★2−5★
帝都タワーの頂上。光武に乗って天海と戦うあやめ。おされる天海。
「〜〜ちっ、天照さえ完成しておればのぉ…」
衝撃波を撃つ天海。衝撃波を剣で払い、白い羽を散らすあやめ。
「藤枝流奥技・白鳥散華斬!!」
「ぐおおおお…っ!!」
うずくまる天海に剣を突きつけるあやめ。
「どうやら勝負あったようね」
「〜〜お、おのれぇ…!」
あやめの背後から黒い衝撃波の連弾。よけるあやめ。
「だ、誰…!?」
遠くから怪しく笑う叉丹。黒い水晶であやめを地面に張りつける天海。
「〜〜しまった…!!」
駆けつける大神と花組。
「あやめさん…!!」
「くくく…、さすがは死天王のリーダーじゃ。――これで形勢逆転じゃな」
爪を仰向けのあやめに突きつける天海。悔しく睨むあやめ。
「〜〜あやめさんを放せっ!!」
「ふははは!この女を助けたくば、このわしを倒してみるんだな!」
「大神さん、やりましょう!協力してあのおじいちゃんを倒すんです!!」
「よし!天海を撃破し、あやめさんを救出するんだ!!」
「了解!」
「ふはははは!ひよっこのお前達に何ができるものかぁっ!!」
衝撃波を撃つ天海。飛び出し、天海との間合いを詰めるすみれとカンナ。
「私の邪魔をしないで下さいましね!」
「おめぇもしっかりな!一百林牌!!」
「神崎風塵流・胡蝶の舞!!」
合体攻撃の炎が天海を包む。
「〜〜な…、何ぃ…っ!?」
荒鷹で天海を斬りつけるさくら。
「真宮寺さくら、参ります!破邪剣征・桜花放神!!」
桜吹雪に呑まれる天海。
(〜〜こ、こやつら、前回とまるで動きが…!!)
黒水晶を破壊し、あやめを助ける大神。
「大丈夫ですか!?」
「えぇ、ありがとう、大神君」
「ここは自分達にお任せ下さい!あなたは早く翔鯨丸へ…!!」
刀を構え、飛び出していく大神。華麗に戦う花組に驚き、微笑むあやめ。
「ふふっ、どうやら私の出る幕はなさそうね」
「紅蘭、サポートしてくれ!」
「了解や!――いっけぇ!ちびロボ軍団っ!!」
天海の周りを回り、攻撃するちびロボ達。
「〜〜ええいっ!!ちょこまかと…!!――!!」
天海を頭上から斬る大神。
「狼虎滅却・快刀乱麻!!」
「ぐあああああ…!!〜〜ぐぅぅ…、覚えておれ、華撃団…!次に我に会った時が貴様らの最期じゃ…!!」
うずくまって後退し、瞬間移動する天海。遠くから見つめる叉丹。
「ちっ、使えぬ老いぼれだ…」
瞬間移動する叉丹。意識を取り戻し、正気に戻る操られていた女性達。
「――あら…?私は一体…?」
「か、勝ったんだ、俺達…!!」
「きゃあ〜!念願の初勝利ですね、大神さん!」
「これもチームプレーの賜物やね!」
「ふん、あれぐらいの雑魚、勝てて当然ですわ」
「ったく、素直じゃねぇなぁ、おめぇは!」
「〜〜おっ、お放しなさいっ!!」
すみれの肩に手を回すカンナ。笑う大神達を黙って見つめるマリアに手を差し伸べる大神。
「マリアもご苦労だったね。さ、勝利のポーズ、決めるぞ!」
「わ、私は別に…あ!」
マリアの腕を引っ張る大神。
「よし、じゃあ行くぞ!勝利のポーズ…決めっ!」
決めポーズする花組。翔鯨丸。喜ぶ風組。花組を見つめる米田とあやめ。
「ははは!やってくれたな、あいつら」
「えぇ。今回はあの子達に教えられました。部下を…仲間を信じる大切さ…。私、遠い昔に忘れていたような気がします」
「そうだな。あいつらのようやく出た芽が育つかは大神…、あいつにかかってる。俺達の目に狂いがなければ、きっとやってくれるだろうさ」
喜び合う大神と花組。
★ ★
大帝国劇場・舞台。深夜。一人で稽古するさくら。
「――『ですから私は』…えっと…、何だっけ?」
「――『愛の為に生き、愛の為に死にたいのです』。まったく、何度教えたら気が済みますの?」
振り向くさくら。稽古着のすみれが腕を組んで立っている。
「すみれさん…!」
「〜〜かっ、勘違いしないで下さいましね!あなたが早く完璧になって頂かないと、おちおち寝てもいられませんわ。こんな作品が記念すべき帝劇の第一作になるなど、神崎グループの恥になりますもの…!」
「稽古、付き合って下さるんですか!?ありがとうございます…!!」
「本番までもう一週間ないのですから、今夜からビシビシしごいていきますわよ!?覚悟はよろしくて!?」
「はいっ!真宮寺さくら、頑張りますっ!!」
厳しく指導するすみれ。稽古するさくら。遠くから見る紅蘭とカンナ。
「どうやら、先越されちまったみたいだな」
「せやね。――お〜い、うちらも混ぜてぇな!」
加わり、一緒にさくらを指導する紅蘭とカンナ。微笑む見回り中の大神。
「よかった…。少しは協力の大切さをわかってもらえたみたいだな」
遠くからさくら達を見つめるマリアを見つける大神。
「あれ?マリア…?」
大神に気づき、不機嫌になって立ち去るマリア。?な大神。
★ ★
本番当日。大勢の客が集まり、忙しく案内する大神と三人娘。埋まっていく客席を舞台袖から見る衣装を着た花組。
「わぁ…!すごい数のお客さんだね」
「こりゃ想像以上の入りぶりやなぁ…!」
緊張して震えているさくら。
「さ、さくらはん、大丈夫でっか?顔色ごっつ悪いで…?」
「〜〜へ…、へへへへ…いき…!お客さんは皆にんじんだと思えば…」
「それを言うならじゃがいもでしょう?」
すみれが扇子を仰ぎながら立っている。
「あ…、そ、そうでした…」
「まったく、いまさら何を緊張なさってるの?あなたは能天気さだけが取り柄なのですから、しっかりして下さいまし」
「〜〜で、でも、もし、練習の時みたいに失敗したら…」
扇子でさくらの顎を押し上げるすみれ。
「この私が二人三脚でみっちり稽古をいたしましたのよ?失敗するはずがありませんわ」
「あ、あうぅ…、それはそうなんですけど…」
「あなたが思うクレモンティーヌを演じればいいだけです。もうとやかく言うのはやめましたわ。――あなたの好きに演じてみなさいな」
「すみれさん…」
「〜〜ど、どうせド素人のあなたに期待しても無駄ですしねっ!いいこと!?失敗しようがセットを壊しようがいいのです!!精一杯頑張ってらっしゃい!よろしくて!?」
「――はいっ!!」
「〜〜いや、セットを壊すんはあかんやろ」
「あははは!頑張ってね、さくらぁ!」
笑顔で囲まれるさくらを見つめるマリアとカンナ。
「へへっ、こりゃあ良い舞台になりそうだぜ!な、マリア?」
「…行きましょう。そろそろ本番よ」
ブザー。暗くなり、放送が流れる。
「これより、帝国歌劇団第1回公演『愛ゆえに』の上演を開始致します」
幕が開き、演じるさくらとマリア。立ち回りをするマリアにうっとりする女性客達。紅蘭を抱き起こし、涙するさくらに泣く観客達。『愛ゆえに』を歌うさくらとマリアにスタンディングオベーション。お辞儀し、手を振る花組。客席の入口から見ている大神。
「よくやった、皆…!とても素晴らしい舞台だったよ…!!」
「――本当、私達の想像以上にね」
隣に来る和服のあやめ。
「あやめさん…!」
「あの子達、ほんの少しだけど、結束力が強まったみたい。これも大神君のおかげでね」
「自分はサポートをしたまでです。さくら君達は自分達で他人を思いやる素晴らしさをわかったんだと思います」
「ふふっ、謙虚ね、大神君は。――そういうところ、好きよ…」
「え…っ?」
「――さぁ、皆を迎えてあげましょうか。初日大成功のお祝い、盛大にやりましょ!」
「あ…、りょっ、了解です!」
笑顔で敬礼する大神。
★ ★
黒之巣会・本拠地。黒い炎にあやめの姿を映す叉丹。
「あやめ…。まだ米田の支配下にいたか…」
炎を握り潰し、笑う叉丹。
「――帝国華撃団…。必ずやこの私が葬ってくれよう…!」
第2話、終わり
次回予告
あの時、あなたを失ってから…、私は人間の心を捨てた…。
仲間なんて必要ない。火喰い鳥のように孤独に戦場を駆け巡る私…。
私が隊長と呼べるのはあの人だけ…。なのに、彼は……。
次回、サクラ大戦『オンリー・マン』!太正桜に浪漫の嵐!
大神少尉、あなたは隊長失格です…!!
第3話へ
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