大神一郎誕生日記念・特別短編小説2013
「愛の魔法」その12



「…?どうしたの、一太君?」

「もしかして、また迷子になっちゃったの…?」

「〜〜う、ううん!お正月だから、おじいちゃんとおばあちゃんに会いに来たんだ。僕のお父さんの実家、この神社のすぐ近くなんだよ」

「そうなんだ〜!この天雲神社はね、僕達のお母さんの実家なんだ!」

「親同士がご近所さんなんて、すっごい偶然〜!やっぱり、ひまわりと一太君は赤い糸で結ばれてるんだね〜♪」

「いぃっ!?ちょ…、ひまわりちゃん!?」

「〜〜むぅ〜っ!!」


ひまわりが一太である俺の腕に大胆に抱きつくと、なでしこは怒りを露わにしながら間に割って入り、反対側の俺の腕にぎゅっとしがみついた。

「また会えて嬉しいわ、一太君。ねぇ、私のお手紙届いた?漢字をお母さんから教わったばかりから、いっぱい使ってみたんだけど…♪」

「〜〜あ、あぁ…、字が綺麗で感心したよ。その歳で漢字まで書けるなんて、なでしこちゃんは頭が良いんだね…」

「ふふっ、そんなことないわよ〜♪」

「〜〜むぅ〜っ!!ひまわりだって、ひらがな上手だねってパパが褒めてくれたもんっ!!――ね〜、一太君!?ひまわりの字も上手だったよね〜っ!?」

「〜〜そ、そうだね…」

「私、見たものっ!!ひまわりったら、ひらがなが書けないことを知られたくないものだから、お父さんに書いてもらったお手本をそのまま封筒に入れて送っちゃったのよ!?」

「あれは本番用だもん!!パパはひまわりに優しいから代わりに書いてくれたんだも〜ん!!」

「お手紙っていうのは自分で書かないと心を込めたことにはならないのよ!?」

「うわああ〜ん、一太く〜ん!なでしこがいじめるよぉ〜♪」

「〜〜だから、くっつかないでってば〜っ!!」


〜〜ハハ…、5歳児とはいえ、血は争えないな…。

「あ、あの…、さっきの話、聞いちゃってさ…。君達のお父さんとお母さん、悪い人に捕まっちゃったんだって?」

「うん…。ひまわり達のパパとママ、帝都を守る正義の味方なんだ…」

「〜〜ひ、ひまわり!」

「それは誰にも言わないお約束でしょ!?」

「一太君はお友達じゃん!何でお友達に隠し事しなきゃいけないの!?」

「でも、これはそういう問題じゃ――!」

「大丈夫だよ!僕、誰にも言わないから。こう見えて口は堅い方なんだ」

「本当に…?」

「うん。秘密を共有する代わりと言ってはなんだけど、僕も君達のお父さんとお母さんを助けるお手伝いをしても構わないかな?」

「一緒に行ってくれるの!?」

「うん!昔、巴里に住んでたから、それなりに土地勘はあると思うんだ」

「素敵〜!一太君って帰国子女だったのね♪」

「一太君と一緒なら勇気も百倍だよねっ♪」

「〜〜でも、いいのかな…?母さん、ついてきちゃダメだって言ったのに…」

「へーき、へーき!かえでおばちゃんも一太君の前じゃ、そんなに怒れないって♪」

「でも、僕達にできることなんてあるの?〜〜母さん達だって歯が立たなかった相手にさ…」

「〜〜そ…」

「〜〜それは…」


ひまわりはなでしこと顔を見合わせて、しばらく黙り込んだが、拳を強く握りしめると、きゅっと口を一文字に結んだ。

「――それでも、ひまわりは行くもん!!大好きなパパとママを助けたいんだもんっ!!」

「ひまわり…」

「子供のひまわり達だって、きっと何かできるはずだよ!ひまわり達だけおうちで待ってるなんて嫌だもん…!!」

「そうね…。お約束を破るのはいけないことだけど、お父さんとお母さんを助けに行くって理由なら大目に見てくれるわよね!」

「…なでしこらしくないね?いつもなら、僕より先にひまわりを止めるのにさ」

「ふふっ、だって私もひまわりと同じ気持ちだもの。悪い魔法使いに狙われたってことは、少なからず向こうは私達の力を脅威に思ってるってことでしょ?逆に考えれば、その力があればお父さんとお母さんを助けられるかもしれないじゃない?」

「さっすが、なでしこ!あったまいい〜♪」

「あはは、そうだよね!父さんとあやめおばちゃんを助けたいのは僕達だって同じだもん! …ちょっと怖いけど、僕、なでしことひまわりと一緒なら平気だよ!」

「そうこなくっちゃ!」

「何をするにも、ひまわり達はいつも一緒だもん!怖くなんてないよねっ♪」

「えぇ!」「うんっ!」


なでしこ、ひまわり、誠一郎は手を重ね合わせ、凛々しい顔で頷き合った。

いつもながら、この子達の勇気と行動力には驚かされてばかりだ。子供って、こうやって友達や地域に溶け込みながら、親の知らない間に成長していくんだろうな…。

「時間がない…。結界が張られる前にひずみに飛び込もう!」

「おーっ!!」「おーっ!!」「おーっ!!」



「――気づかれないように静かに歩くんだぞ…?」

「了解…」「了解…」「了解…」


ひずみから巴里へ向かう為、俺と子供達は見つからないように地下室に忍び込み、かえでさん達の後を追って聖路を忍び足で進み始めた。

「〜〜暗くて怖いね…。お化けが出そう…」

「んも〜、誠一郎は弱虫なんだからぁ!」

「少しは一太君を見習ったらどう?」

「〜〜そんなこと言われても、怖いものは怖いんだよぉ…」

「――しっ!隠れろ…!!」


俺のとっさの指示に、なでしこ達は転びそうになった誠一郎を引っ張って、素早く柱の陰に身を隠した。

「――それじゃあな。必ず皆で帰ってこいよ!」

「えぇ。子供達をお願いします…!」

「行きましょう、かえで…!」


双葉姉さんと会話を交わし、ラチェットと大きな空間の裂け目をくぐっていったかえでさんを子供達と見届けると、少し顔を出して、ひずみを覗いてみた。

「あれがひずみかしら…?」

「おっきいね〜!」


――ひずみからオーク巨樹の邪念がこちらの空間に流れ込んでくる…。あの裂け目が巴里と繋がってるというのは間違いなさそうだな…!

「〜〜あんな所を通って大丈夫かなぁ…?」

「ここまで来たら、やるしかないわよ…!」

「僕達も行こう!」

「うんっ!」

「あっ!〜〜ま、待ってよぉ〜!!」


ここを一気に駆け抜ければ、ひずみに入ることができる…!

あやめさん、待ってて下さいね!今、俺が助けに――!!

――ぐわしっ!!

「〜〜うわあっ!?」

「ふっふっふ♪この私がお前達に気づかないとでも思ったか〜?」

「双葉おばちゃん…!?」


くそっ!双葉姉さんに首根っこを掴まれて、体が宙に浮いてしまった!

〜〜よりによって、子供時代の俺を知っている姉さんに見つかってしまうとは…。

「お前らだけで地下に来るなんて何考えてんだ!?ここは子供の遊び場じゃないんだぞ!?」

「ご、ごめんなさい!ひずみっていうのがどんなものか、どうしても見てみたくなって…」

「ああん?夜の厠にも行けんようなおチビどもが何言ってんだ?早く戻らんと、おばちゃんの木刀でお尻ペンペンだぞー!?」

「〜〜ぼっ、木刀で…!?」

「〜〜うわああ〜ん!!助けて、一太君〜っ!!」


〜〜いぃっ!?俺にふるなよ…!!

「いったくん…?――そういえば、見かけない甥っ子が一人いるなぁ?」

「〜〜ギクッ!?」

「その子はお友達の大賀一太君です。お正月だから、帝都で暮らすおじい様とおばあ様に会いに来たんですって」

「ほぉ…。…ということはお前らは一族以外の人間を無断で聖路に入れたわけだな?――こりゃあ、お尻ペンペンだけでは済まされん事態だなぁ〜!?」

「〜〜ひいいっ!?」「〜〜ひいいっ!?」「〜〜ひいいっ!?」

「ぼ、僕が悪いんです!僕がどうしても地下に行ってみたいって言ったから3人は…!!」

「ほぉ、友達をかばおうとは、なかなかできた…――ん…?君は一太君と言ったか…?」

「〜〜は、はい…?」


双葉姉さんは首根っこを掴んでいる俺に顔を近づけてきて、敏腕刑事のようにじーっと睨んでくる…。

「…君、よく見ると、私の弟の小さい頃にそっくりだなぁ?」

〜〜ギックーン!!

「このこめかみのほくろなんか大きさまでそっくりだ…!不思議な偶然もあるものだなぁ…。〜〜ハッ!まさか父様の隠し子が自分の子をなでしこ達に近づけて、うちの遺産を狙ってるのではないだろうな…っ!?」

「〜〜は…はははは…」


〜〜姉さん、昼メロの見過ぎだって…。

だが、まずいな…。もしも俺が別個体で存在してるとバレたら、動きづらくなってしまうんだが…。

いくら姉さんとはいえ、やはりごまかすのは――。

「――いつまで人様ん家の子に構っとるんじゃ?」

「年寄りを待たすとは、いいご身分じゃのぅ?」

「…はいはい、ただ今ー。〜〜ったく、これだから一昔前の姑世代は…」

(――今だ…!!)


結界を張る準備中の先巫女様と桂おばあ様に呼ばれ、双葉姉さんの注意がそれた隙に、俺はチャンスとばかりに姉さんの手を払って着地すると、なでしことひまわりの手を引っ張って、ひずみに向かって全速力でダッシュした!

「来い!誠一郎!!」

「〜〜うわわ…!待ってよ、一太く〜ん!!」

「――あ…っ!?お前ら…!!」

「双葉おばちゃん、ごめんなさ〜い!!」「双葉おばちゃん、ごめんなさ〜い!!」「双葉おばちゃん、ごめんなさ〜い!!」

「こぉら!待たんかぁ――っ!?」


双葉姉さんが追いかけようとしたその時、俺と子供達がひずみに飛び込んだのと入れ替わるように、魔界の瘴気を覆って鉤爪と牙をむき出しにした降魔達がひずみから出てきたので、双葉姉さんは追跡をやめ、応戦せざるを得なくなってしまった。

「〜〜チッ、こんな時に…っ!」

「…好きにさせてやれ。あの子達なら大丈夫じゃろう」

「父親も一緒のようじゃしのぅ」

「はぁ…?」

「ほっほっほ、まさか気づかなかったのかえ?」

「いい歳して霊力の区別もできんとは、隼人の血が聞いて呆れるのぅ♪」

「〜〜だ〜っ!!だから何が言いたいんだよっ!?気になって戦えんだろう!?」

「――オオオオオオオ…!」


ひずみから瘴気の風邪に紛れて流れてくるすさまじい闇の霊力に、さすがの双葉姉さんもよろけそうになって、刀を地面に刺して必死に持ち堪えた。

「く…っ!?〜〜さすがは魔界。ものすごい邪念だねぇ…」

「…これらが全て魔界のものとは限らんよ。巴里の地下に眠る負の邪念も一緒に流れ込んできておるはずじゃからのぅ」

「まさか元日早々、異世界の扉を閉めにゃならんとはのぅ…。これも幸舞の儀が中断した呪いじゃろうか…?」

「フフ、たまには悪くないじゃろうて。こうしてまたお前さんと霊力を張り合えるんじゃ…!」

「フッ、お互い無駄に長生きはせんかったようじゃな…!」

「キシャアアアアッ!!」


ひずみから出てきた降魔の雄たけびにつられて、聖路に潜んでいた降魔達も双葉姉さん達の周りに集まってきた…!

「私ら裏御三家がいる限り、日本をあんた達の好きにさせるものか…!!――はあああああっ!!」

先巫女様と桂おばあ様が息を合わせてひずみに霊力障壁を展開する間、姉さんは降魔達に邪魔されないように果敢に刀を振りかざして群れの中へ飛び込んでいった…!!



「――キシャアアアーッ!!」

「きゃああ〜っ!!」「ひえええ〜っ!!」「うわああ〜んっ!!」

「〜〜振り向くな!!前を向いてひたすら走れーっ!!」


聖路で激戦が始まった頃、俺となでしこ達は、ひずみの中の真っ暗闇の中で異形の化け物達との鬼ごっこに付き合わされていた。

双葉姉さんから逃げ切れたのはいいが、今度は俺達の霊力を狙う降魔達に追いかけられる羽目になったのだ…!!

「〜〜ハァハァ…!本当に道、こっちで合ってるの〜!?」

「〜〜ハァハァ…!僕に聞かないでよ〜っ!!」

「キエエエエエッ!!」

「〜〜うわ〜ん!!ひまわりを食べても美味しくないよ〜っ!?」

「〜〜代わりに誠一郎を煮るなり焼くなりどうぞ〜!!」

「〜〜それが異母兄弟に対して言う台詞〜っ!?」


子供の体力でこのまま走り続ければ、いつか追いつかれるのは目に見えている…。〜〜そうなったら、誠一郎達が…!

「――先に行って!」

「えっ!?」

「一太君…!?」

「うおおおおおおおっ!!」


俺は翼をはためかせて迫ってくる降魔達に全速力で向かっていきながら、パリシィの変身能力で巨大な白オオカミに姿を変えた!

「ワオオオオオオーン!!」

「〜〜ギエエエエ…!!」


見たことのない獣が仲間を噛み殺す様を目の当たりにして、降魔達も怯んだようだ。皆、蜘蛛の子を散らすように逃げていった…!

「〜〜ハァハァハァ…」

一太の姿に戻ると、俺はなんとも言えぬ疲労感に襲われて座り込んだ。

〜〜どうやらパリシィじゃない俺がこの能力を使うと、相当な霊力を消費してしまうらしい…。

「すっご〜い、一太君!!」

「格好良い〜っ!!」

「一太君って狼男だったのね…!!」

「えっ!?〜〜き、君達…、逃げたんじゃなかったのかい?」

「ふふっ、一太君を置いて行けるわけないでしょ?」

「ねぇ、今の変身ってどうやるの!?もしかして超能力!?それとも、怪人に改造されたの!?」

「ひまわり達も修行すればできるようになる〜!?」

「〜〜あ…はは…、それはどうかな…?」


〜〜変身を見ても怖がるどころか喜んでるから…まぁ、いっか。

こうなりゃ何でもアリのスーパーボーイになってやる…!!

「それより、早くひずみを抜けないと!また狙われたら厄介だからね…」

「…でも、どっちに進めばいいのかしら?」

「〜〜逃げてるうちに、どっちから来たのかわかんなくなっちゃったね…」

「一太君、『ちょーのーりょく』で出口わからない!?」

「そ、そう言われてもなぁ…」


暗闇で見づらいし、景色は全く変わらないし、まるで方向感覚が掴めない…。

〜〜参ったな…。どうするか…?方位磁石に変身しても、磁場が乱れてるからどうせ使えないだろうし…。

『――こっちだよ…』

「えっ?」


その時、アモスの声が暗闇の中に凛と響き渡るのがわかった。すると、俺達の前に蛍のような神々しい光の玉がふわふわ浮かんで現れたのである…!

「その声はアモス!?」

「よかったぁ!生きてたのね!」

『巴里に着けるように僕が導いてあげる。もう少しだから頑張って…!』


アモスの光についていくと、目の前に光が見えてきた。

「見て!きっと出口だよ!」

「行こう…!」


走るごとにだんだん大きくなって近づいてきた光に俺達4人は一斉に飛び込むと、勢いがつきすぎて前のめりになりながら整備された煉瓦道に着地した。

「ここは…?」

辺りを見回してみると、帝都とは違う雰囲気の建物が建ち並び、西洋人が世界の流行の最先端の洋装で少し気取って歩いている。

舌を噛んでしまいそうな言葉が交わされるのを聞き流しながら通りに出ると、お洒落なカフェや店が建ち並ぶ市街地に出た。

見慣れた、懐かしい景色…。よく朝食を食べに行ったカフェに、コレットさんの花屋もある…!

「やった!巴里に着けたぞ…!」

「うわ〜!ここが巴里!?」

「素敵な街ね〜♪」

「僕、外国って初めて〜!」


なでしことひまわりと誠一郎は初めて見る外国の街に興奮気味だ。てっきりホームシックにかかるかと思ったが、どうやらその心配はないらしい。

通りすがりの巴里市民達は子供達だけでいる俺達を不思議そうに見て歩いていく。

凱旋門にセーヌ川にエッフェル塔…、お洒落な看板や街並みも懐かしい。留学してた頃とちっとも変わってないな――。

「――皆さ〜ん、巴里に着きましたよぉ〜♪」

「…ハッ!?――隠れて!」

「えっ?」「うんっ!」「わあっ!?」


メル君とシー君に連れられて巴里の街を歩くかえでさん達を前方に確認したので、俺はなでしこ達と急いで路地裏に隠れた…!

「イェ〜イ!久々の巴里だぜ〜♪」

「見て見て!凱旋門ですよ〜!!」

「あはは、さくらはんたら、はしゃぎすぎやて。前来た時もおんなじテンションで観光してたやろ?」

「だって、巴里の街並みって何度見ても素敵なんですもの!後でルーヴル美術館にも行きたいな〜」

「んまぁ!クリスチャン・ディオールの巴里限定色ルージュですって!?――織姫さん、売り切れる前に何が何でも冬牙を倒しますわよ!?」

「もちろんデ〜ス!戦いが終わったらクレープでも食べながら、皆でシャンゼリゼ通りをブラブラするデ〜ス♪」

「アイリスはパパとママに会いに行きたいな〜!えへへっ♪いきなり行ったらビックリするだろうな〜」

「大河君、今夜のディナーはあそこのレストランにしない?知り合いのシェフが働いてるんだけど…」

「へぇ、ラチェットさんって巴里にもお知り合いがいっぱいいるんですねぇ!」

「ふふっ、オペラ座の近くにあるホテルの支配人とも知り合いだけど、なんならスィートルーム予約しておく?」

「あ…♪そ、そうですね。せっかくですから、巴里の夜景でも一緒に…♪」

「〜〜あなた達!呑気に観光してる場合じゃないでしょ?」

「…巴里が失くなってしまったら、買い物も観光もできなくなるのよ?」

「へ〜い…」「はぁい…」「ぶ〜…」


はは、向こうは向こうで楽しくやってるようだな。皆、無事に巴里に着けたようで一安心だ。

「…こっちはまだ瘴気は大丈夫そうだね?」

「えぇ、凱旋門支部の迫水支部長が特殊霊力部隊を編成して対処にあたっておられますので…。〜〜ですが、それもいつまでもつか…」

「〜〜急がないと手遅れになるわ…。早くシャノワールへ向かいましょう!」


シャノワール方面へ急いでいくかえでさん達を俺と子供達は路地裏から見送った。

「……ホッ、よかったぁ…。見つかったら連れ戻されちゃうとこだったね…」

「ひまわり達はこれからどうする?」

「まずは情報収集じゃない?お父さんとお母さんがどこで捕まってるのか調べないと…!」


すると、子供達の背中を後押しするように、さっきのアモスの光がまた俺達の前に現れた。

『――その光を辿って来て。僕のいる場所まで案内するから』

「やったぁ!またアモスに会えるんだね!?」

「そっちはコンコルド広場の方だな…。行ってみよう!」

「えぇ!」「うん!」「了解!」


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