藤枝かえで誕生日記念・特別短編小説2012
「仲直りの魔法〜かえで編〜」その1
「――うふん、これなんてどうかしら?」
「とってもお似合いですよ〜、お客様!」
「あら、そう?ほほほっ♪」
私・藤枝かえでは今、銀座中央通りにある洋服専門店でハイカラな下着を品定めしている。
今は下着もお洒落で可愛い物がたくさんあるのねぇ!本当はデート用に洋服を買いに来たんだけど、下着も買っていこうかしら?ほら、下着は下着でも、勝負下着ってやつ?
明日は私がこの世に生を受けた特別な日ですもの。一郎君が喜ぶようなものを選ばないとね♪ふふふっ!
「う〜ん…。でも、ちょっとデザインが奇抜すぎやしない?」
「そちらは紐育五番街店より仕入れました当店限定の商品です。アメリカの名女優・ラチェット・アルタイル様にもご愛用頂いているブランド物でございます!」
へぇ、新次郎君ってこういうデザインのが好きなのね。ちょっと意外…。
なら、叔父さんの一郎君もこういう派手めな方が好きなのかしら?〜〜う〜ん、でも、危ない橋を渡って誕生日の夜にドン引きされるのもねぇ…。
「でも、主人は派手なのより色っぽ可愛いのが好きなのよね…」
「でしたら、こちらはいかがでしょう?巴里のシャンゼリゼ通り店より仕入れました限定商品でございます!」
「まぁ〜、リボンが紐みたいにほどけるようになってるのね!ふふ、デザインも色も秋物でお洒落だし…。奮発して、これに決めちゃおうかしら♪」
「ありがとうございます〜!」
うふふっ!この王道系デザインなら一郎君も…♪
『――かえでさん、今夜の為に下着を新調してくれたんですね』
『えぇ、一郎君の喜ぶ顔が見たくて…♪』
『俺の好みをわかってくれてて嬉しいな…。――ハッピーバースデー、かえでさん…♪』
『ああ〜ん!激しくしたら、せっかくの下着が破れちゃう〜♪』
…な〜んてね♪うふふふっ、いや〜ん!カンナとジェミニの妄想癖がうつったのかしら♪
あぁ、早く明日にならないかしら?今年の誕生日も一郎君と甘いひとときを過ごしちゃおっと…♪
「――母さ〜ん、まだぁ…?」
「あん、もうちょっと待っててね〜、誠一郎♪」
「お客様、こちらのデザインもいかがでしょうか?当店の売り上げベスト3に入る人気商品でございます!」
「いや〜ん、そっちも素敵〜♪」
試着室のカーテンから笑顔を覗かせ、すぐに引っ込ませた私になでしこと誠一郎はため息をついた。
「〜〜もう1時間はいるわよね…?」
「僕、飽きてきちゃったよ…。〜〜けほっ、けほっ…!」
「大丈夫、誠一郎…?やっぱり、部屋で寝てた方がよかったんじゃない?」
「これくらい平気だよ。僕、母さんとお買い物行くの、楽しみにしてたんだもん!」
「でも、心配だわ…。夕方から寒くなるってラジヲでも言ってたし…」
「――ね〜ね〜、こっちに面白いパンツ見つけたよ〜!」
「あっ!〜〜んもう、勝手に離れちゃいけないって言われてるのに、ひまわりったら…」
「〜〜ひまわりは退屈ってものを知らないよね…」
「ほらほら、あのパンツの柄、面白いよね〜!」
「それはパブロ・ピカソとのコラボ商品なんですって」
「ぱぶろぴかそ?」
「巴里で活動している新進気鋭の画家さんよ。すみれお姉ちゃんのおうちがパトロンになってるんですって」
「しんしんきえー?ぱとろん?」
「〜〜えっと…、だから、すみれお姉ちゃんのおうちが応援するぐらい、すごい絵描きさんってことよ!」
「ふ〜ん。『ぱぶろぴかそ』の絵、ひまわりにも描けそうだけどなぁ…」
「こっちのパンツも…なんていうか…すごいね…。〜〜その…布っていうか…ほとんど紐だし…。女の人はこんなの履いて寒くないのかな…?」
「『勝負下着用に』って説明が書いてあるから、いつも身につけるものじゃないと思うわよ?」
「『しょーぶしたぎ』って?」
「えっ!?〜〜そ、それは…」
「う〜ん、履くと喧嘩が強くなる下着のことかなぁ?――あ、だから母さんは真剣に選んでるんだね、帝都の平和を守る為に!」
「格好良い〜!!ひまわりも『しょーぶしたぎ』欲し〜い!!」
「〜〜ひっ、ひまわり!そういうことを大声で言わないの!!」
「だって、履くだけで強くなるなんて、すっごいじゃ〜ん!!ひまわりも『しょーぶしたぎ』つけて、悪い奴やっつける〜!!」
「僕も〜!」
「〜〜あのね、勝負下着っていうのは喧嘩が強くなる下着じゃなくて…」
「――あっ!あっちに子供サイズの『しょーぶしたぎ』、はっけ〜ん!!」
「う〜ん、でも、勝負下着ってどれなんだろう…?皆、同じに見えるね?」
「ね〜ね〜、おばちゃんも『しょーぶしたぎ』買いに来たのー?」
「〜〜え?」
「〜〜ひっ、ひまわり!!誠一郎…!!勝手に離れたら叱られるわよ〜!?」
――ふんふんふ〜ん♪良いお買い物ができてよかったわ!
さ〜て、劇場に帰るとしますか。あ、その前に天雲神社に寄って、『青い鳥』再演成功祈願のお守りもらってこないとね…――!
「――あら…?」
〜〜子供達がいないわ…!さっきまでここで待ってたはずなのに…!?
「なでしこ〜!?ひまわり〜!?誠一郎〜!?」
〜〜大変だわ…!私が試着に夢中になってたせいで…!!どこに行ってしまったの…!?
「――うわ〜ん…!!痛いよ〜!!」
――!!あの泣き声は誠一郎ね…!?
「どうしたの、誠一郎…!?〜〜って、えぇ〜っ!?」
泣いているなでしことひまわりと誠一郎の周りに倒れたマネキンとぐちゃぐちゃになっている下着達…。〜〜まさかこの惨状、この子達が…?
「〜〜ぐすっ、ひっく…ひっく…、だから止めたのに〜…!!」
「〜〜け、怪我はない、あなた達…!?」
「あっ、母さ〜ん!!〜〜うわああ〜ん!!ひざすりむいちゃったよぉ〜!!」
「あ〜、よしよし、痛かったわね〜?〜〜それにしても、どうしたのよ、これ…!?」
「〜〜くすん…、あのね、ひまわりがふざけて引っ張っていたら、マネキンが倒れてきたんだ…」
「〜〜それで、ドミノ倒しみたいにマネキンが次々に倒れてしまって…」
「〜〜ひまわり、マネキンさんがつけてる『しょーぶしたぎ』が欲しかっただけなのに〜!!びえええ〜ん…!!」
〜〜しょ、勝負下着って…。そんな言葉、どこで覚えたのかしら…?
「――あなたがお母様ですか!?」
〜〜ギクッ!?まずいわ…。騒ぎを聞きつけて、お局様の店員さんが…!
「他のお客様のご迷惑になるのがわからないんですか!?親御さんがしっかり見ていてもらわないと困りますっ!!」
「〜〜申し訳ございません…!!――ほら、あなた達も謝りなさい!!」
「〜〜ひっく…、ごめんなさぁい…」
「〜〜うぅ…、ひまわりが無理矢理、引っ張ったから悪いんだからね…?」
「〜〜ぐす…っ、誠一郎だって引っ張ったじゃ〜ん!!」
「コラッ!ひまわり、誠一郎、ごめんなさいは!?」
「〜〜ぷんっ!」「〜〜ぷんっ!」
んもう…、『親の心子知らず』なんだから…。
「とにかく、汚した商品の分、全て買い取って頂きますからね!?」
「はい…。〜〜この度はお騒がせしてしまい、大変申し訳ありませんでした…」
〜〜ハァ…、周りで見ている店員さんとお客さんからの視線が痛いわ…。
「〜〜うわ〜ん!!母さ〜ん、ひまわりがぶった〜!!」
「〜〜だって、誠一郎が嘘つくんだも〜ん!びえええ〜ん…!!」
〜〜ハァ…、泣きたいのはこっちよぉ…。
「――バッカもぉ〜んっ!!」
――バンッ!!
店で起こった騒ぎを聞いた先巫女のおばあ様は、いつものおっかない顔で卓袱台を叩いた…!
「かえで!それはお前さんの責任じゃ!!子供達を放って買い物に夢中になるなんぞ、母親失格じゃぞい!?」
「〜〜そんなこと、わかってるわよ…。けど、私だってたまには息抜きしたいの!イタズラ盛りの子供三人の面倒を一人で見るのがどれだけ大変か、わからないでしょう!?」
「どうしてお前さんが一人で面倒を見なくちゃならないんじゃ?」
「だって…、一郎君とあやめ姉さんは会議の準備に追われてるし、花組も三人娘も公演中で忙しいし…、結局、私が一人で見るしかないんだから…」
「自分の時間を犠牲にしてでも子供に尽くすのが親というものじゃろう?いい歳こいて、チャラチャラした下着なんか買い込みおって…」
「〜〜きゃ〜っ!!人の戦利品、勝手に見ないでよっ!!」
「ハン!こ〜んなもんをつけにゃ、旦那は相手にしてくれんのかい?」
「そんなことないわよ。ただ…一郎君、司令になって仕事が忙しくなったから…、妻として癒してあげようと思って…」
「…じゃったら、もっと子育てを頑張ることじゃな。それが妻として一番の務めじゃ」
「おばあ様の考えは古いのよ。女だけが家庭を守る時代は明冶まで!太正時代の夫婦は家事も子育ても分担して行うのが一般的なのよ?」
「フン、青二才が偉そうに…。…まぁ、わしも隠居を始めて暇になったからのぅ。たまにはひ孫達を遊びに連れてくるがよい。3人ともお前さんと違うて、素直で良い子達ばかりじゃからな」
「おばあ様…」
ふふっ、口は悪いけど、いつもなんだかんだで協力してくれるのよね…。
「ふふっ、そうね。ありがとう、おばあ様」
「フフ、今のうちから、なでしことひまわりに藤枝の巫女を継げる資質があるか見極めんといかんしのぅ♪」
「もう?私とあやめ姉さんはまだ20代よ?」
「お前さんらと違うて、わしはいつ天から迎えが来るかわからんからのぅ。ボケが始まらんうちに、できることはやっておきたいのじゃよ」
「ふふっ、毒が吐けるうちは安心してていいんじゃない?」
私と先巫女のおばあ様の居間での会話を、なでしことひまわりと誠一郎は廊下で聞き耳を立てていた。
「おばあちゃん、さっきまで怒ってたのにもう笑ってるね?」
「ね〜?大人ってよくわかんないや…」
「ねぇ、おばあちゃまの言っていた『ふじえだのみこ』って何なのかしら?」
「う〜ん…、神社の巫女さんとは違うのかな…?」
「きゃははっ!なでしこがわからないことを誠一郎が知ってるはずないじゃ〜ん♪」
「〜〜ムッ!どうして決めつけるのさ?」
「さっきのお返しだよ〜ん♪べ〜っだ!!」
「〜〜むぅ〜っ!ひまわりのイジワル!い〜っだ!!」
「〜〜んもう…、喧嘩はやめてって何度言えば――」
『――助けて……』
その時、少年の不思議な声が天雲神社内に響き、子供達はハッと顔を上げた…!
「な、何…、今の声…?」
「〜〜もしかして幽霊…?」
『――君達、僕の声が聞こえるの…?』
「〜〜ひいっ!また聞こえたよ…!?」
「かえでおばさんとおばあちゃまは気づいてないみたいね…」
「もしかして、ひまわり達にしか聞こえないのかな…?」
『――そうか…。君達は『彼』の血を引いてるからだね…』
「カレ…?」
すると、夕日が沈んで薄暗かった廊下に灯りがともるように、不思議な光の玉の数々が浮かび出した。
「〜〜な、何、これ…!?人魂…!?」
「でも、綺麗ね。まるで蛍みたい…」
『――おいで…。怖くないから…』
「蛍さんが道を作ってくれてる…!行ってみよ!」
「〜〜駄目よ、ひまわり…!悪者の罠かもしれないでしょ!?」
「〜〜そうだよ!僕達だけで敵うわけないじゃないか…」
「こんな綺麗な光を出せる人だもん。悪い人じゃないよ!それに、いざとなったら、かえでおばちゃんもおばあちゃまもいるんだし♪」
「あっ!〜〜待ってよ、ひまわり〜!置いてかないで〜…!!」
「〜〜ハァ…、また怒られても知らないわよ…?」
光に導かれるように子供達が着いたのは、天雲神社にある古い祠だった。
「あれ…?ここって、仮面が封印されてる祠だよね?」
「確かエリカお姉ちゃんがお土産で買ってきてくれた仮面が封じられてるのよね…?」
そう。あやめ姉さんの誕生日に一郎君を子供の姿にしたあの仮面がこの祠に封じられている。
仮面から高い霊力を感知した私と姉さんは嫌な予感がして、藤枝の巫女の霊力で仮面を天雲神社で供養することになったの。せっかくエリカがプレゼントしてくれたものだから無碍に捨てちゃっても悪いし、また災いが降りかかっても嫌ですものね…。
けど、ただの禍々しい闇の霊力なら浄化して終わりなんだけど、それとは違う…、かと言って私達・人間が持つ光の霊力とも違う不思議な力を感じたの。その不思議な霊力をこの子達も感じているのか、強張った顔で恐る恐る祠に近づいていく…。
「〜〜や、やっぱりやめようよぉ…。ここには近づいちゃ駄目って父さんと母さんに言われてたじゃないか…」
「んも〜、誠一郎ってば怖がりなんだから〜」
「〜〜ひまわりは、よく考えないで突っ走りすぎなんだよぉ〜」
「〜〜何よぉ!?男ならパパみたいにしゃんとしなさいよねっ!?」
「あっ、見て…!祠が…!!」
「え…?あぁっ!?」
「祠が…光ってる…!?」
子供達が祠に近づけば近づくほど、光の輝きは強さを増していく…!
「私達に反応してるのかしら…?」
「〜〜うわ〜ん!やっぱり戻ろうよぉ〜!!」
『――君達には僕の光が見えるんだね…?』
「あっ、また声がしたよ…!」
「あなたは誰…?ここで私達にどうしてほしいの…?」
『――僕をこの祠から出して欲しいんだ…。藤枝の巫女の血を継ぐ君達になら、できるはずだよ』
「その『ふじえだのみこ』って何なのさ…?」
『――恐れないで…。お父さんとお母さんの血を受け継ぐ君達は、とても強い霊力を持っている…。君達となら、僕も『彼』の暴走を止めることができるはずなんだ…!』
すると、急になでしこ達3人の体が白く光り始めた…!
「きゃ…!?な、何なの、これ…!?」
「わ〜い!ひまわりも蛍さんだ〜♪ね〜ね〜、綺麗〜?」
「〜〜ひまわりったら、何でそんな呑気にしてられるんだよぉ〜!?」
『――大丈夫だよ。君達の中に眠る霊力を少し解放しただけだから…。さぁ、そこの石に手をかざして…』
「〜〜ほ、本当に平気かな…?自由になった途端、僕達を食べたりしないよね…?」
「それは…、なんとも言えないけど…」
『――お願いだ…。僕は君達のお父さんを守りたいだけなんだ…』
「父さんを…?君、父さんのお友達なの?」
『――うん。『彼』は僕の恩人…。大切な人だから…』
「パパがあなたの大切な人…?」
「あっ、ひまわり…!?」
「〜〜近づいたら危ないよ…!?」
「ひまわり、封印を解いてあげたい…。ううん、解かなきゃいけない気がするの…」
「ひまわり…」
「実は私もそんな気がするの…。そうしろって誰かに命令されてるみたいで…。〜〜どうしてかしら…?お父さんとお母さんとの約束を破るはずなのに罪悪感を感じないなんて…」
「僕も足が勝手に祠の方に向かっていくんだ…。これはどういうことなんだろう…?」
『――君達に流れている血が僕に反応しているんだ…。さぁ、早く封印を…!』
「君が悪い人じゃないのはわかるよ…。〜〜でも…、やっぱり僕…怖いんだ…」
怯える誠一郎の手をなでしことひまわりは優しく握り、微笑んだ。
「3人で力を合わせれば大丈夫よ」
「そうそう!3人で怒られれば嫌な気持ちも3等分になるしね♪」
「なでしこ、ひまわり…。――そうだね。やってみよう…!」
なでしことひまわりと誠一郎は顔を見合わせて頷くと、祠に祀ってある大きな赤い石の上に手を重ねた。子供達の霊力が石に注ぎ込まれると、祠の扉が開いて眩しい光が解放された…!
「きゃ…!?」
「うわああっ!?」
「〜〜眩しくて前が見えないよぉ〜!」
『――ありがとう、助けてくれて…』
耳元で声がすると、祠の光の中から仮面をかぶった少年が飛び出してきて、空へと舞い上がった…!
『――僕はアモス。その時が来たら、また会い行くからね…』
仮面を外した16歳くらいの美少年の微笑みに、なでしことひまわりは見とれながら、仮面の少年が消えていくのを静かに見送った…。
「き、消えちゃった…」
「格好良い人だったね〜!これって、アニメでいうところの第1話みたいな感じ?ヒロインと恋人が出会うシーンっていうか〜♪」
「あら、一太君はもういいの?」
「あ、そっか!じゃあ、パパみたいに二人とも、ひまわりの王子様にしちゃおっと♪えへへへっ!」
「ふふっ、ひまわりったら…。――でも、私達を包んでいた光は消えちゃったわね…?」
「本当だ…。〜〜キラキラしてて綺麗だったのにぃ…」
「今のが『霊力』なのね…。アモスはその時が来たら、また会いに来るって言ってたけど、どういうことなのかしら…?それに『彼』の暴走を止めるって…――?」
――ドサ…ッ!
「え…?〜〜せっ、誠一郎!?」
霊力の解放を終え、突然倒れた誠一郎になでしことひまわりは駆け寄った…!
「〜〜ハァハァハァ…、苦しい…よぉ…」
「〜〜具合の悪い体で霊力を使ったから、風邪が悪化しちゃったんだわ…」
「〜〜うわ〜ん!!死んじゃやだよぉ!誠一郎〜!!」
「――どうしたの…!?今、高い霊力反応が…――!?誠一郎…!?」
霊力の流れの変化を察知した私は急いでおばあ様と庭に出て、うなされて倒れている誠一郎に驚いて駆け寄った…!
「誠一郎、どうしたの!?大丈夫!?」
「〜〜ごほっ、ごほっ…!ハァハァ…、母…さん……」
「〜〜すごい熱だわ…!早く病院に連れて行かないと…!!」
「早く布団に寝かせい!今、医者を――」
「直接連れて行った方が早いわ!――なでしこ、ひまわり、行くわよ!!」
「は、はい!」「う、うん!」
私は咳をして熱にうなされる誠一郎をおぶり、近くの診療所へ駆け込んだ…!
子供が体調を崩しているのに気づいてやれないで、私ったら自分のことばかり…。〜〜これじゃあ、おばあ様の言う通り、本当に母親失格だわ…。
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