紐育星組ライブ2011〜星を継ぐもの〜開催記念・特別短編小説
「ラチェットとの休日」



僕の名は大河新次郎。海軍少尉であり、紐育華撃団・星組の隊長を務めさせてもらっています。

今は長期休暇で、恋人のラチェットさんと一緒に日本に来ています。一郎叔父とかえで叔母が司令見習いと副司令を務める帝国華撃団本部・大帝国劇場にやってきているのです。

「――ほ〜ら、誠一郎、良い子ね〜!」

かえで叔母の腕の中できゃっきゃっと笑う赤ん坊。この前生まれたばかりの一郎叔父とかえで叔母の息子・誠一郎君です。大神一族に新しい顔が増えたので、僕と母さんもとても喜んでおります。

「ふむ、顔の輪郭と口は父親似で、目と鼻は母親似とみた!いずれにせよ、大神家の跡取りが誕生したんだ。いやぁ〜、めでたい、めでたい!――かえで、これからもどんどん一郎との子を産んでおくれよ!」

「〜〜ね、姉さん…っ!」

「ふふっ、お義姉さんのおっしゃる通りよ。子供は多い方がいいですものね。――そうねぇ…、今度は女の子がいいわね!」

「いいねぇ!その次は男と女の双子っていうのはどうだい?」

「まぁ!ふふふっ、いいですわねぇ!」

「だろ〜?――かえでもこう言ってくれてるんだし、これからも頑張れよ〜、一郎!あははははっ!!」

「ハハハ…、はいはい」


母さんが豪快に一郎叔父の背中をバシバシ叩いて激励しています。でも、一郎叔父の顔は幸せそうです。母さんの言うように、これから一郎叔父とかえで叔母はもっと子宝に恵まれそうな気がします。

すると、まだ父親と母親を独占していたいのか、誠一郎君が泣き出してしまいました。

「――ん…?あらあら、どうしたの、誠一郎?ふふっ、お腹すいちゃった?」

泣く誠一郎君を抱え、かえで叔母は隣のソファーに移動し、お乳を誠一郎君に飲ませ始めました。

「はは、飲んでる、飲んでる…!――いっぱい飲んで、早く大きくなれよ」

母乳を一生懸命飲む誠一郎君を、一郎叔父はかえで叔母と一緒に優しい顔で見守っています。何だかこういうのっていいな…!

僕の隣に座っているラチェットさんもその様子に微笑んでいます。いつか僕もラチェットさんとあんな家庭が築けたらいいのにな…。そう僕は呟きそうになりましたが、母さんを見て慌ててその言葉を飲み込みました。そんなことを言えば、きっと母さんは『新君はまだ嫁にはやら〜ん!!』とかなんとか言って、反対するでしょうからね…。

「――素敵だったわね、大神隊長とかえでの夫婦」

アメリカに帰る船の中、ラチェットさんが僕に向かって言いました。

「そうですね。僕もいつかああいう家庭を持ちたいです」

「……ねぇ?」

「はい?」

「〜〜やっぱり…、結婚するなら日本人の女性がいい?」

「え…?そんなことないですよ。愛さえあれば、国籍なんて関係ないですから!」

「そう…。――ふふっ、そうよね!」


ラチェットさんはホッとした表情でまた微笑んでくれました。

一郎叔父とかえで叔母が結婚して、もうすぐ1年になります。お二人が結婚を決めた一番の理由は、子供を授かったから…。そう一郎叔父から聞かされた時、僕は正直驚きました。

そういうことって、ちゃんと結婚して夫婦になった人達がやるものだと思い込んでいたもので…。アメリカならキスなんて挨拶代わりですし、そういうことは10代のうちに初めてを済ませる人がほとんどだとサニーさんが言っていたので、アメリカ人同士の夫婦でそういう話を聞いても驚きはしませんでしたけど、まさか硬派な一郎叔父とかえで叔母が…。

でも、一郎叔父はただ責任を取る為だけにかえで叔母と結婚したのではありません。お二人は以前からお互いを一生の伴侶としっかり決めて愛し合い、丁度良い頃合いに誠一郎君を授かり、入籍したのです。ちゃんと愛あっての結婚です。母さんも一郎叔父とかえで叔母が結婚を前提に付き合っていたのは知っていたので、赤ん坊ができたと聞いても大して驚きもしませんでした。むしろ、大神家の後継者ができて、喜んだくらいです。

「――絶対、幸せにしますから…」

「一郎君…」


結婚式での一郎叔父とかえで叔母の誓いのキスは、とても美しいものでした。白いタキシードと純白のウエディングドレスを着て永遠の愛を誓い合ったあの光景…。それを見て、僕はお二人の愛の深さを改めて思い知らされました。同時に、一郎叔父とかえで叔母の夫婦が僕の理想の夫婦像として確立したのです。

僕も早くラチェットさんとこんな日を迎えることができると嬉しいのですが、未熟者の僕のせいでまだまだ先のようです…。

紐育に帰ってきた僕とラチェットさんは、大きな荷物を持って僕のアパートに入りました。まだ同棲はしていませんが、ラチェットさんはよくこうして僕に会いにアパートに来てくれます。逆に僕もラチェットさんの高級マンションや別荘によく招待されるんですよ。

「お腹すいたでしょ?何か作ってあげるわね」

「〜〜えぇっ!?い、いいですよ!僕がやりますから…!!」

「まぁ、私の腕を信用してないわね?これでも少しは上達したんだから!」


ラチェットさんは鼻歌を歌いながら、キッチンに入りました。

ラチェットさんの料理は、お世辞でもとても上手とは言えません…。ですから、変な料理を作らないように僕は監視…じゃなかった、お手伝いをする為に彼女の隣に立ちます。

「何食べたい?そろそろアメリカの料理が恋しくなってきたでしょ?」

「そうですね。じゃあ、手軽なとこでハンバーガー!」

「OK!任せて」


僕がレタスやトマトなどの野菜を洗い、ラチェットさんが肉を焼きます。

2人並んで一つの料理を作る…。何だか、新婚さんみたいで照れてしまいます…。結婚したら、こういうことも当たり前になるのかな…?

「――いっただきま〜す!」

僕とはハンバーガーにかぶりつきました。肉はちょっと焦げてしまいましたが、味の方はなかなか上出来のようです。

「うん、なかなか良い感じじゃない?」

出会った当初は庶民的な料理を食べなかったラチェットさんですが、今ではこうしてよく一緒にハンバーガーやホットドッグを食べます。最近はためらうことなく、大きな口を開けてハンバーガーを頬張ってくれます。

ラチェットさんと2人で作ったハンバーガー。料理の腕に自信がない2人でも、一緒に作ったらこんなにおいしく作ることができました!それだけで、大満足です!

「今日はこれからどうしましょうか?」

「そうね…。五番街に行きたいけど、船旅で疲れちゃったわ。ちょっとゆっくりしましょうよ」

「ハハ、そうですね――」

「――あぁっ!ハンバガーだ!!リカも食べる〜っ!!」


突然、窓からリカが入ってきて、僕の頭の上に乗ってきました。

「〜〜わひゃあ!?リッ、リカ…ッ!?どこから入って――!?」

「――やっほ〜、新次郎!遊びに来たよ〜!!」


続けて、玄関からジェミニ、サジータさん、ダイアナさん、昴さんが入ってきました。〜〜僕のアパートなのに、何で皆、勝手に入ってこられるんだろう…?

「あれ?何だ、ラチェットも来てたんだね…!」

「昴は思った、紐育にいる限り、大河と2人きりになれる可能性は皆無に等しいと」

「〜〜ハァ…、こうなる予感してたのよね…」


〜〜ラチェットさんがふてくされてしまいました…。うぅ…、でも、せっかく来てくれた皆を帰すのも悪いしなぁ…。

「おっ、チキンもあるぞ〜!チッキンだ!チッキンだ!くるくるくる〜!」

「〜〜チキン…ッ!?あぁ…、鳥を食べるだなんて…。〜〜はふぅ…」

「〜〜あぁっ!!ダイアナさんがまた気絶しちゃったよ〜っ!!」


その後、ハンバーガーを追加で作って、皆でランチを楽しみました。

久し振りにジェミニ達に会えて、嬉しかったです。相変わらず星組の皆は賑やかです。でも、やっぱり、ここが僕の居場所なんだなって実感できます。皆も僕と会えて嬉しいと言ってくれました。〜〜ラチェットさんは一人、不機嫌そうでしたけど…。

そろそろ外が暗くなってきたので、帰っていくジェミニ達をラチェットさんと外まで見送りました。

「――はぁ…、やっと帰ったわね…」

「楽しかったですね。やっぱり、紐育に帰ってくるとホッとします…」

「あら、日本より落ち着く?」

「今はそうですね。紐育は僕の第2の故郷と言っても過言ではありませんから!」

「ふふっ、それを聞いて安心した!」


今日で長かった休みは終わりです。明日からまたもぎりとして、そして星組隊長として、リトルリップシアターに通う日々が始まります。ジェミニ達やプラムに杏里君、サニーさん達にまた会えるのは嬉しいけど、休みが終わってしまうのはやっぱり寂しいな…。

「マンションまでお送りしますよ。女性の夜道歩きは危険ですからね」

「ふふっ、頼もしくなったわね、大河君も」

「星組隊長ですからね!エッヘン!」


ところが、玄関に向かったラチェットさんが急に立ち止まってしまいました。どうしたんだろう…?

「――ねぇ、今日…、泊まっていってもいい?」

「え…?」

「船の中だって、ずっと一緒だったんだから、いいでしょ?ね?」

「ぼ、僕は構いませんけど…、〜〜その…」

「ふふっ、照れちゃって…!とにかく、今日は私を一晩泊めなさい!これは命令よ?」

「えぇっ!?そ、それって職権乱用って言うんじゃ…!?」

「ふふっ、たまにはいいじゃない。ね!」


シャアアアア…。〜〜ラチェットさんのシャワーを浴びる音がやけに響きます…。僕は意識するまいと蒸気テレビジョンにかじりつきますが、頭の中はラチェットさんのことでいっぱいです…。

そういえば、僕達って恋人なのにまだ深い関係にはなっていません。一郎叔父とかえで叔母はいつからそういう関係になったんだろう…?聞いてアドバイスしてもらえばよかったかなって、ちょっと後悔してみたり…。

「はぁ…、気持ち良かった。大河君も浴びるでしょ?」

「あ…、はい!」


タオルで巻いているラチェットさんの体を見ないように、早足でシャワー室へと向かいました。

ラチェットさんは大人だから、きっとそういう経験も豊富なんだろうな…。思えば、デートの時にリードしてくれるのはいつもラチェットさんです。年上で僕を引っ張っていってくれているのはありがたいのですが…、〜〜何だか、男として情けなく思います…。

シャワーを浴び終えた僕は、寝まきを着てタオルで頭を拭きながらリビングに向かいました。ラチェットさんは、テレビを観ながら赤ワインを飲んでいるようです。

「開けたばっかりなのよ。大河君も飲む?」

「〜〜ぼ、僕はその…」


〜〜駄目だ…!この状態でお酒が入ったら、確実にラチェットさんを襲ってしまう…!!

「ふふっ、ワイン飲むの初めて?大丈夫。おいしいわよ?」

すっぴんのラチェットさんも綺麗だな…。でも、やっぱり結婚前からそういう関係になるなんて…。

「〜〜ハハ…、僕、まだ時差ボケが直らないみたいで…。先に休みますね?」

少し驚いた顔をしたラチェットさんを残し、僕は寝室へ…行けませんでした。ラチェットさんに寝間着の裾を引っ張られたのです…。

「……ねぇ、私達、付き合ってもう何ヶ月目?」

「〜〜えっと…、もうすぐ1年かと…」

「そうよね?なのに、キスだって私の別荘で1回しただけなのよ?せっかく一晩一つ屋根の下にいるのに、これで何もなかったら男が廃ると思わない?」

「えぇっ!?で、でも…」

「〜〜私って、そんなに魅力ない…?」


眉間にしわを寄せて、瞳を潤ませてくるラチェットさん…。〜〜そ、そんな顔をされると僕…!

「〜〜そんなことあるわけないじゃないですか…っ!ただ、結婚していないうちからそういう関係になるのって、どうかなって…」

「あら、かえでは大神隊長と出会って早々しちゃったって言ってたわよ?」

「そ、そうなんですか…っ!?〜〜一郎叔父も何考えてるんだか…」

「きっと、ビビビッてきたのね…!あんなに真面目な2人がそうなるなんて、出会った時に余程惹かれ合った証拠だわ…!ねぇ、素敵だと思わない?」

「思いますけど…。でも、僕達は僕達じゃないですか。焦って、一郎叔父達の真似をしなくても…」

「大河君、あなたはセックスを真面目に考えすぎよ。アメリカには出会ってその日のうちに深い関係になるカップルが大勢いるんだから――」

「〜〜僕はアメリカ人じゃありません!日本人です…!!」


ハッと僕は我に返った。目の前にいるラチェットさんは明らかに動揺している…。

「〜〜す、すみません…」

「う、ううん、こっちこそごめんなさい…。〜〜そうよね…。日本人とアメリカ人じゃ文化も考え方も違うんですものね…」

「ラチェットさん…」

「〜〜私ももう寝るわ…。おやすみなさい――」

「あ、ラ、ラチェットさん…!」


僕はラチェットさんの腕を必死に掴みました。ラチェットさんの目からは涙が溢れていました。

〜〜彼女を傷つけてしまった…。船の中で『愛があれば国籍なんて関係ない』って偉そうに言ったばかりなのに…。アメリカ人の女性が日本人男性の妻になるのが変じゃないか、ラチェットさんは気にしていたのに…。

「〜〜放して…。もう休むんだから…」

「ラチェットさん…」


静かに嗚咽を漏らすラチェットさんを僕は抱き寄せ、キスをしました。

「大河君…」

「すみませんでした…。本当は僕だって、そういうこと興味はあるんです。自分の気持ちを偽った上にあなたを傷つけてしまうだなんて、馬鹿みたいですよね…」

「ふふっ、ううん、私の方こそごめんね?幸せになった大神隊長とかえでを見て、ちょっと羨ましかったのよ…。私達もいつかああいう風になりたいなって思ったら、つい強引に…」

「ラチェットさん…」


僕はラチェットさんをお姫様抱っこすると、ソファーの上に寝かせました。

「大河君…?」

「僕は日本人だけど、ニューヨーカーです。紐育にいる時はアメリカのやり方に従ってみるのもいい勉強だと思います。それに、日本のことわざでも『郷に入っては郷に従え』ってありますしね」

「大河君…」

「……本当に僕なんかでいいんですか?」

「えぇ、もちろん!ふふっ、大河君じゃなきゃ絶対、嫌よ…!」


僕はラチェットさんと微笑み合い、もう一度キスを交わしました。その晩、僕は初めてラチェットさんと深い仲になりました。初めてのことだらけだったので、いつもと同じようにラチェットさんにリードされてばかりで恥ずかしかったですが、僕達は朝が来るまで心も体も一つになり続けました。かえで叔母と毎晩のように深く愛し合っている一郎叔父の気持ちが少しわかったような気がします。セックスはただ性的欲求を満たす為だけのものじゃない。ちゃんと互いの愛を確かめ合ってさらに深めていく、恋人達にとって必要不可欠な行為なんだって…。

トントントントン…。翌朝、僕はまな板が包丁で刻まれる音がキッチンから聞こえてきて、目を覚ましました。

「あ…、おはよう、大河君」

ラチェットさんが作ってくれていたのは、ミソスープ。日本の味噌汁でした。しかも、ちゃっかりじゃがいもまで…。母さんが作ってくれる味噌汁とよく似ています。

「ひょっとして、全部一人で作ったんですか…!?」

「ふふっ、もちろん!この前、双葉お義母様から色々と教わったの。私の代わりに大河君に日本食を作ってやってくれって頼まれてね…。日本では、妻は夫の母親が作る味の味噌汁を作れるようになれて、初めて一人前として認められるんでしょ?」

「そ、そうとも言いますけど…。でも、僕達はまだ結婚してませんし…」

「そうよね…。ふふっ、でも、昨日は嬉しかったから、つい…」


昨晩のことを思い出して、僕とラチェットさんは互いに頬を赤らめました。

「私ね、昨日、寝る前に色々考えたのよ、これからのこと。私と大河君が大神隊長とかえでみたいにゴールインできる日はいつなのかなって。それに、結婚式にはだれを招待して、どういうウエディングドレスを着ようかなとか…。ふふっ、まだ気が早いかもしれないけど…」

「ラチェットさん…。僕もその…、いつも思ってるんです、ラチェットさんとこれからもずっと一緒にいられたらいいなって…。誠一郎君を見守る一郎叔父とかえで叔母を見て、僕とラチェットさんにもいつかこんな日が来たらどんなに幸せだろうって…」

「大河君…」

「とても良い匂いですね。飲んでもいいですか?」

「えぇ、どうぞ!初めて作ったから、美味しくないかもしれないけど…」


僕は具の豆腐やニンジン、じゃがいもを箸でつまんでみました。大きさはバラバラだけど、ラチェットさんが慣れない手つきで一生懸命作ってくれたことが伝わってきます。

「うん、うまい…!母さんの味にそっくりですよ…!」

「本当?よかった…!」


ラチェットさんの指には絆創膏が何枚も貼ってありました。

「ありがとうございます、ラチェットさん。僕の為に…」

「ふふっ、まだまだお義母様の味には敵わないけどね。でも、いずれは超えてみせるわ、日本人男性に嫁ぐアメリカ人妻をナメたらあかんぜよ〜!…な〜んてね!」

「あはは…!それってダイアナさんの真似ですか?」

「ふふふっ、――ねぇ、昨晩のこと、ちゃんと責任とってくれる?」

「もちろんですよ。――いつか僕がでっかい男になったら、必ずあなたにプロポーズしますから…!」

「大河君…」

「ラチェットさん…」


僕とラチェットさんがキスしようとしたその時です。ジリリリリ…!!突然の電話のベルに僕とラチェットさんは心臓が飛び出しそうになって、慌てて離れました。

「だ、誰だ…?こんな朝早くから…。――Hello…?」

「――新君か!?私だ!あ〜、そっちはもう朝か」

「母さん…!?何かあったんですか?」

「聞いてくれ!今度のライブ、この母も参加することになったぞ〜!」

「えぇっ!?で、でも、ライブって2週間後ですよ?今日からその準備で…」

「心配するな。今週中には到着できそうだからな!あ、そうそう。織姫とレニもラチェットと昴に会いたいって言うからな、特別に連れて来てやったぞ!ライブに一緒に参加してもらうのはどうだ?」

「チャオ〜!新次郎、お久しブリ〜!すぐ行くから、待ってるデスよ〜?」

「……よろしく」

「織姫さんにレニさん!こちらこそよろしくお願いします!わぁ…、何だかすごく豪華なライブになりそうですね…!」

「だろ?じゃあ、着いたらまたかけ直すからな!ちゃんと迎えに来るんだぞ〜?」

「はい、お任せ下さい、お義母様!」

「〜〜んなぁっ!?その声はラチェットか…!?何故、新君の部屋に朝っぱらからお前が――!?」

「ホホホ…!では、また後ほど〜!」


と、ラチェットさんは母さんが怒鳴っているにもかかわらず、さっさと切ってしまいました…。

「ふふっ、織姫とレニか。またサニーが『サプラ〜イズ』って連れてきたに違いないわね」

「ハハハ…!織姫さんにレニさん、そして、ラチェットさんに昴さん。今度のライブは欧州星組勢揃いですね!」

「そうね!これで司令だったかえでもいれば、完璧だったんだけど…」

「それは仕方ないですよ。子育てでお忙しいでしょうからね」

「ふふっ、それもそうね!」


今日からまたいつもの生活が始まります。これから星組ライブの稽古と準備で忙しい日々が待っていることでしょう。

でも、またこうしてファンの皆様にお会いできる…、それが僕達にとって一番嬉しいことなんです!

「――では、ラチェットさん、行きましょうか…!」

「えぇ…!」


僕とラチェットさんは元気にアパートを飛び出し、リトルリップシアターへと向かいます。

何より嬉しいのは、憧れのラチェットさんとまた一緒に舞台に立てること!それを励みに、僕は今日も頑張ります!

僕達の活躍、日本で見守っていて下さいね、一郎叔父、かえで叔母!あなた方の後輩である僕とラチェットさんは、共に今度の公演も粉骨砕身の覚悟で頑張りますから!

終わり


あとがき

スペシャル小説、記念すべき第1号です!皆様のお陰でこうして新しい小説置き場を設置することができました!本当にいつも応援して頂き、ありがとうございます!

今年の7月29日〜31日に紐育のライブが開催され、しかも私が紐育の中では一番好きなラチェットさんも出演されるということなので、記念に書いてみたのですが、いかがでしたでしょうか?

いや〜、紐育星組、初めて書きました…!初めての割には、それぞれのキャラの特徴が出せたのではないかなと自負しております(笑)

私は帝都の次に紐育が好きなので、時間に余裕ができたら、紐育の長編も書いてみようと思っています。

この小説で、今回の目玉・新次郎とラチェットさんのカップリングが少しでもいいなって思って頂けたら、嬉しいです!

そして、もう一つの目玉!大神さんとかえでさんの子供が遂にお披露目となりました!

大神誠一郎くんという男の子です!おとなしく、お父さんに似て雑用が得意な典型的な良い子という設定です。

名前は紅葉様の発案を、キャラ設定はよっぴ様の発案を採用させて頂きました!ご応募頂き、どうもありがとうございました!!

他の皆様もたくさんのご応募、どうもありがとうございました!ボツにするには惜しいアイディアがたくさん寄せられましたので、大神さんとあやめさん・かえでさんには頑張って頂いて、そのうち次男・三男・次女・三女…と子供を増やしていく予定です。

大神さんとあやめさんの子供の名前と設定も決定しましたので、近いうちにこちらも発表させて頂きますね!

それでは、このスペシャル小説置き場である「作戦指令室」、「舞台」「あやめの部屋」「かえでの部屋」同様、今後ともよろしくお願い致します!


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