美少女戦士セーラームーン 長編リメイク小説
ACT.1「セーラームーン、誕生!」その2
足音を響かせ、4つの出入り口からそれぞれ現れる四天王。クリソ・ベリルを中央に置いた魔法陣の中で剣を掲げ、呪文を唱えながら祈りを捧げる。
「――今こそ甦らん!我らが暗黒の女王・クイン・ベリルよ…!!」
黒い稲妻が走って落雷すると、クリソ・ベリルが人型のクイン・ベリルに変わる。ベリルにひざまずく四天王。
「お久し振りでございます、クイン・ベリル様」
「一足先にお待ち申しておりました」
「ご苦労であったな、四天王。――して、私のエンディミオンは?」
「はっ、エナジー濃度から感知しましたところ、この世界に転生したのは確かなようです。ですが、生まれ落ちた正確な場所までは未だ…」
「…何?では、まだこの城におらぬというのか!?」
「〜〜申し訳ございません…!!ただ今、妖魔を使って全力で探しております故、今しばらくお待ちを…!」
「フッ、まぁよい。私も封印から解かれたばかりで疲れておるからな」
指を鳴らし、現れた玉座に座って宙に浮き、四天王を見下ろすベリル。
「我々のマスター、プリンス・エンディミオン様は地球国の王子。別格のエナジーを持っておられます故、すぐに見つかるかと」
「…忘れるでないぞ?我々の目的はそれだけではない」
「――わかっております。幻の銀水晶の行方も妖魔どもに捜索させております。まずはこのジェダイトめにお任せを」
「フフフ…、楽しみにしておるぞ、ジェダイト」
「はっ!」
深々とひざまずくジェダイト。
直後、フォボスとディモスが空高く飛ぶ。竹ぼうきで桜の花びらを掃きながら黒ずんだ空を見上げる巫女装束のレイ。
「――嫌な予感がする…。とてつもなく邪悪な妖気が…近づいてくる…!」
遠くで鳴る雷鳴。風が吹き、桜の花びらが舞う。
「――あの…」
我に返って振り返るレイ。亜美が制服姿で立っている。
「お守り…、売って頂けませんか?学業成就の…」
「あ…、はい!ただ今…」
売り場に戻り、包装したお守りを亜美に渡すレイ。
「500円になります」
「ありがとうございます」
袋に入れたお守りを渡し、金を払う亜美の顔を真面目な顔で覗き込むレイ。
「――その制服…、あなた、十番高校の生徒さんね?」
「え…?え、えぇ…」
「…気をつけて。今週は高校の方角に良くない相が出てるから…」
「は…、はい…」
少し驚いて瞬きする亜美。風が吹いて桜の花びらが舞う。桜の樹の下で黒帯を締め、空手の特訓をするまことを見つける亜美。
「木野さん…?」
「知り合い?」
「クラスメートなの。あまりお話したことはないけど…」
「そう。あの子、ここのところ毎日来て、ああやって特訓してるのよ。大会でも近いのかしらね?」
風が吹き、舞う桜の花びら。制服姿の美奈子が手を振りながら駆けてくる。
「亜美ちゃ〜ん!」
「あ…、美奈子ちゃん…!」
振り返って美奈子を見るレイとまこと。一層強く吹く風と激しく舞う花びら。輪になって集まり、見つめ合う4人。
「…あれ?何だろう、この感じ…?」
「私達…、前にどこかで会ったか?」
「こういうの、デジャヴーっていうのかしら…?」
「やだ…!あなた達にも十番高校の方角に良くない相が出ているわ!こういう偶然ってあるのね…」
「あ!もしかしてあなた、噂の霊感少女!?ここら辺じゃ有名よ?予言が100%的中するって!」
「100%なんて大袈裟よ。それに巫女の仕事は家の手伝いってだけなんだから。――私は火野レイ。T.A.女学院・高等部の1年生よ」
「へぇ〜!あ、私は愛野美奈子!十番高校1年のバレー部で〜っす♪」
「私は水野亜美よ。十番高校の1年で、コンピュータ部に所属しているの」
「ほら!ボサッとしてないで、ご挨拶!」
美奈子に背中を叩かれ、うっとうしそうに睨むまこと。
「…同じく十番高校1年、木野まことだ」
「へぇ〜、皆、1年生なのね。やっぱり、すごい偶然だわ!」
「えぇ、本当に…!」
「ねぇねぇ、せっかくだからメアド交換しな〜い♪」
「あ…!〜〜私はいいって!」
「んも〜、木野さんったらノリ悪いわよ〜?」
楽しく喋る4人を遠くから見つめる制服姿のはるかとみちる。
「――やっぱり、出会ってしまう運命なのね…」
「逃れられない運命…か。見えないもので結ばれてるのかもな、僕達は…」
★ ★
テスト用紙を見ながらトボトボ歩いてくるうさぎ。
「あ〜あ、結局追試も赤点かぁ…。〜〜こんなのママに見せらんないよぉ…」
うさぎの想像。鬼の角を出して怒る育子。
『うぅ〜さぁ〜ぎぃ〜!?』
「〜〜ひぇ〜っ!!絶対殺されるぅ〜っ!!」
震えるうさぎ、角を曲がって家が見えてくると、素早く電柱に隠れる。
「――こんにちはー、うさぎさんの担任の桜田でーす」
「はーい♪」
インターホンを押した春奈を笑顔で出迎える育子。
「まぁまぁ、ようこそいらっしゃいました、先生!ささ、おあがり下さい」
「まぁ、お母様ったらお気を遣わずに〜♪」
自分の家へ入っていく春奈を見て、青ざめるうさぎ。
「〜〜そうだ…。今日の家庭訪問、うちだったんだっけ…」
再びうさぎの想像。
『うぅ〜さぁ〜ぎぃ〜!?』
『今日はとことんお説教してあげますからねっ!?』
育子と共に怒って鬼の角を出す春奈を想像し、怯えて頭を横に振るうさぎ。
「〜〜今帰ったら絶対地獄だ…。ゲーセンで暇潰そう!うん!!――へっへっへ♪こ〜んなテストなんて抹殺〜っ!」
ぐしゃぐしゃに丸めたテストを後ろに投げ捨てるうさぎ。それがサングラスをかけた衛の顔に当たる。
「――痛いじゃないか、たんこぶ頭」
「〜〜んなぁっ!?これはねぇ、たんこぶじゃなくて、おだんご――っ!!」
サングラスを外した衛の素顔にときめくうさぎ。テストを広げ、見る衛。
「……英語5点。すごい点だな」
「〜〜うっ、うるさいっ!!」
「クスッ、もっと勉強しろよ、おだんご頭」
「〜〜余計なお世話よっ!!べ〜っだ!!」
テストを奪い返し、あっかんべーをして怒って大股で歩いていくうさぎ。
「〜〜まったく、デリカシーのない男なんだからっ」
うさぎを見つめて微笑み、真面目な顔になる衛。
「――月野うさぎ…か」
★ ★
ゲーセン『クラウン』。
「〜〜あ〜ん、もうっ!お小遣い失くなっちゃうじゃな〜い…」
クレーンゲームに熱中するうさぎだが、なかなか取れずに悔しがる。
「――久し振り、うさぎちゃん」
「あ、元基お兄さ〜ん!」
クレーンゲームの景品を持って、うさぎに歩み寄ってくる元基。
「十番高校受かったんだって?おめでとう」
「はい〜!半年間ゲーセン我慢した甲斐がありましたよぉ〜」
「よく頑張ったね。これ、僕からの入学祝い」
「わ〜!ありがとうございま〜す♪」
うさぎに外部4戦士のぬいぐるみを渡す元基。
「知ってる?今話題のセーラー戦士のぬいぐるみ」
「あ〜、これがなるちゃんの言ってた奴か〜!へへっ、可愛いっ♪」
「おもちゃメーカーにまで進出するなんてすごいよなぁ。誰がどんな目的でやってるんだか…」
「――元基ー、手ぇ貸してくれー!」
「はーい!――ごめんね。今日、サークルの都合で早めに切り上げちゃうんだ」
「え〜?そうなんですかぁ…」
「来週、また来てよ。今日の埋め合わせするからさ。じゃあね!」
笑顔で去っていく元基に寂しく手を振るうさぎ。
「〜〜はぁ…。元基お兄さんがいないんじゃ、ゲーセン来た意味ないじゃ〜ん…。なるちゃん家にかくまってもらおうかなぁ…?」
トボトボとゲーセンを後にするうさぎ。
「――きゃあああ〜っ!!」
「…!?な、何…!?」
怯えながら悲鳴が聞こえてきた方へ向かううさぎ。
路地裏で宝石を持ったほたるとるるなが十番高校の制服を着た不良男子2人に絡まれている。
「〜〜うわ!あれ、うちのガッコの生徒じゃん…」
「――オラオラ、さっさとその宝石、こっちに渡せや!」
「まだお子ちゃまが持つには早いでちゅよ〜?」
泣くるるなをかばい、不良達を睨むほたる。
「嫌だって言ってるでしょ!?さっさとどっか行かないと痛い目みるわよ!?ふりょー!!」
「〜〜んだと、このガキ…!?」
「――や…、やめなさいよ…っ!!」
怯えながら、ほたるの前に手を広げて立ち、かばううさぎ。
「あぁ?誰だ、おめぇ?」
「あ…、あんた達、恥ずかしくないの!?こんな小さな子の物を横取りしようなんて…!」
「ハン!おめぇは引っ込んでろ!このたんこぶ頭!!」
突き飛ばされ、おだんごを押さえて怒るうさぎ。
「〜〜だ…っ、だから、これはおだんご――!!」
「――何やってるの、あなた達!?」
スーツ姿で駆けつけ、うさぎ達に駆け寄るせつな。
「せつな先生!」
「またあなた達ね?もう3年生でしょう!?いい加減に更生なさい!」
「るせー!!ババアは引っ込んでろ!!」
「バ…ッ!?〜〜はぁ!?」
「〜〜せっ、せつな先生、落ち着いて…!」
不良達を殴りそうになるせつなを慌てて止めるうさぎとほたる。少し怯える不良2人。
「〜〜しっ、しょうがねぇ…。――おめぇら、やっちまいな!!」
「うぃーっす」
合図で姿を見せ、うさぎ達を取り囲む下っ端の不良達。
「〜〜ひえ〜っ!!なんかうじゃうじゃ出てきた〜っ!!」
「ハァ…、――言って聞かせるだけではわからないようね?」
「ねぇねぇ、私もやっていい?」
「えぇ、殺さない程度にね♪」
「野郎ども!生意気な女どもをぶっ飛ばせー!!」
「おーっ!!」
うさぎ達に襲いかかる不良達。
「〜〜うきゃあ〜っ!!来た〜っ!!」
「うさぎちゃん、るるなちゃんを連れて安全な場所に隠れてて!」
「は、はいぃ!」
ドラム缶を見つけ、るるなと一緒に中に隠れて縮こまるうさぎ。
下っ端の不良達をあっという間にやっつけるせつなとほたる。
「ぜ〜んぜん手応えなかったね」
「フフ、見かけ倒しだったわね」
「〜〜てっ、てめぇ!教師の分際で生徒をボコボコにしてもいいのかよ!?」
「〜〜体罰だぞ、体罰っ!!」
「あら、そっちが先に手を出してきたんだもの。立派な正当防衛よ♪」
「〜〜ちょ…、調子に乗りやがってぇ――!!」
「――まぁ待て」
「兄貴…!」「兄貴…!」
学ランを着た不良のボスが背後からやって来て、頭を下げる不良2人。
「あんたらの戦い、見させてもらったぜ。随分威勢のいいチビとババアじゃねぇか」
「〜〜だから、誰がバ――!」
せつなの顎を押し上げ、ほくそ笑むボス。
「おとなしく引き下がらねーと、この綺麗な顔に傷がつくぜ、センセ?」
「…言ってくれるじゃない。あなたにも体罰が必要かしら?」
ボスと対峙し、構えるせつなとほたる。
「…何々?今どうなってんのー?」
「〜〜う、うさぎさん…!危ないですよ…」
ドラム缶の中から顔を覗かせ、対峙するせつな、ほたる、不良達を見るうさぎとるるな。
「…ここからじゃ聞き取れませんね。何を話してるんでしょう?」
「――ハッ!?まさかこれは…!?」
うさぎの想像。不良達に囲まれ、怯えているせつなとほたる。
『はっはっは!観念するんだな、冥王先生』
『〜〜や、やめて…!どうかこの子だけは見逃して頂戴!』
『うるせー!!てめぇは今から俺の女だ!!ガキどもと逃げたたんこぶ頭はフィリピンへ売り飛ばしてやるー!!』
『あぁ、どうかお助けを〜!』
『うわ〜ん!!うわ〜ん…!!』
想像が終わり、勝手に青ざめるうさぎ。
(〜〜こっ、これが噂の裏社会なのね…。先生達のピンチだわ!どうしよう…!?)
周りを見渡し、消火器を見つけるうさぎ。
「あれだわ…!――るるなちゃん、つかまっててね!?」
「えっ?う、うさぎさん…!?――」
笑いながら指をポキポキ鳴らし、せつなとほたるに近づいていく不良のボス。
「聞いて驚くな!?兄貴は空手幼少の部の全国大会で決勝まで勝ち進んだ輝かしい功績を残されたんだぞ!!」
「その後の小学生、中学生、高校生の部でも――」
「でも…、――この前の大会では予選は突破できたんスよねぇ?」
「〜〜余計な情報は公開せんでええわっ!!」
「…輝かしい功績を残せたのは幼少時代だけなんだ」
「可哀想に…。苦悩と挫折が多かったから、そんな風にグレてしまったのね」
「〜〜ほら見ろ!そういうこと言われちゃうじゃ〜ん!!ってゆーか養護教諭が生徒をおちょくっていいのかよっ!?一度でも決勝まで行ければすげーだろうがよっ!!」
「過去の栄光にいつまでもすがっていたら、前には進めないよ?」
「〜〜おめぇもさっきから何なんだよっ!!小学生が偉そうに人生論語るんじゃねぇよっ!!」
「あ…、兄貴を馬鹿にするなぁ!!」
「兄貴!空手で鍛えた力を見せつけるチャンスですぜ!!」
「そ、そうだなぁ。ククク…、俺様の鋼拳、甘く見てくれるな――」
「――ドラム缶、アターック!!」
――ゴロゴロゴロ…!!…ぷちっ。
「〜〜うわああ〜っ!!」「〜〜兄貴が潰された〜っ!!」
転がってきたドラム缶にぶつかり、あっけなく失神したボスにおどおどする子分2人。
「〜〜なっ、何者だぁ!?」
「だ…っ、黙って聞いてりゃ威張ってくれちゃってぇ〜…」
目を回しながらドラム缶から出てくるうさぎ。
「うさぎちゃん…!」
「宝石を横取りするだけじゃ飽き足らず、善良な先生と子供達を人身売買しようだなんて、たとえ日本政府が許しても、この私が許さないっ!」
「うさぎお姉様、格好良い〜♪」
ポーズと口上を決めたうさぎにうっとりするるるな。
「…何言ってんだ、こいつ?」
「…さぁ?」
「この十番高校1年1組・月野うさぎが校長先生に代わっておしおきしてやる〜っ!!」
消火器を不良達に吹きかけるうさぎ。
「〜〜どわああっ!!何なんだ、このおかしな連中は!?」
「〜〜ちきしょう…!覚えてやがれ〜」
「〜〜あ、兄貴〜!待って下せぇ〜…」
逃げていく不良達を見て、急に腰が抜けて座り込むうさぎ。
「〜〜ハァ…、怖かったぁ〜…」
「ありがとう、うさぎちゃん。格好良かったわよ」
「びえ〜ん…、せつな先生ぇ〜…」
「ふふっ、よしよし。偉かったわね〜」
うさぎの頭を優しく撫でるせつな。ドラム缶からるるなを出してやるほたる。
「大丈夫だった、るるなちゃん?」
「うん。うさぎお姉様が守って下さったから…♪」
るるなが持っている宝石とアクセサリーを覗き込むうさぎ。
「うわぁ〜!綺麗な宝石〜♪それ、どうしたの?」
「これ、るるなちゃんのおうちで売ってるんだ!るるなちゃん家、おっきい宝石店なんだよね」
「うん。ママからもらったから、学校に持ってって、ほたるちゃんにも見せてあげようと思ったんです。〜〜そしたら、さっきの怖いお兄さん達に絡まれて…」
「そうだったんだ…」
ほたるの持つブローチに目を奪われるうさぎ。
「可愛い〜♪それもるるなちゃんの?」
「ううん、これは私の!」
「へぇ、素敵なブローチだね!」
「正確に言えば、まだ誰の物でもない…かな。私達が探してる仲間のなの」
「仲間…って?」
「…ほたる」
「〜〜あ…、今の話は忘れて!別に深い意味はないんだ」
「…?」
「それよりありがとう、私のお友達を守ってくれて!さっすが十番高校の遅刻女王だねっ♪」
「〜〜えぇっ!?な、何でそれを…」
「せつなママから聞いたんだ〜♪ねっ?」
「ママ?ほたるちゃんってせつな先生の娘さんなの?」
「血の繋がりはないけどね。理由あって面倒見てるのよ」
「私、土萌ほたる!十番小の6年生で〜っす♪」
「あ、あの…」
「あ…、ごめんね、るるなちゃん。おうち帰ろうか?」
「私も送っていくわ。また変な奴らに絡まれたら大変ですものね」
「なら、私もついてくよ!るるなちゃんが心配だしさ〜♪」
「ありがとう、うさぎちゃん!」「ありがとうございます!…ぽっ♪」
「えへへへ〜♪うさぎお姉様にまっかせなさ〜い!」
笑顔でうさぎの耳元で囁くせつな。
「――家庭訪問の日だから帰りたくないだけでしょ?」
「〜〜ギクッ!?」
「フフ、安心して。今日は一日、私の家で勉強してたってことにしといてあげるわ♪」
「ぐすん…。ありがとぉ、せつな先生ぇ…」
「それじゃ、るるなちゃん家へレッツゴ〜!」
「お〜っ!」
★ ★
途中、十番街を散策しながら歩いていくうさぎ、せつな、ほたる、るるな。やがて、大きな宝石店『OSAP』が見えてくる。
「――ここがるるなちゃん家だよ!」
「あれ?ここって…」
「――あれ?うさぎ…!」
私服のなるが店からバーゲンの看板を出そうと店から出てくる。
「なるちゃん!やっぱりここ、なるちゃん家だよね!?」
「私、大阪るるなっていいます。なるは私の姉です」
「へぇ、なるちゃん、妹いたんだ〜!」
「姉がいつもお世話になってます、うさぎお姉様」
「あははは〜、いえいえ、こちらこそ〜」
「ふふっ、しっかりした妹さんね」
「〜〜ほ〜んと。誰に似たんだか…」
「――あら〜、るるなちゃん、おかえりなさ〜い♪」
「あ…、ただいま、ママ」
店からメガホンを持って出てきたなるとるるなのママ。
「こんにちは、おばさん!」「こんにちは〜!」
「こんにちは、うさぎちゃん、ほたるちゃん。まぁまぁ、冥王先生まで!今日はうち、バーゲンをやってるんですよ!是非、見てお帰り下さいな。冥王先生なら、さらにお安くしておきますわ♪」
「あら♪ほほほ、そうですか〜?」
「おばさん、私にも買えるアクセ、あります〜?」
「もちろんよ!ここで説明もなんだから、どうぞお入りになって!」
笑顔でうさぎ達を店に入れるなるママ。宝石の輝きに目を輝かせるうさぎ達。
「うわ〜!綺麗〜♪」
「真ん中はルビーのピジョン・ブラッド。隣はイエロー・ダイヤモンド。それぞれ時価10億円よ」
「〜〜じゅ…っ、10億〜っ!?」
「〜〜って、お小遣い何年分〜!?」
「フフッ、さすがにこの辺はセールできないけど、もっとリーズナブルなのもたくさんあるから、ゆっくり見てらしてね♪」
「は〜い!」「は〜い!」
「なるちゃん、るるなちゃん、クッキーを頂いたから、うさぎちゃん達にお茶を淹れて差し上げて?」
「はい、ママ」
「すみません。お忙しいのに気を遣わせてしまって…」
「いいんですよ〜、どうせ接客は従業員に任せっきりなんですから」
「それじゃ、お茶の準備ができたら呼ぶから二階に来てね」
「ありがとう。じゃ、後でね〜!」
なる、るるな、なるママと別れ、宝石を見始めるうさぎ、せつな、ほたる。宝石を見ている客達が宝石を通してエナジーを奪われていくのを見て、不気味に笑うなるママ。
(――フフフ…、もっと人間どものエナジーを集めなくては…!復活を果たした我らが女王とエンディミオン様の為にも…!!)
「――ありがとうございました」
宝石をケースに入れ、従業員に化けて不気味に笑い、客を見送るジェダイト。
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