ…。

早く一郎君と仲直りしたいけど、なかなかタイミングが掴めないし…。でも、何も悪くないのに私から謝るのもシャクだわ…。けど、一郎君も私に似て頑固なところがあるから、私が謝るのを待ってるかもしれないし…。

そんな考えを頭で巡らせていると、一郎君は私になりきっているのかニコッと微笑むと少し屈んで、誠一郎の頭を優しく撫でてやった。

「――大丈夫よ。お父さんはお仕事でいっぱいいっぱいになって、大好きなお母さんのお誕生日すら忘れてしまう間抜けな人だけど、今日はお母さんの為にいっぱいお祝いしてあげたいって思ってるに違いないわ…」

「一郎君…」


子供の前だから格好つけてるの…?それとも、誠一郎を悲しませたくないから調子いいこと言ってるの…?

「フフ、――そうでしょう、一郎君?」

――ふふっ、ううん、一郎君は誠実な人ですもの。その場しのぎの嘘や口からでまかせを言えるような人じゃないのは私と姉さんが一番わかってるわ。さっきの言葉は本心って受け取ってもいいのよね…?

誠一郎は私の返事が待ち遠しいみたいで、大きな瞳をキラキラさせて見上げてくる。

ふふ、心配しなくても大丈夫よ。私の気持ちはお父さんと一緒だから…。

「――あぁ、母さんの言う通りだよ。帰ってきたら、父さんと一緒にお祝いしような!」

「わ〜いっ!約束だよ、父さん♪」

「あぁ、男同士の約束だ!」

「ふふっ、よかったわねぇ、誠一郎君」

「うんっ!――父さん、あやめおばちゃん、お仕事、頑張ってきてね!僕、良い子にして母さんと待ってるから!」

「あぁ、ありがとう、誠一郎…」


ふふっ、誠一郎の為にも早く一郎君と仲直りして、最高の誕生日会にしないとね…!



会議が始まるまで時間があるので、一郎君とあやめ姉さんと私は天雲神社に向かった。

一郎君が書庫でアモスと悪い魔法使い君に関する隼人の文献を調べている間、私と姉さんはアモスを封じていた祠で彼の足取りを調査することになった。

「――ほぉ〜…。お前さん、本当にあのかえでかえ…?」

先巫女のおばあ様は腕組みしながら、一郎君の姿の私を360度、靴からツンツンヘアーまで疑い半分、面白半分でじ〜っくり観察してくる…。

「〜〜仮に嘘だとして、おばあ様を騙して何になるのよ?」

「今、蒸気テレビジョンでやっとるじゃろう?『スタァドッキリマル秘発掘』とかいう『ばらえてぇ番組』で素人をドッキリにかけるコーナーが!」

「〜〜何で藤枝家の秘密を喋ってまで番組に出なきゃなんないのよっ!?」

「ふふっ、こう見えて、おばあ様は蒸気テレビジョンっ子ですものね」

「フン、年寄りの楽しみはそれぐらいしかないからのぅ。――あ、そういえばなぁ、この前、ご近所の佐々木さんが『コメスケの突撃隣の夕ご飯』に出たんじゃよ!」

「まぁ、佐々木のおじ様が?無愛想な方なのによくOKしましたわねぇ」

「孫娘がコメスケを歓迎したんじゃよ!あの頑固じじいも孫にはデレデレじゃからのぅ♪ふぉふぉふぉ…!」

「〜〜今はコメスケなんてどうでもいいのよっ!!――姉さんもいちいち年寄りの話に合わせる必要ないわよ…!」

「だって、けなしちゃ悪いでしょ?珍しくニコニコして話してるのに…」

「…聞こえとるぞ、お前さん達?」

「〜〜あ…。お…おほほほほ…」

「〜〜ごめんなさい、急いでるもので…」

「…うおっほん!生意気な物言いを聞く限り、お前さんがかえでで間違いなさそうじゃが、わしは自分の目で確かめるまで信じない性格でのぅ。実際にそこの祠の守り石に霊力を注いでみろ」

「わかったわ」


私はアモスを封じていた祠の前で肩幅に足を開き、指を組むと、白く輝く霊力を全身から放った。すると、霊力は祠に祀られている赤い守り石に吸い込まれていき、藤堂の霊力を感知した守り石は祠に命令し、扉をゆっくりと開けた…!

「…これで信じてくれる?」

「…フム、確かに藤堂の霊力を感じたわい。〜〜ハァ…、大野ヤスシに会えなくてガッカリじゃ…」

「〜〜だから、ドッキリじゃないって言ってるでしょう!?いい歳してミーハーなんだから…」

「…じゃが、肉体と霊魂を入れ替える術のぅ。なんとも怖ろしい術じゃ…。日本に伝来すれば反魂の術同様、禁忌として扱われるじゃろうな」

「そうですね…。そうなれば、なりすましの犯罪が増加し、上層部と入れ替わって国家転覆も可能になる。治安の悪化は避けられないでしょう…」

「強大だけど危険な力…。精霊術は破邪の力と同じように両刃の剣というわけね。そして、同じような威力を持つ魔術もまた…」

「――かすかだけど、祠にアモスの霊力が残っているわ…。どことなく一郎君の霊力と似ているような気がするけど…?」

「フム…、これは隼人の霊力みたいじゃな」

「じゃあ、アモスは隼人の人間ってこと…!?」

「でも、彼の顔は日本人離れしていて、どちらかというと欧米人みたいだったわ。自分でもオーク巨樹からできた仮面の小精霊って名乗っていたし…」

「わしは欧米諸国の事情も『ふぁんたじぃ』なんてもんも知らんが、その精霊が隼人の現当主・大神一郎と同じ霊力の波動を持っているのは間違いないじゃろう」

「そういえば、ヴァレリーがアモスの前世がどうとかって言ってたわね…。なら、アモスの前世は日本人で隼人の人間だったのかしら…?でも、だとしたら、どうパリシィと関係が…?」

「ここであーだこーだ憶測を並べるより、アモスに直接聞いた方が早いわよ。会議が始まるまで、もう時間ないんだし…」

「そうね。彼が残していった霊力を辿れば居場所がわかるはずよ…!」

「〜〜うーん…。でも、霊力反応が薄すぎるわね…」

「解放してから半日以上経ってしまったものね…。〜〜今からじゃ、夢組に応援を頼む時間もなさそうだし…」

「ふぉふぉふぉ…!まだまだ修行が足りんのぅ、若いの♪」

「〜〜ムッ!偉そうに言うなら、やってみせてよ!」

「ハン、年寄りに頼るとは情けない巫女姉妹じゃのぅ〜♪」


〜〜ムカつくぅ〜っ!体が入れ替わってなければ、もっとうまく霊力を操れるのに〜!!

「――では、おばあ様。もし手伝って下さったら、石原裕四郎さんのサインをもらってきて差し上げますわ」

「――!それはまことか…!?」

「えぇ。今度、『銀座の愛の物語』という活動写真で、すみれと共演することになったんです。私は付き添いで撮影現場へ行くことになってますの」

「おぉ〜!あのユウちゃんのサインか…!!……コホン…。――大林旭のサインもつけてくれるかえ?」

「えぇ、もちろん♪」


ふふっ、さすが世界のあちこちから花組をスカウトしてきたあやめ姉さんね!見事な交渉術だわ!

「フッ、このような妙技はわしのようなベテランにしかできんからのぅ。お前さんらは自然界の霊力の侵入を阻止しとるんじゃぞ?」

「了解!」「了解!」


おばあ様は祠に手を伸ばすと、目を閉じて静かに霊力を発動させた。

「――まずは藤堂と隼人の霊力を見極めることが大切じゃ。そして、藤堂の霊力を消去法で排除し、隼人の霊力を凝結させれば…!」

おばあ様が集中しながら指を組み直すと、祠の中に金色に光る蛍のような光の玉が浮かび上がった…!

「これが隼人の霊力を具現化させたものなのね…!」

「フフ、ざっとこんなもんじゃ。――さーて、道案内してもらおうかのぅ」


おばあ様が光の玉を祠から解放すると、光の玉は打ち上げ花火のように空に向かい、上空で破裂して消滅してしまった…!

「消えた…!?」

「〜〜一体どういうこと…!?」

「……道が途切れたということは、『あもす』とかいう精霊はもうこの世にはおらんのじゃろ」

「この世にはって…!〜〜まさか死んだってこと…!?」

「…そう一概には言えんよ。何者かに異次元に飛ばされ、さまよっとるだけかもしれんしのぅ…」

「異次元ですって…!?もしかして、パリシィ墓場にいるのかしら…?」

「でも、私達は精霊術も魔術も使えないのよ?どうやって迎えに行けばいいのよ…!?」

「そうね…。それに、もっと別の次元にいるのかもしれないし…。アモスがこの世界に戻ってくるまで接触は不可能でしょうね…」

「〜〜じゃあ、それまで私と一郎君はこのままってこと…!?」

「……残念だけど、仕方ないわ…」

「〜〜そんなぁ…。がっくし…」

「フフ、老いぼれの出番はここまでじゃ。あとは現役のお前さんらでなんとかするんじゃのぅ」

「そうですね…。ご協力ありがとうございました」


〜〜ハァ…、落ち込んでる暇はないわよね…。早く一郎君と合流して、今日の対策を練らなくちゃ…!

「――あら…?」

祠の中に一円札が…。きっと参拝者のお布施ね。おばあ様に渡しておかないと…!

「おばあ様、祠にお布施が――!」

――ゴゴゴゴ…!

――!!〜〜な、何…!?一円札を取ろうと守り石にちょっと触れたら、石が赤く光って暴走を始めたわ…!?

「かえで、何をしたの…!?」

「〜〜な、何もしてないわよ…っ!私はただお布施を――!?」


〜〜痛…っ!急に頭が…!!

「かえで…!?〜〜う…っ!」

頭痛がひどくなるにつれて、私の頭の中に映像が流れ込んでくる…!

――この街並みは…銀座だわ…。蝶の看板にフランス語の文字…。『papillon』…?もしかして、由里達が手鏡を買ってくれたアンティークショップかしら…!?

「〜〜いかん…!祠から離れるのじゃ…!!」

「――ハ…ッ!?」


祠を開閉する鍵の役目をしている守り石が暴走し、侵入者除けの赤い光線が私に向かって放たれた…!!

「きゃああああああっ!!」

「〜〜かえで…!!」


あやめ姉さんは私をかばって前に出ると、暴走を止めようと守り石に手を伸ばして藤堂の霊力を注いでいく!

「〜〜ど…、どうなってるの…!?」

「守り石に負荷がかかりすぎたんじゃ…!早く鎮めんと神社ごと吹き飛ぶぞい!?」


〜〜そんな…!?でも、どうすればいいの…!?

「きゃああああ――っ!!」

「〜〜姉さん…っ!!」


止まらない防衛システムにあやめ姉さんは赤い光線に倒れてしまった…!〜〜守り石が反発して、藤堂の霊力を受け入れない…!?どうして…!?

「〜〜ぬぅ…、これ以上、近づけんわい…。――かえで!お前がやるのじゃ…!!」

「〜〜無理よ…!姉さんでもできなかったのに…」

「今のお前さんは大神一郎の肉体におる!隼人と藤堂二つの霊力を守り石にぶつけるのじゃ…!!」


〜〜く…っ、ためらっていても仕方ないか…。ここは藤枝の巫女の名に賭けて、やるしかないわね…!

私はあやめ姉さんを抱きしめて守りながら祠に手を伸ばし、ありったけの霊力を守り石に注いだ…!!

「はああああああああっ!!」

――何なの、この力…!?とても神聖な…だけど、とても強くて怖ろしい力…。これが隼人と藤堂の霊力をミックスさせた力だというの…!?

〜〜怖いわ…。こんなの私一人じゃとても…――!

――パシッ!

「儀式を手伝ってくれたお礼よ。今度は姉さんが手伝うわ…!」

「あやめ姉さん…!」


手を強く握って励ましてくれたあやめ姉さんの手を私も強く握り返し、波長を合わせて、姉妹の霊力を守り石に注ぎ込んだ!!

すると、私達の思いが通じたのか、守り石は粉々に砕け散り、ようやく暴走が収まった…!

「よくやったわ、かえで!」

「ふふっ、姉さんがサポートしてくれたお陰よ」


だが、安心したのも束の間で、一度発動した私のミックス霊力は言うことを聞かず、今度は私の力が暴走し出した!

「え…っ!?〜〜きゃああああっ!!」

「〜〜かえでぇ…っ!!」


コントロールを失った私の霊力波が庭の池に放たれると、中の水は吹き飛び、鯉は皆、ピチピチと縁石に打ち上げられた…!

「ハァハァハァ…、〜〜はぁ…、止まったぁ…」

「大丈夫…!?」

「〜〜何とかね…」

「――ダイヤモンドよりも固い守り石を粉々にするとはのぅ…」


おばあ様は守り石の欠片をつまんだけど、少し圧力がかかっただけで欠片は砂になって、ボロボロと崩れてしまった。

「……なでしこ達が祠の封印を解放した後じゃと思うんじゃが、すでに守り石にひびが入っておってのぅ…」

「きっと、隼人と藤堂の力が混在した未知の霊力に過剰に反応したのね…」

「その状態で巫女の力を使ったばかりの私が一郎君の体で触れてしまったから、とどめになったってことね…」

「そのようじゃな…。隼人と藤堂…両家の破邪の血を引くあのイタズラっ子どもは、わしの想像をはるかに超える霊力を持っとるようじゃ。フフ、これで天雲神社もしばらくは安泰じゃな♪」

「でも、あの子達はまだ子供です…!〜〜今日みたいに霊力を狙われて襲われでもしたら…」

「大人になって巫女を継ぐ時が来るまで、私達で守ってやらないとね…!」

「――フ…ッ」

「…?どうかした?」

「フフ、いや…。お前さん達を見とると、ぼたんともみじを思い出してな」

「え…?」

「藤枝家の数奇な運命で短い一生を終えた二人じゃが、もみじが悪魔の子として覚醒するまでは、お前さん達のように仲の良い姉妹じゃったからのぅ…。……いくら藤枝家の為とはいえ、二人のささやかな幸せをわしは壊してしまった…」

「おばあ様…。〜〜あれは懸命な判断だったんですわ…」

「安心して。お母様ともみじ叔母様の分まで私と姉さんが藤枝家と帝都の平和を守っていくから」

「フフ、大神一郎を巡ってすぐ喧嘩するのが玉にキズじゃがのぅ」

「〜〜そ、それは…」

「〜〜姉妹である前に女同士ですもの!色々あるのよ…」

「フフ、喧嘩するほど仲が良い…か。これからも夫婦3人仲良くするんじゃぞ?」


――『喧嘩するほど仲が良い』…。フフ、そうかもね。士官学校を卒業したばかりの頃は姉さんとは連絡を取る度に喧嘩してたし…。でも、今の私達は…。

ふふっ、一郎君とも今回の喧嘩で、もっと絆を深められていたらいいな…♪

「――さ〜て、ひと段落ついたところで、わしは『笑ってええとも』の増刊号でも見るとしようかのぅ♪金曜日にユウちゃんが出たんじゃ!蒸気ビデオデッキに録画しておかなくてはのぅ♪――おぉ、そうじゃった…!サイン、くれぐれも忘れるでないぞ〜い!?」

「ふふっ、えぇ」

「〜〜ハァ…、呑気にテレビ観てられて羨ましいわね…。――それにしても、さっきの映像は何だったのかしら…?」

「映像…?もしかして、銀座の街並みと『papillon』が映った…!?」

「そう、それよ!姉さんも見たの…!?」

「えぇ。――やっぱり、かすみ達に手鏡を売りつけたあの店が怪しいわね…。会議に行く前に偵察していきましょう」

「了解よ!じゃあ、書庫に行って、一郎君と合流しましょうか」

「そうね…!」


調査開始から1時間が経過したけど、一郎君、何かわかったかしら…?

〜〜何だか胸騒ぎがするわ…。急いで書庫に行ってみましょう…!


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