藤枝かえで誕生日記念・特別短編小説2012
「仲直りの魔法〜大神編〜」その2
――コンコン…!ガチャ…。
「――梅茶淹れてきたわよ。コーヒーばかりだと胃が荒れちゃうでしょ?」
あやめさんの気配だ…。手伝いにわざわざ戻ってきてくれたみたいだな。
「一郎君…?――あらあら、こんな所で寝ちゃって…。ふふっ、しょうがない子ねぇ」
あやめさんは背もたれにもたれて眠っている俺の髪を優しく撫でると、温かいブランケットをかけてくれた。
「〜〜ハァ…、ちょっと席を外してた間に派手にやってくれたわね…。んもう…、ちゃんと片づけなくちゃ駄目でしょ?汚れたシャツはシミ抜きしてから洗濯しないと…――」
あやめさんは俺に語りかけるような独り言を言いながら汚れたデスクの上を手際良く片づけていく。
何だかこういうこと奥さんに言われるのっていいよな…♪
「かえでもよく頑張ってくれたし、今年の会議もなんとか乗り切れそうだわ。――明日は頑張りましょうね、大神司令見習い君♪」
あやめさんは俺の頬にキスすると、静かに電気を消して、かえでさんの作った追加資料片手に支配人室を後にした。
「そういえば誠一郎君、風邪の具合はどうかしら…?かえでも一人で看病するのは大変だろうし、様子を見に行った方がよさそうね…――」
階段を上がろうとしたあやめさんは視線を感じ、ハッと振り返った…!
「――誰かいるの…!?」
周囲を見渡したが、夜の薄暗い廊下は昼間の賑やかさとは反対に、不気味なほどしんとしている…。
「……人ならざる者の気配を感じた気がするけど…、気のせいかしら?」
あやめさんは腑に落ちない様子だったが、誠一郎が心配だったので急ごうと、階段を上がって屋根裏部屋へ向かっていった。
「……ママ、行った?」
『うん、行ったよ』
あやめさんに見つかるまいと階段の影に隠れていたのは先程、俺の体に入り込もうとした仮面の少年と、なでしことひまわりだった。
「ねぇアモス、どうして隠れなきゃいけないの?」
「ママは怒ると怖いけど、いつもは優しいよ?」
『でも、もし仮面の封印が解かれたことを知られたら、僕はまたあの祠に封印されるかもしれない…。そしたら、僕は『彼』を…、君達のお父さんを守れなくなってしまうだろうから…』
「〜〜そっか…。アモスの仮面を封印したの、ママとかえでおばちゃんだもんね?」
「でも、危険を冒してまでお父さんを助けたいなんて偉いわ!あなたって、とっても思いやりに溢れた人なのね」
『思いやり…?それって『優しい』という意味かい?』
「うんっ!『お友達を大切にできる優しい人になりなさい』って、うちのママも言ってるもん!」
『そうか…。これが『思いやり』と『優しさ』という感情なんだね…。くすぐったいけど、温かい気分になるね…――』
その時、ゾクッとアモスの全身に鳥肌が立った…!
「どうかしたの?」
『〜〜僕がここにいること、『彼』に気づかれたみたいだ…!』
「彼ってお父さん?」
『〜〜いいや…、もう一人の…――悪い魔法使いの『彼』だ…!』
「――ククッ!ひどいなぁ、アモス君。恩を仇で返すつもりかい?」
暗闇で不気味な光を放つ水晶玉でアモスとなでしことひまわりの様子を覗き見ていた謎の金髪の青年は不気味に口を緩ませると、手をくるくると手品のように回し、手の平から大きくて黒い、幻想的な模様が羽根についた蝶を一匹出現させた。
「――行っておいで、僕のマドモアゼル…」
指に止まらせていた黒い蝶を青年が空へ飛ばしたのと同時に、自分の部屋で寝ていたかえでさんのポケットが蝶と同じような漆黒の色に光り始めると、帝劇三人娘から誕生日プレゼントにもらったという手鏡が禍々しいオーラを発しながら、かえでさんのポケットからひとりでに出てきて、宙に浮かんだ。そして、鏡面から青年が呼び出したその黒い蝶がゆっくり出てきて…!
「――ハ…ッ!?」
誠一郎の看病をしていたあやめさんはいち早く劇場内の異変に気づいたようで、氷をアイスピックで砕くのをやめて、顔を上げた。
「気の流れが変わった…!?」
「――うわあああああ〜っ!!」
その直後、高熱にうなされていた誠一郎が突如、ベッドの上で胸を押さえながら苦しみ始めた…!!
「〜〜誠一郎君、どうしたの…!?胸が痛むの!?」
「〜〜奴らが…来た…!!父さんを…!父さんを早く…守らない…と…っ!!」
「一郎君を守るって…!?――きゃ…っ!!」
すると、誠一郎の体からブワッと黒い霊魂達が飛び出してきて、あやめさんの体を飲み込んだ!
『――オーク巨樹を解放せよ…!』
『――同胞よ、立ち上がれ…!』
『――今こそ復讐の時だ…!革命だー!!』
(〜〜まるで負の感情の塊のような霊魂だわ…!しかも、こんなにたくさん…!?)
体を通り抜けていく際に心に直接訴えるように聞こえてくる霊魂達の怒りと無念と憎しみの叫び。そして、瞳の奥に流れ込んできた大樹の残像。
(――美しい大樹だわ…。あれがオーク巨樹…?)
何も知らないはずなのに、あやめさんの頬には自然と涙が伝っていた…。実際、全ての霊魂があやめさんの肉体を通り抜けるのにかかった時間はほんの一瞬だったが、あやめさんにはとても長い時間に思えた。
やがて、全ての霊魂が体を抜けると、あやめさんは両手と両膝をつき、乱れた呼吸を整えようと過呼吸状態に陥っていた。
「〜〜ハッハッハッ…ハァハァハッハァァ…。今の霊魂達って、まさか…!?」
「――すぅすぅすぅ…」
誠一郎を見てみると、嘘みたいに落ち着いて、気持ちよさそうに寝息を立てて眠っていた。
「熱が下がってる…!もしかして、さっきの霊達が体から抜けたから…――!?」
すると、休む間もなく新たな闇の霊力が劇場内で蠢く気配を感じ、あやめさんは鳥肌が立った…!
「〜〜ハァ…、かえでをお祝いしに随分ファンが駆けつけてくれたものね…。――ちょっと様子を見てくるから、良い子で待っててね…?」
あやめさんは微笑みながら誠一郎の頭を優しく撫でると、静かに部屋を抜け出した…。
――ガクンッ!!
「〜〜アモス…!?」
苦しそうに胸を押さえてしゃがんだアモスに、なでしことひまわりが心配そうに駆け寄った!
「どうしたの!?苦しいの…!?」
『――ハァハァ…、少し力を使っただけだから…。それより、『彼』が刺客を送ってきたみたいだ。早く行かないと…!』
「〜〜パパが危ないんだね…!?」
「支配人室に行きましょう!――アモス、立てる…!?」
『〜〜く…っ、あぁ…!』
なでしことひまわりに支えられて支配人室へ向かったアモスだが、ドアの前にはすでにおびただしい数の黒い蝶が飛んでいた!!
「〜〜何、このちょうちょさん達…!?」
『闇の結界が…!〜〜くっ、遅かったか…』
「――下がって…!」
そこへ、神剣白羽鳥を持って駆けつけたあやめさんが呪文を唱えながら指を組み、素早く九字を切った!
「――臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前…っ!!」
あやめさんが霊力を込めた天雲神社のお札を支配人室のドアに貼ると、飛んでいた全ての蝶は青白い炎に包まれ、塵となって消えていった…!
「さすがお母さんね!」「ママ、格好良い〜っ!!」
アモスのことが見えないあやめさんは彼の透明な体を抜けると、なでしことひまわりを叱りつけた!
「こんな所で何やってるの!?お部屋で寝てたんじゃなかったの!?」
「〜〜で…でも、アモスが――!」
「あもす…?」
あやめさんは瞳を閉じると、先程の『人ならざる者』の霊力を探知しながら手探りでアモスの立っている位置を探り当てた。
「さっきの気配…、ここにいる人があなた達には見えるのね…?」
「〜〜そ、それは…」
アモスはしばし沈黙すると、自分の姿を隠していた精霊術を解いて、あやめさんの前に姿を見せた。
「その仮面…!あなた、もしかして…!!」
「〜〜アモス、出てきちゃダメ…!!」
「〜〜また封印されちゃうわ…!!」
『――大丈夫。君達のお母さんだ。きっとわかってくれる…』
あやめさんは神剣白羽鳥を鞘から抜き、剣先をアモスに向けた…!
「――娘達から離れて…!そんな小さな子達まで利用しようなんて、何を企んでいるの!?」
『……巻き込んでしまって、すまない…。でも、『彼』の暴走を止めるにはこの子達の力が必要なんだ…!』
「彼…?」
「お父さんの命を狙ってる悪い魔法使いよ…!」
「〜〜アモスはパパを守ろうとしてるだけもんっ!」
なでしことひまわりはアモスを守ろうと、小さい体であやめさんにタックルした!
「あ…っ!〜〜コラッ!離れなさい…!!」
「〜〜いぃ〜やぁ〜っ!!」「〜〜アモスを斬っちゃダメ〜ッ!!」
「あなた達…」
その時だった!闇の結界を消した支配人室のドアがひとりでに開き、その先に広がっていたブラックホールのような冷たい突風が吹いてきた…!
「これは…!?――きゃ…!?」
「〜〜きゃああ〜っ!!」「〜〜吸い込まれる〜!!」
『――なでしこちゃん…!!ひまわりちゃん…!!』
ドアの向こうに広がるブラックホールに吸い込まれたあやめさんとなでしことひまわりを追って、アモスがブラックホールに足を踏み入れると、突風が消えてドアが消え、4人は黒い蝶の大群がそこかしこに飛ぶ、ほの暗い宇宙空間のような異次元に閉じ込められてしまった…!
「――う…、二人とも無事…!?」
「う、うん…。――ここはどこ…?支配人室じゃ…ない…!?」
「〜〜パパはどこ行っちゃったの…!?」
『――グヘヘヘ…!おい、こっちに人間がいるぞぉぉ!!』
暗闇に顔のようなものを浮かべた人魂達がいつの間にかあやめさん達を取り囲み、下品に笑っていた…!
「〜〜きゃあっ!!ひ、人魂…!?」
『――ゲヘヘッ、しかも女じゃねぇか!』
『――3人とも上玉だぜぇ!?』
『――子供の肉は柔らかくて、うんまいんだよなぁ!』
『――その極上の霊力を俺達によこせぇぇ…っ!!』
「この怨念はさっきの…!〜〜まさか奴らもパリシィ…!?」
「〜〜うわ〜ん!怖いよ、ママぁ〜!!」
「――二人とも、お母さんから離れないでね…!?」
生前の食欲・性欲などの人間の負の感情を丸出しにして襲いかかってくるパリシィ達の魂にあやめさんは神剣白羽鳥で対抗しようと構えたが…!
『――去ねっ!!』
全身から霊力を解放させたアモスがパンッ!!と一回手を叩いて手首の飾りの鈴を鳴らしただけで、パリシィの怨霊達はビクッと動きを止めた。
『〜〜そ、その霊力はまさか…!?』
『――我はオーク巨樹に仕える精霊なり。邪悪な魂どもよ、輪廻を解脱したくばかかってくるがよい…!』
『〜〜ひっ、ひいいいっ!?』
『〜〜なんでこんな所に精霊がぁ〜!?』
『〜〜俺が知るかぁ…!!』
アモスが仮面の下から睨みを利かしただけで、パリシィの魂達は皆、あたふたと逃げ去っていった…!
「きゃ〜!アモス、格好良い〜!!」
「アモスって精霊さんだったの!?」
『といっても、オーク巨樹から作られた仮面に宿る小精霊だけどね』
「オーク巨樹って、確かパリシィが崇拝の対象にしていた大樹よね?」
「ぱりしぃ…?」
『パリシィとは外来からやって来た巴里市民達の祖先に迫害され、滅びた先住民族。ここはその恨みを消すことができず、自身の負の感情に呑み込まれてしまったパリシィの魂達が集まる場所…。――通称・パリシィ墓場…」
「〜〜お墓〜っ!?ひまわり達、支配人室に入ろうとしてたのに何でそんな所に来ちゃったの…!?」
『僕らを吸い込んだあのブラックホールは転移魔術といって、ドアが開いたら僕らを自動的にここへワープさせる仕掛けになっていたらしい。僕ら精霊が自分の体内に宿る霊力を発動して使う精霊術とは反対に、人工的に自分の体内に霊力を創り出して発動させる魔術なんだ』
「霊力を人工的に…!?そんなことが可能なの?」
『昔はそれが当たり前だったからね…。けど、魔術を使い続けることによって、『ヒト』の体に悪影響を及ぼすことがわかったんだ。だから、パリシィの間では魔術を使うことは禁止され、魔術に関する書物も道具も処分されたんだ。魔術は魔女狩りの影響でだんだん欧州全域で衰退し、やがて消滅して、その存在を知る者は誰もいなくなった…』
「でもさっき、その魔術がドアで発動したんでしょう?」
『あぁ、誰も魔術を使える者がいなくなった今、こんなことをやってのけるのは『彼』しかいない…。〜〜おそらく『彼』…悪い魔法使いは僕をここへおびき寄せたかったんだと思う…』
「――うふん、さっすがアモスちゃん。おりこうさんねぇ♪」
「…!誰…!?」
すると、あちこちで飛んでいた黒い蝶達が集まって人の形を成すと、蝶の大群は黒い羽根と触覚が生えたボンテージスーツにピンクがかった紫色のロングヘアーの女に姿を変えた。
「ちょうちょが女の人になった…!?」
「ボンジュール、私はヴァレリー。パリシィの怨念が創りし蝶の怪人よ♪」
「怪人ですって…!?奴らは巴里華撃団が殲滅したはずじゃ…!?」
「あいにく、つるむのは嫌いでね、適当にやり過ごしてたら一人だけ生き延びられちゃった♪ウフフッ、でも、『ヒト』の感情なんて持てないはずのあなたが人を助けるなんてビックリしたわ」
「〜〜何よぉ!?アモスはあんたみたいなおばちゃんより、よっぽど人間らしいんだからっ!!」
「〜〜おっ、おばちゃん…!?」
『…ヴァレリー、そこをどいてくれ!僕は『彼』を守る為、この子達と元の次元へ戻らないといけないんだ!』
「…あらん、つれないわねぇ。――お探しの『彼』なら、ここにいるのに…」
怪人・ヴァレリーは、蝶の大群が集まってできた蜘蛛の巣に囚われて眠っている俺を異空間の地面から出現させた…!
「〜〜お父さん…っ!!」「〜〜パパ〜ッ!!」
「フフッ、これで少しは遊んでくれる気になった?」
『〜〜君が『彼』をさらったのか…!?』
「ウフフッ、礼を言うわね。あなたが中途半端に精霊術をかけといてくれたお陰で楽にさらえたわ。私にどんなことをされても一度も起きなかったのよ♪」
『〜〜一郎君に何をしたの…!?』
「フフフッ、――さぁ、どんなことかしらねぇ…?」
ヴァレリーは眠っている俺の体にすり寄ると、舌なめずりして耳を舐めてきた。
「邪魔なカルマール達を消してくれてありがと。『彼』が巴里を治める時が来たら、奴隷として迎えてあげるわね♪」
「〜〜一郎君から離れなさい…!!」
あやめさんは神剣白羽鳥を鞘から抜くと、ヴァレリーに向けて構えた。
「フフッ、よ〜く覚えておきなさい、アモスちゃん?この女が今抱えている醜い感情…、これが『嫉妬』よ♪」
『……『彼』を離してやってくれ。君の望み通り、僕はここに残って君と遊んでいく。それでいいだろう?』
「……ハァ、冗談が通じない真面目君って、これだからつまんないのよねぇ」
主人のヴァレリーの命令で黒い蝶達はアモスの周りに集合すると、突風を起こしながら黒い壁を作り、彼を閉じ込めた!
「うわああ…っ!!」
「〜〜アモス…!!」「〜〜アモス〜ッ!!」
「ホホホッ!精霊術を使い過ぎたせいで動きが鈍くなったわねぇ。邪魔な女どもを片づけたら、一緒に『彼』の元へ帰りましょうね?」
『〜〜く…っ』
「〜〜アモスになんてことするのよ〜っ!?」「〜〜おばちゃんの馬鹿〜っ!!」
「〜〜ぐぬ…っ!ッフフ…、生意気なガキどもはデザートに取っておくとして…、――先にメインディッシュを頂きましょうか…っ!!」
ヴァレリーは黒い蝶の集合体でレイピアを創ると、刀身をペロッと舐めて強く踏み込み、あやめさんへ攻撃を開始した!
「…甘いわ!――はああっ!!」
あやめさんは最初の一突きをかわすと、ヴァレリーと背中合わせになり、神剣で蝶のレイピアを一刀両断した!すると、レイピアを形作っていた蝶達が逃げたり斬られたりして散り散りバラバラになった…!
「〜〜あ〜ん、この武器、弱すぎ〜。――…!」
そして、ヴァレリーの首にあやめさんは間髪入れず、神剣の剣先を突きつけた。
「やったぁ〜!」「ママの勝ち〜♪」
「一郎君とアモスを解放しなさい。ついでにあなた達の目的も教えてもらいましょうか?」
「あ〜ん、エッチな拷問なら大歓迎よ〜ん♪――な〜んて、この私が言うとでも思った?」
「――!?」
あやめさんの影に紛れて隠れていた蝶達は吹き上がるように天井まで一気に伸びると…、
「――シャアアアア…!!」
大蛇の形を成し、あやめさんの全身に巻きついて拘束した!
「きゃああああああ――っ!!」
「〜〜ママ〜ッ!!」
「フフッ、いつも大人が助けてくれるとは限らないのよ、おちびちゃん達?」
「〜〜ひ…っ!?」
「〜〜やめて…!!娘達には手を出さないで…!!」
「あらん、母親の愛は海より深いとでも言いたいわけ?――その正義をいつまで貫けるかしらねぇ?」
あやめさんを拘束している大蛇の全身から触手に似た足が何十本、その先にブラシのような細かい毛が何百本と生えてくると、大蛇はあやめさんの和服を蛇足で器用にはだけさせながら体をまさぐり始めた。
「う、嘘…!?こんな…!〜〜いやああ〜っ!!」
「お〜っほほほ…!!蛇足は無駄とは言うけれど、これなら大歓迎でしょ?」
「ああん!いやああっ!!ああああああ〜っ!!あひっ!?しょ、触手がブラシみたいに…!あぁぁっ!!そこはやめてぇ〜っ!!あはっ!馬鹿になっちゃう〜!!」
「〜〜お母さん…!!」「〜〜ママにひどいことしないでよ〜っ!!」
「ウフフッ、可愛い娘達がお母さんのエッチな姿を見てるわよ〜?」
「あぐぅ!〜〜い、いやああっ!!お願い…!娘達の前でこんな姿見せないで〜!!」
「シャアアア…!」
大蛇は抵抗するあやめさんの両足を触手でさらに大きく開かせると、舌をちろちろさせ、大の男の拳はある大きな頭をあやめさんの股間に無理矢理ねじ込んだ…!!
「んはああっ!!ああああああああああああ〜っ!!」
「フフフ、気持ちいいでしょう?その子に捕まったら最後。死体が朽ち果てるまで、延々と犯され続けるわ♪」
「やああんっ!!この蛇、律動運動しながら一番奥を舐めてくるわ…!!あああああっ!!ハァハァハァ…、で、でも…、こんなの…一郎君のセックスと比べたら…」
「あらん、なかなか頑張るわねぇ。――なら、特別にこの子とも遊ばせてあげるわ♪」
ヴァレリーは大蛇を形作っていた蝶達を一度解散させると、
「――ゲコッ」
今度は巨大ガマガエルの姿に形作るよう命令した!
「〜〜ひ…っ!?きゃああああ〜っ!!」
蛙は触手のように先が何十にも割れた長く太い舌であやめさんを拘束し直すと、別の舌先をあやめさんの胸と股間に伸ばし、太ももと付け根の間を唾液で濡らしながら、ねちねちとしつこく舐めていく。
「いやああ〜っ!!ヌルヌルしてて気持ち悪いわ〜!!早くやめさせてぇ〜!!」
「ウフフッ、その気持ち悪いのがすぐ病みつきになっちゃうのよね〜♪」
「あ…あふ…あ…ふぁ…ああ…ハァハァハァ…、へ…あ…はぁぁ…」
(――体が…熱い…。嫌なはずなのに…私…、どうしちゃったの…?)
「ほぉら、顔がとろけてきた♪その子の唾液には媚薬効果があるのよ。あと3分も舐められ続ければセックスのことしか考えられなくなっちゃうの♪」
「〜〜そ、そんな…!――あっ!?」
「フフ、私が指導してあげるわ。――ほぉら、この角度まで足を広げれば、もっと気持ちよくなるわよ〜♪」
ヴァレリーに後ろから両足を固定され、蛙に向けて足を大きく開いたあやめさんに蛙は容赦なく舌を伸ばし、敏感な部分をかき混ぜていく…!
「〜〜は、放しなさい…!――うはああ!?いやああああ〜っ!!入ってきちゃったぁぁ〜っ!!あはあっ!あああああ〜っ!!助けて!一郎君〜!!うあああああ〜んっ!!」
「ウフフッ、夫の前で私の奴隷に堕ちなさい…♪」
ヴァレリーはあやめさんから離れると、別の蝶達に集合体になるよう命令して、さっきの大蛇そっくりに変化させた。
「あ…あぁぁ…あ…は……また…来たぁ…!」
「隠そうとしても顔がにやけちゃってるわよ?――正直に言ってみなさいな、本当はこういう展開を待ってたんでしょ?」
「…ハッ!〜〜ち、違うわ…!!私は…そんな…!〜〜あぎいいっ!!いやあああっ!!あはあああっ!!あああああああ〜っ!!」
「ああん、自分の才能を否定しちゃ駄目よ?――なんなら、私が奴隷の才能を開花させてあげましょうか?」
ヴァレリーは蛙の舌が入っているあやめさんの前の穴にさっきのように大蛇の頭をねじ込むと、さらに後ろの穴にも蛇足の触手を挿入させた!
「きゃああああああ〜〜っ!!ああああああああっ!!同時にはやめてぇ〜っ!!」
「ホホホッ!素晴らしいコンビネーションでしょう?蛇と蛙の仲の悪さは折り紙つきだけど、今はあなたに気持ち良くなってもらう為に一時休戦ってとこかしら♪」
「シャアアアッ!」「ゲコゲコッ!」
「ああああああああああ〜っ!!あああああああああああああああ〜ん!!こ、こんなぁぁ…、敵の術が…こんなにすごいなんてぇ…っ!!かは…っ!は…おぉぉぉ…んっ!!」
あやめさんは眉間にしわを寄せ、涎をダラダラ垂らした下唇と口角に溜まった泡を噛みながら、涙をたくさん溜めた瞳で眠っている俺の方を見た。
「あはっ、はっ、はっ、はぁぁっ…!あぁ〜、気持ちいい〜!!〜〜一郎君、ごめんなさぁい!奴隷に堕ちちゃう私を許してぇ〜!!」
「ホホホ…!では、私の前にひざまずきなさい!!」
――ダンッ!!
「きゃああああっ!!」
あやめさんはヴァレリーに頭をハイヒールで踏まれると、土下座を強制されて、額を床に擦りつけられた!
「いやあああああああ〜っ!!この姿勢、もっと奥まで来ちゃう〜っ!!」
「お〜っほほほ…!!旦那と娘達の前で敵にイカせ続けられるなんて、なんて無様な副司令かしら?そのまま一生イキ狂ってなさいな…!!」
「あぁぁぁぁ〜っ!!あぁぁぁ〜、イク〜!!また…イッちゃいます〜!ヴァレリー様ぁ〜!!あああああああああ〜、そこっ!!そこをもっと大蛇様の頭で擦って下さぁぁ〜い!!」
「フフ、命令してほしいなら、忠誠の証に足をお舐めなさい」
「んは、はぁぁい…。――ぴちゃぷちゃ…ぺろぺろ…」
「ウフフッ、良い子ねぇ。従順な奴隷ちゃんにはサービスよ。――ちょっと刺激が強いかもしれないけど、ドMのあなたなら喜んでくれると思うわ…♪」
「――ぎひいい!?いやあああああああ〜っ!!きゃあああああ〜っ!!きゃああああああ〜っ!!ぎゃ…あぎゃあああああああああ〜!!」
挿入されたままの大蛇の頭と蛇足と蛙の舌から発生した何万ボルトもの電流があやめさんのありとあらゆる性感帯に流れ、痛さを感じる直前まで徹底的に刺激していく…!!
「あはあああああああああ〜ん!!電流セックス、効っくぅぅぅ〜〜〜〜っ!!」
普通の人では即死しかねない、すさまじい刺激を下半身に味わっているにも関わらず、大きく体を反らして痙攣しながら失禁しているあやめさんの顔と絶叫する声は喜びに満ちている…!!
「〜〜お母さぁぁんっ!!」
「あ…あぁ…も…ら…めぇ…堕ち…る…ぅ……。あぁ…あはぁ…うぁ…ぁぁ…ぁ……」
――カチャーン…!カラカラカラ……。
手からゆっくり神剣白羽鳥がこぼれ落ちると、あやめさんはうつ伏せに倒れ、白目を剥いたままヒクヒクと失神してしまった…。
「〜〜ママぁ〜っ!!」
「シャアアアッ!」「ゲコゲコッ!」
勝利したことが嬉しいのか、主人に従順すぎるのか、それとも単にあやめさんの体が気に入ったのか…。大蛇と巨大蛙はあやめさんが意識を失っても尚、そのムチムチした体を犯し続ける!
「気絶しても無意識に腰を振り続けるなんて、ママはよっぽど私のペットが気に入ったのねぇ♪」
「〜〜そんな…」「〜〜ママが…負けちゃうなんて…」
「――フフフ…、さっきはよくもおばちゃん呼ばわりしてくれたわねぇ?あんた達の霊力をぜ〜んぶ吸い取って、カラッカラのミイラにしてあげるわ♪」
「〜〜い、いやぁ…」「〜〜来ないでぇ…っ」
なでしことひまわりは小さな体で寄り添い合い、ジリジリ迫ってくる蝶の怪人を最後の抵抗とばかりに涙目で睨みつけた…!
「仲直りの魔法〜大神編〜」その3へ
作戦指令室へ