サイト来場者数1000人突破記念・連続小説
「大神と藤枝姉妹のセクシー旅行記〜ダブル・ハネムーン編〜」

〜3日目・昼
・その1〜



「――それじゃ、おやすみなさい、大神君」

「おやすみなさい、あやめさん」

「ふふっ、ねぇ、もっとこっちに来て…」

「か、かえでさん…!くっつきすぎですってば…」


ゾンビ事件から一夜明け、俺達はホテルに戻って仮眠をとった。

あやめさんとかえでさんにぴったり寄り添われ、体の両側で藤枝姉妹の柔らかい感触と温もりを感じながら、俺は深い眠りに落ちていく…。

――ハァ…、やっと緊張感から解放された。やることはまだ山積みだが、人間、休息も大事だからな。昼までゆっくり休むぞー…。

「――お・お・が・み・くん♪」

「大神君、まだぐっすりみたいね」

「さっきから起こしてるのに、ちっとも起きないのよ。…幸せそうな顔しちゃってー」

「ふふっ、昨日は私達を守る為に頑張ってくれたものね」


――あやめさんとかえでさんの声が聞こえてくる…。2人とももう起きたみたいだな。

……うーん…。体がまだだるい…。今、何時なんだろう…?

「ふふ、可愛い寝顔♪無防備な旦那様を見てると襲いたくなっちゃうわね」

「かえで!大神君は疲れてるんだから、ゆっくり休ませてあげるのよ?」

「〜〜むぅ…。わかってるわよ」

「ほら、早く服着ちゃいなさい。下着のままだと風邪引くわよ?」

「シャワー浴びたばっかりで暑いんですもの…。南国の島なんだし、少しくらい裸でいても平気でしょ?」


おぉっ!かえでさん、下着姿なのか!?これは是非、目の保養に拝んでおかなければ…!!〜〜く…っ、だが、眠気に負けて目が開けられん…!……スタミナ不足の自分が憎い…。

しばらくして、あやめさんの声が聞こえなくなった代わりにシャワーの音が聞こえてきた。あやめさんはお洒落だから、朝シャンしてるんだな。

『――ボビー、3000ドルを用意した。これであいつを仕留めてくれ…!』

……蒸気テレビジョンから何やら物騒な会話が聞こえてくるな…。きっと、かえでさんがアメリカのドラマを見てるんだろう。――あー、頭は冴えてきたのに体が重い…。せっかくだから、まだ横になっていよう…。

しばらくして、かえでさんは飽きたのかテレビを消すと、俺が横になっているベッドに乗ってきた。

「…まだ起きないのね?いつまで寝てるの、もう!」

かえでさんはベッドをギシギシきしませて近づいてくると、俺の額にデコピンした。〜〜痛くても頭が寝ぼけてて、起き上がることができない…。だが、さっきより少しだけ目が覚めたみたいだぞ…!俺は薄ら目を開けて、かえでさんを観察してみることにした。

かえでさんはシャワールームからあやめさんがまだ出てこないことを確認すると、いたずらっ子のように俺のズボンを下げ始めた…!〜〜いぃっ!?ちょ…、ちょっと待て!寝ている夫に何するつもりだ…!?

「うふふっ、いつもあやめ姉さんには先手を打たれてばかりだもの…♪」

男というのは寝ていても、体は興奮に反応する仕組みになっているらしい。ズボンから元気に飛び出してきて直立している俺のジュニアを見て、かえでさんはしたり顔で笑った。

「まぁ、準備万端じゃない。ふふっ、大神君ったらエッチなんだから♪」

かえでさんは俺のジュニアを手でイジメながら、自分の下半身も同時に触り始めた。

「あぁっ、くぅぅん…!はぁはぁはぁ…。あぁん、大神君、起きてぇ。ふふっ、早くお姉さんとイイコトし・ま・しょ♪」

寝ている間にこんなことをされているので、本当は目がパッチリ覚めたんだけどな…。…が、ここで飛び起きて、かえでさんを押し倒してしまうと、気まぐれなかえでさんの思うツボになってしまう!

ここは、かえでさんの痴態をもっと見ていたいという男の欲求に素直に従う作戦でいこう!…というわけで、俺はもう少し寝たフリを続けてみた。

「…結構しぶといわね。ふふふ、でも、これならさすがに起きるわよね♪」

と、かえでさんは自分の大きな乳房をぼふんっ!と俺の顔の上に置いた。

「んふふっ、ほぉら、大神く〜ん。朝ですよ〜♪」

昼なのに目の前が真っ暗だ…。鼻と口を胸に押しつぶされているので窒息しそうだが、気持ちいいな…。それに、ムフフ…。いい匂いだし…♪

「……これでも起きないなんて、よっぽど疲れてるのね…。――いいわよ…。なら、そのまま襲っちゃうから♪」

かえでさんは鼻歌交じりに俺の唇にキスすると、俺のジュニアを掴みながら、そこへゆっくり腰を下ろした。

――ギシ…ッ!

「ん…っ!ああああああ〜んっ!!」

かえでさんの騎乗位の激しさを物語るようにギシッギシッギシ…ッ!!とベッドがきしむ。

「あんっ、あんっ、あふ、はああん!あひ…っ、おふっ、大神君も早く起きて…、あうっ!動いてよぉ〜!はぁはぁあう…!はあああああ〜んっ!!」

かえでさんは絶頂を迎えても尚、猛然と腰を上下に振り続ける!

…意地でも俺が起きるまでやめないつもりだな?なら、もう少し意地悪してやるまでだ♪

「――ねぇねぇ、イッて〜!!早くイッてよぉ〜!大神くぅ〜ん!!いつもみたいに出してくれなきゃ物足りないのぉ〜!!」

いいや!今、俺は風林火山の『山』作戦を展開中なんだ!どんなにかえでさんにおねだりされようとも、動くつもりはないぞ…!!

「んもう、いいわよ…っ!――あなたがその気なら、こっちだって…!!」

――!?な、何だ…!?この下半身が燃え上がるような感覚は…!?

「うふふふっ、あやめ姉さん直伝の奥義を披露してあげるわ!――藤枝流奥義・聖女絶精!!」

かえでさんが必殺技を唱えると、かえでさんの下半身がきゅ〜っ!!と締まって、俺のジュニアをぎちぎちっとすごい力で締め上げ始めた…!!

「〜〜う…っ!うわああああ〜っ!!ちぎれるうう〜っ!!」

俺は激痛のあまり、ガバッと体を起こした!

「ふふっ、やっとお目覚めね?」

…ハッ!しまった…!!〜〜くっ、まさかかえでさんがこんなすごい必殺技を持っていたとはな…。

「ふふっ、寝たフリなんてして悪い子ね♪私に勝てると思った?」

〜〜気づいてたのか…。やっぱり、かえでさんには敵わないな…。

「〜〜頼みますから休ませて下さいよ…」

「もうお昼よ?はぁん、あはぁ…、十分休めたでしょ?あふ…っ!」


再び騎乗位で動き始めたかえでさんの言う通り、時計の針はもう昼の12時を回っていた。

「〜〜だからって、なんて起こし方してくるんですか…」

「よく言うわね、こういうのが好きなくせに♪真面目な顔しててもぜ〜んぶお見通しよ、お・お・が・み君!」


と、かえでさんにどや顔で額を小突かれた。

――朝起きたら、かえでさんが俺の上に乗っている…。よく考えてみると、確かに最高の起こされ方だ…♪

〜〜う〜む…。だが、このままおとなしく負けを認めるのも嫌だな…。

起きたばかりの頭を働かせて妙案を思いついた俺は口元を緩ませると、油断していたかえでさんの腰を高く突き上げた。

「きゃあああああああああ〜っ!!」

かえでさんは大きく背中を仰け反らすと、ピクピク体を痙攣させて俺の胸へ倒れ込んだ。

「あ…あああぁぁぁ…。こんなの初めてぇ…!すっごく気持ちいいわ…!!」

「フフ…、いかがですか、『狼虎滅却・精力絶倫』の威力は!?」

「いやあああああっ!!あっ、あっ、何なの、この動き〜!?きゃはっ!あはぁぁ!!ダメぇぇ〜!!も、もう動かさないでぇ〜!!私の負けでいいから〜!!」


フフ、あやめさんとセックスの訓練を重ねてきた俺が本気を出せば、ざっとこんなものだ…!

「――んはぁっ、はふぅ、ふぅふぅ…。す、すごい威力だったわ…。さすがは大神君、技の研究に余念がないわね」

「副司令に褒められるなんて光栄です♪」

「〜〜悔しいけど、今日は私の負けね…。でも、明日はリベンジを果たしてみせるんだから…!」

「その前に俺がかえでさんを夜這いしてやりますよ」

「ふふっ、やれるものならやってみなさい」


かえでさんは俺の健闘を称えるように唇を重ね、舌を入れてきた。俺もかえでさんの頭に手を回し、濃厚なディープキスを堪能する。

「んむっ、あはぁ…んっ!くちゅ…っ!ぷはぁ…。ねぇ、あやめ姉さんが出てきたら一緒にシャワー浴びましょう…♪」

「――ダメよ。今度は私とする番なんだから」


と、シャワールームからバスタオルを体に巻いたあやめさんが出てきた。

「あやめさん…!」

「〜〜んもう…。せっかく大神君を夜這いならぬ昼這いしようと体を清めてきたのに…」

「あっ、だから起こすなって念を押してきたのね!?ズルいわ!!」

「ズルいのはどっち!?姉さんの言うことを聞けない子にはおしおきよ…!!」

「きゃああっ!!〜〜いやああ〜ん!お尻ペンペンはやめてぇ〜!!」

「ふふふっ、姉さんを怒らせると怖いのよ〜?」


あやめさんもかえでさんと同じことを俺にするつもりだったのか…!おぉ…、想像しただけで興奮してくるぞ…!なんなら、明日はあやめさんとかえでさんの両方に…♪

『――次のニュースです。昨晩、ホーリー・アイランド島で開催されたハロウィーンコンテストに突如、ゾンビの集団が乱入しました』

おっ、昨晩の戦いがテレビのニュースで取り上げられてるぞ!あやめさんとかえでさんの耳にも入ったようで、二人とも喧嘩を中断して、俺と一緒にテレビに見入った。

『――目撃者によると、カメラ撮影をしていたジミー・コナーズさん(22)が襲われたのをきっかけに楽しいコンテスト会場が一転、恐怖の現場と化した模様です』

ヘリから撮影した映像に戦う俺達が映ってるぞ…!しかも、ジャックの巨大ジャック・オー・ランタンまで…!!〜〜これって、まずくないか…!?

『――ゾンビ軍団と戦っているのは、コンテストの1組目に出場していたジャパニーズ・トリオのようですね。これはパフォーマンスの一環なのでしょうか?それとも、本当に屍が動き出すような怪奇現象が起こってしまったのでしょうか?専門家の方々にお話を伺ってみましょう』

『実にくだらないパフォーマンスだ!活動写真じゃあるまいし、ゾンビなんて実在するわけないでしょう?あれは間違いなく、主催側の行き過ぎたサプライズイベントだ!』

『いいや、この映像は間違いなく本物です!主催側がコンテストを中止にして何の得があります!?』

『おそらく、主催側はあれだけ現場がパニックになることを予測できなかったのでしょう』

『Hahaha…!これが活動写真なら、間違いなくB級と格付けされるでしょうなぁ』

「〜〜私達の苦労も知らずに好き勝手言ってくれちゃって…」

「でも、ノーマの仕業と思われていないのが救いだわ。奴は霊体だから、テレビカメラには映らなかったんでしょうね」

「ノーマが完全に力を取り戻すのも時間の問題ですね…。また刺客を送られてくる前に、こちらから攻め込んでやりましょう!」

「なら、キュピピ族の里に行ってみない?彼らの協力があれば聖剣を使えて戦いを有利に進められるでしょうし…」

「でも、部外者の私達を里に入れてくれるかしら…?」

「他にあてはないんですし、行くだけ行ってみましょうよ」

「司令見習い君の命令に副司令は従うものよ?」

「ふふっ、そうね。それじゃ、ご飯を食べたら出発しましょうか!」

「了解!」「了解!」




俺とあやめさんとかえでさんは部屋を後にすると、昼飯を食いにホテルの中のビュッフェレストランに入った。――が…!?

「〜〜何て不味い料理なんだ…っ!?こんなものに金が払えるかっ!!」

「何だと!?お前みたいな客に食わせる料理なんぞねぇ!!さっさと出てけっ!!」


レストランに入って早々、シェフと男性客が取っ組み合いをしていた。

「大変だ…!早く止めないと…!」

「…彼らだけではないみたいよ?」


あやめさんに言われて辺りを見回してみると、客同士、シェフ同士、従業員同士…!レストランのあちこちで皆が皆、目くじらを立てて派手な喧嘩を勃発させていたのだ!〜〜こんな光景、日本じゃ考えられないが…。

「どうなってるんだ…?」

「〜〜こんな所じゃ落ち着いて食べられやしないわ…。別のレストランにしましょ?」


だが、異様な喧嘩祭りが繰り広げられていたのはそこだけではなかった。

ホテルの別のレストランでも客と従業員が、チェックインとチェックアウトする人が入り乱れるロビーでもホテルマン同士が、癒しを与える露天風呂でも客同士が、珍しいお土産がたくさん売られている売店でも客と店員が…!皆が皆、激しく衝突し、罵り合い、傷つけ合っているのだ…!

「〜〜そんな…。ここでもなの…?」

「おい、落ち着け…!やめないか!?」

「――うるせぇ!!お前も牛刀で切り刻んでやろうか!?」

「ケケケッ!このピアノ線で首をはねてやるぜぇ〜!!」

「〜〜いぃ…っ!?」


俺に襲いかかろうとした牛刀を武器に持つシェフとピアノ線をピンと張ったエレベーターの整備員を、あやめさんとかえでさんが取り押さえてくれた…!

「〜〜離せぇっ!!このアマ!!」

「〜〜キヒヒヒッ!そのもち肌をズタズタに切り裂いてやるぅ〜!!」

「…無駄よ。皆、正気を失ってるわ」

「…見た感じ、私達以外の全員が喧嘩に没頭しているみたいね」

「一体、このホテルで何が起こってるんでしょう…?」

「詳しくはわからないけど、ノーマが関係しているのは間違いなさそうよ?」

「外に出て、街の様子を見てみましょう」




街に繰り出してみても同じ状態だった。

道路では車同士がぶつかり合い、路地裏ではカップルが取っ組み合い、道端では子供達が泣きながら叩き合い、公園ではお年寄り同士が入れ歯が外れそうなほど激しく罵り合っている…。

人間だけではない、路地裏では野良猫同士が威嚇し合い、道端では飼い主同士の傍らで犬同士が吠え合い、空を見上げると、鳥同士が突つき合いながら飛んでいる…。

バスの車内にタクシー乗り場、観光名所に土産物店…。見渡す限り、島のあらゆる場所で地元の人、観光客が所構わず喧嘩に没頭している状態だ。

昨日までの快晴が嘘のように太陽は雲に隠れ、昼間だというのに薄暗い。このことも人々の気分を滅入る状態にしているのかもしれない…。



「〜〜これじゃハネムーンどころじゃないわね…」

仕方なく、俺達は喧噪の少ない場所を求めて川原に来た。が、ここにもゴミが散乱している。昨日まではゴミ一つない美しい観光地だったのに…。

たった一晩で観光名所とは思えないほど、ホーリー・アイランドは荒廃してしまっていた…。俺達が寝ている間に何が起こったんだろう…?

「これもノーマが復活した影響なのよね…?」

「えぇ。きっと島の人達の負の感情を増幅させて支配して、この島を内側から壊滅させようとしてるんだわ…」

「〜〜くそ…っ!これ以上、好きにさせてたまるものか…!!」


――ぐぅぅぅ〜…。きゅるるる……。

〜〜う…。俺のシリアスな怒りを嘲笑うように腹の虫は鳴り続ける…。

「〜〜お腹すいたわね…」

「〜〜ここで魚釣りでもしてみる?」


〜〜はぁ…、このまま怒っててもエネルギーを消費するだけだしな…。営業中の店を探して、何でもいいから食わないと――。

「――あれ…?君…、大神さんだよね?」

「え…?」

「やっぱりそうだ…!ここだよ、ここ〜!」


声がした方に目を向けると、イルカの調教師のレオンさんと女医のマーサさん夫妻がバーベキューをしながら笑顔で手を振っていた。

「レオンさんにマーサさん…!」

「また会えて嬉しいわ。かえでさんの具合はどう?」

「はい、お陰様で。昨日はお世話になりました」


かえでさんはマーサさんを見ると、嫌そうに顔をしかめた。〜〜診療所でマーサさんが俺と仲良く話していたこと、まだ根に持ってるらしいな…。

「彼らと知り合いなの?」

「はい。あやめさんは初対面でしたよね?紹介します、レオンさんとマーサさん夫妻です。洞窟を探索した際にお世話になったんですよ」

「バース診療所で院長を務めております、マーサ・バースと申します。どうぞよろしく」

「大神の家内のあやめと申します。よろしくお願い致しますね」

「あら、確かそちらのかえでさんも大神さんの奥様でしたわよね?」

「えぇ、私は大神の二番目の妻ですから」

「日本では大尉以上の軍人は二人まで妻を娶ることができるんですよ。優秀な子供をたくさん作って日本を豊かにする為の政府の命令でね」

「へぇ、大神さんって軍人さんだったんだ!どおりで異彩を放ってると思ったよ〜♪」

「〜〜レオン!そこ、こげてるわよ!?」

「〜〜うわっ!あちちちち…っ!!――ふぅ…、ギリギリセーフかな…」

「随分、大きな肉ですね…!」

「はは、美味そうだろ?今、レストランはどこも休業状態だからさ、仕方ないからバーベキューしてたところなんだ。よかったら一緒にどうだい?」

「まぁ、本当ですか?ご迷惑じゃなければ是非、ご一緒させて下さい」

「ふふっ、バーベキューって人数が多いほど楽しいものね♪」


…そういえば、マーサさんとレオンさんは喧嘩してないんだな。何でだろう…?

――いや、それよりまず腹ごしらえだ!考え事をしていたら、ますます腹が減ってしまうからな…!

「いっただきま〜す!」

はぁ…、肉汁たっぷりの肉が口の中でとろけて、胃袋にしみわたる…♪

「う〜ん、おいしいわねぇ〜!」

「生きてるって素晴らしいわ〜!」

「ふふ、どんどん焼かせますから、たくさん召し上がって下さいね」

「俺も手伝いますよ。レオンさんばかりに焼かせるのも悪いですからね」

「いやぁ、助かるよ!大食らいの妻を持つと大変でさ…」

「マーサさんって細いのにそんなに召し上がるの?」

「あはは、違う違う!僕が言ってるのはマーサじゃなくてね…――」

「――悪かったねぇ、大食らいの妻で」


そこへ、レオンさんやマーサさんと同じ褐色の肌の女性が野菜の入った袋を担いで近づいてきた。その女性に俺とあやめさんは驚いた…!

「あなたは…!」

「『Hell`s Gate』の…!」

「よっ、また会ったね!ジャパニーズ・ヘンタイ・カップル♪」


くわえタバコに見覚えのある腕と胸に彫ってあるハートのタトゥー…。ま、まさか昨日あやめさんと行ったSMショップの女店長か…!?

「ありがとう、カーラ。お肉だけじゃ栄養が偏っちゃうものね」

「ちっ、ベジタリアンはお前だけだっつーの!」


…ん?そういえばカーラって名前、どこかで聞いたような…。

『――何だかレオンとカーラを見ているみたいだわ』

そうだ…!マーサさんが昨日、呟いてたんだっけ。〜〜まさかその人がSMショップの店長だったなんてな…。…世の中って案外狭いもんだな。

カーラという名の女店長はマーサさんに野菜の袋を託すと、あやめさんの顎を押し上げて頬を撫でながらニッと笑った。

「おや、肌のハリがいいねぇ。フフ、そこの下僕君と昨日もお楽しみだったのかい?」

「あん…っ!は、はい。お陰様で…」

「カーラ!ふざけてないで野菜洗うの手伝って」

「…はいはい。ったく、人使い荒い姉を持つと苦労するよ」

「まぁ…!カーラさんってマーサさんの妹さんでしたの…!?」

「ふふっ、よくそうやって驚かれますわ。私達姉妹は二人ともレオンの妻なんですよ」

「私らキュピピ族は一夫二妻制の家庭が一般的だからね。そういう坊やこそ、似た顔の女を2人連れてるじゃないか。あんた達も姉妹なのかい?」

「えぇ、私はあやめの妹のかえでです。昨日は主人と姉がお世話になりました」

「へぇ〜、ニッポン男児は草食系が多いって聞いたけど、坊やみたいなオオカミもいるんだねぇ。フフ、おとなしそうな顔して両方手なずけちまうなんて、よっぽどイイモノを持ってるんだろうねぇ♪」

「いぃっ!?」

「ふふっ、もうカーラさんったら♪」

「…カーラ!下品なこと言ってないで、早くお皿並べちゃいなさい!」

「ケッ、カマトトぶって…。お前だって、レオンがイイモノ持ってるから結婚決めたくせによ♪」

「〜〜んもう、カーラ!?」

「ははっ、本当の話じゃないか♪」

「ハハハ…、マーサさんとカーラさんって仲が良いんですね」

「だろう?二人とも僕の自慢の奥さんなんだ」

「――オラ、レオン!くっちゃべってねぇで、どんどん焼きなっ!!」

「レオン、こっちの野菜もお願いねー!?」

「〜〜は〜い…!!」


〜〜はは…、レオンさんと俺って似た者同士だな…。

よーし!バーベキューを満喫して、ノーマに負けないほどスタミナをつけてやるぞ…!!


3日目・昼・その2へ

作戦指令室へ