サイト設立1周年記念・連続長編小説
「サクラ大戦×コラボ小説
〜時空を超えた英雄達〜」
第1章「狭間を繋ぐ者〜『テイルズ・オブ・シンフォニア』×『サクラ大戦』〜」その2
「――ここが私達が暮らしているイセリア村です」
神託の村・イセリア。シルヴァラントの神子・コレット生誕の地として有名な、のどかで小さな村だ。
「空気が美味しいわねぇ。欧州の田舎で見かけそうな村だわ」
「のどかで素敵な場所ですね」
「だろだろ〜♪」
「今日は記念祭があるから賑わっているけれど、普段はのんびりした村なのよ」
「ロイドとコレットを見れば、この村がいかに平和かわかるでしょ?」
「はは、確かにな」
「ムッ、どういう意味だよ、それ〜!?」
「――ロイドじゃないか。ダイクさんが探してたぞ。すぐ帰ってやりな」
「親父が?わかった、すぐ行くよ!」
「――ジーニアス、パルマコスタで新鮮な魚介類を入荷したんだ。安くしておくから、後で寄ってっておくれよ」
「わぁい♪ありがとう、おばさん!」
「――おんや、お客さんかい?何もない村だけど、ゆっくりしていっておくれよ」
「ありがとうございます…!」
村の人達に温かく歓迎され、大神とかえではホッと胸を撫で下ろした。
「この村の人達は皆、良い人みたいね」
「えぇ、この村だけは何も聞かずに私達・姉弟を受け入れてくれたもの…」
「え?」
「〜〜ね、姉さん…!」
「平気よ、ジーニアス。彼らはこの世界の現状を詳しく知らないもの」
「受け入れてくれたって…、あなた達・姉弟はよそから来たの?」
「うん…。姉さんはヘイムダールっていうエルフの集落で生まれたんだ」
「エルフってゲームによく出てくる魔法を使える種族のかい?」
「〜〜そう、それだよ!僕達は優秀なエルフだからね〜」
「なるほどね、どおりで魔法を使えるわけだわ」
「えへへへ…」
嘘をついたことにリフィルとプレセアから無言で責められたような気がして、たまらずジーニアスは目をそらした。
「――コレット、ここにいたのか…!」
「あっ、お父様〜!」
父・フランクが来ると、コレットはより嬉しそうにニコニコした。
「はぁ、よかった…。姿が見えないから心配していたんだよ?」
「もしかして、フランクさんに内緒でついてきたの!?」
「〜〜はうぅ…、ごめんなさい。どうしてもロイドを迎えに行きたくて…」
「ハハ…、そんなことだろうと思っていたよ。お友達と遊ぶのも結構だが、今夜は記念祭の本番だ。一度、アスカードでリハーサルしておくといいよ」
「は〜い♪」
「コレットはアスカードの石舞台で歌を歌うんだよね〜」
「俺とジーニアスは勇者ミトスの劇をやるんだよな!」
「へぇ、そうなのか」
「プログラムの都合で、やるのは夜になっちゃうかもしれませんけど、よかったら見に来て下さいね〜」
「ありがとう。楽しみにしてるわね」
「よかったね、コレット。アスカードに行く前に家に寄っていくといい。上手く歌えるようにファイドラおばあ様がお守りを作って下さったんだ」
「わぁ、おばあ様が?すぐ行きま…〜〜ふみゅっ!?」
コレットはつまずくもののない所で派手に転ぶと、民家の壁に等身大の穴を開けた。
「うわあっ!!コレット〜!?」
「〜〜気にしないで。いつものことだから」
「コレットさん、大丈夫ですか?」
「うん、だいじょぶだよ♪」
「はははは…!コレットは相変わらずドジっ娘だよなぁ」
「〜〜これ…、ドジっ娘ってレベルなのかしら…?」
「おぉっ!記念祭の日に神子様が穴を開けて下さったぞ…!!」
「ありがたや〜!我が家の家宝になるのう」
「神子様、うちのみすぼらしい壁にも是非…!」
「〜〜開けられた方も喜んでますね…」
「――では、私達はこれで…」
「それじゃ、アスカードでね〜♪」
「おう!頑張れよ〜!」
フランクはまたいつ転ぶやもしれぬ娘をハラハラ見守りながら、家に連れて帰った。
「――さてと、コレットも行っちゃったし、僕も準備に取り掛かろうかな〜」
「確かジーニアスは炊き出し係もやるんだよな?」
「うん!僕みたいな天才料理人、そうはいないからね〜♪」
「調子に乗るんじゃありません!」
――ポカッ!!
「〜〜あいてっ!…はは〜ん、さては姉さん、僕が料理得意だから妬んでるんでしょ?」
「〜〜う…。馬鹿なこと言ってないで、早く食材屋に行ってきなさい!」
「はいは〜い」
「私も買い出しに行きたいです…」
「プ、プレセアも!?もちろんだよ…!!ふ、二人で行くってことは、デートみたいなものだよね…♪――じゃあさ、記念祭が終わったら、ユウマシ湖で夜の散歩でもどう…?あはははっ!なんちゃって、なんちゃって〜♪」
「――大神さんも一緒に」
「〜〜えっ!?」
「俺も?」
「買い出しは男手がある方が助かります」
「〜〜むぅ〜、荷物くらい僕一人で持てるよっ!!」
「…ジーニアスでは、100人前超の食材を持って帰るのは不可能です」
「〜〜ガ〜ン…!!」
「〜〜俺がいても100人前なんて持てるかな…?」
「私が持つから大丈夫です。行きましょう、大神さん」
「え?あ、ちょっと…!?」
「〜〜あっ!待ってよ、プレセア〜!!」
プレセアに引っ張られる大神をジーニアスは慌てて追いかけていった。
「ふふっ、頑張るのよ〜、大神君♪」
「ジーニアスが初対面の人間になつくなんて珍しいよな?」
「わかる気がするわ。彼、ロイドとどこか雰囲気が似ているもの。おつむは彼の方が上かもしれないけれど」
「〜〜ムッ!そんなのわかんないだろ〜!?」
「…それよりいいの?あなた、お父様に呼ばれてるのではなくて?」
「あ、そうだった…。――かえでも来いよ!よかったら今夜の寝床として使ってくれ」
「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわね」
かえではロイドとリフィルと共に、イセリア村から少し離れた所にあるロイドの家に行くことになった。
★ ★
「――親父〜、今帰ったぜ〜!」
ロイドが家に入ると、体格の良いドワーフの男が額に青筋を立てながら、鍛冶工房から顔を出した。
「今までどこほっつき歩いてたんだ!?ペンダントの納品は今夜なんだぞ!?」
「悪い悪い!急にリフィル先生に呼び出されちゃってさ〜」
「言い訳はいいから早く手伝え!また村長に怒鳴られたいのか!?」
「〜〜わかったよぉ…」
「…ん?見ない顔だな…」
「あぁ、かえでっていうんだ。遺跡で友達になったんだよ」
「そうか。狭い家だが、適当にくつろいでくれ」
「ありがとうございます」
「出来上がるまで、ここで待ってるわね」
「おう!」
ロイドはダイクと工房に入り、コレットが歌う時に身につける記念ペンダントの制作に取り掛かった。
窓もなく、火が絶え間なく燃え続ける鍛冶工房で、ロイドは金槌片手に額の汗を拭いながら、真剣な顔で打ち続けている。
そんな彼をリフィルはドアの隙間から静かに見守っている。
「ロイド君って器用なのね。鍛冶職人に向いてると思うわ」
「そうね。器用さと暑苦しさが彼の取り柄ですもの」
「あら、手先の器用さと熱血漢でいったら、うちの大神君もなかなかのものよ?」
「ふふ、二人ともクールな私達とは正反対といったところね」
「ふふっ、そうね。人って自分にないものを持つ異性に本能的に惹かれるっていうもの。――あぁ、ありがと」
「どうぞ。茶葉が少なかったからブレンドしてみたのだけれど…」
「そう。随分、不思議な香りのする茶葉ね…――!?」
リフィルが淹れてくれた紅茶を一口飲んだ直後、かえではみるみるうちに真っ青になり、痙攣する手で口を押さえながら洗面台に向かっていった。
「…う〜ん、やっぱりカモミールにトレントの球根とバットの翼はまずかったかしら?」
モンスターの一部と思われる怪し気な材料を持って、リフィルは妖しく笑った。洗面台からやっとの思いで生還したかえでは脂汗をかきながら、まだ痙攣が収まらない手で口を押さえている。
「〜〜どおりで台所に長い間いると思ったわ…。あなた、私に恨みでもあるの…っ!?」
「まさか。お近づきの印に新種のブレンド紅茶の試飲に付き合ってもらっただけよ。それで、何か効能は表れた?力が2倍になったとか、俊敏になったとか…!?ワクワク♪」
「〜〜死ぬほどの吐き気と腹痛に見舞われただけよっ!!」
「そう…。トレントの球根は毒性が強いから、食用には向かないみたいね。これからは気をつけるわ」
「〜〜人に出す前にまず自分で飲みなさいよっ!!そもそも、どうしてわざわざ毒物を入れるのよっ!?」
「紅茶一つにも意外且つ斬新な飲み合わせを求めてしまうのが研究者というものですもの。どんな分野も先人の知恵を甘んじて受けているだけでは発展なんて望めないでしょう?」
「〜〜あなたの専攻は考古学でしょ!?紅茶は紅茶のプロに任せておけばいいのっ!!」
「だって興味をそそられるでしょう?異世界の人間の胃腸ってどんな構造になっているのか♪」
「〜〜異世界とか関係なく、飲んだら誰でも天に召されるわよっ!!」
そこへ、工房からロイドが汗だくで出てきた。
「ふぃぃ〜、あっちぃ〜…。〜〜ゲッ!?何だよ、この臭い…!?」
「ロイド、いいところに来たわね♪新種の紅茶よ。飲んでみてくれる?」
「〜〜私の話、聞いてたわよね…?」
「〜〜頼むからさぁ、もう変な食べ合わせ考えないでくれよ…。俺だって鉄の胃袋じゃないんだぜ?」
「失礼ねぇ。私は人類の未来を思ってやっているのに…」
「それより、タオルないか?」
「ふふっ、仕方ないわねぇ。――はい。一回シャワー浴びてきたらどう?」
「そうだな。サンキュー、リフィル先生♪」
ロイドの頭をタオルでゴシゴシ拭いてやり、リフィルは照れながら笑った。先程までの悪魔の笑みとは反対に、今はとても幸せそうだ。
「それで、ペンダントはできあがったの?」
「おう、あとは仕上げだけだな。祭が始まるまでには出来上がるだろ」
「棚に並べてある作品もどれも精巧ねぇ…!これも全部あなたとダイクさんで作ったんでしょう?」
「へっへ〜ん♪なんてったって親父は一流の鍛冶職人・ドワーフだからな!」
「テセアラとの抗争で鉱物が取れにくくなっちまったが、なんとか間に合ってよかったぜ」
「それじゃあ、学校の皆も待っていることでしょうし、アスカードに向かいましょうか」
「〜〜あっ!そうだ…!!リハーサルのこと、すっかり忘れてたぜ〜!!」
「…その慌てぶり、まさかまだ台詞を覚えてないとは言わないわよね…!?」
「〜〜あ…ははは…、字見てると何故か睡魔が襲ってくるんだよなぁ…。ほら、俺って教科書使う授業、寝てばっかじゃん?」
「威張って言うことではありませんっ!!」
――ポカッ!!
「〜〜いてっ!!」
「〜〜ハァ…。どうせそんなことだろうと思ったから、台詞の少ない兵士Cの役にしてあげたのに…」
「情けねぇなぁ…。ドワーフの誓いはすぐ覚えられたじゃねぇか」
「あれは覚えられなかったら飯抜きだったからな」
「なら、今回もそうしましょうか。台詞を覚えられなかったら、今日の炊き出しは一切食べてはいけません!!」
「マジかよ!?今日はジーニアスのカレーライスとマーボーカレーが同時に食べられる日なんだぜ!?」
「そんなに食べたいのなら、私が作ってあげます!」
「〜〜うわぁ〜!!それだけは勘弁してくれぇ〜!!」
「〜〜どういう意味よっ!?」
「〜〜ね…ねぇ、私も何かお手伝いできないかしら?これでも元の世界では、劇場の副支配人をしていたんだけど…」
「本当か!?なら、芝居のプロってわけだよな!〜〜頼む!どうすれば台詞を覚えられるのか教えてくれ…っ!!」
「それはあなたのやる気と努力次第ね。私やリフィルさんの力だけじゃどうにもならないわ」
「〜〜ハァ…、だよなぁ…」
「ところで、かえで。あなた、お芝居の経験はあって?」
「えぇ、何度か舞台に立ったことはあるけど…」
「なら、この子達と一緒に劇に出てくれないかしら?マーテル役の娘が怪我をしてしまって、代役を探していたところなのよ」
「いいわよ。ふふっ、異世界でもお芝居ができるなんて嬉しいわ♪」
「ありがとう、助かるわ」
「よ〜し、じゃあ、イセリア村に戻って、一郎達と合流するか!」
「えぇ、そうしま――!」
「――うふふっ、そうはさせないわよ〜♪」
可愛らしい少女の声が家の中に響いた刹那、たてがみを生やした大きな魔獣がドアを壊して侵入してきた…!
「な、何だ…!?」
リフィルは魔獣に装着されている装置を見て、眉を顰めた。
「あれはヒュプノスだわ…!」
「それって、アリスが使ってた魔物を使役できる装置か…!?」
「うっれし〜♪アリスちゃんのこと、覚えててくれたのね〜」
そう言いながら、壊されたドアから魔獣の背中に乗って入ってきたのは、調教師用の鞭を持った可愛らしい少女だった。
「アリス…!?」
「どうして…!?デクスと一緒に死んだはずじゃ…」
「うふふ、どうしても知りたいなら教えてあげるわ♪この世界はね、一度滅亡したの。でも、完全に消滅したわけじゃないのよ。生きようと必死にもがいて、あがいて…、かろうじて原形を保っている状態なの」
「アンジュ女王の仕業ね…!?」
「はぁ?だぁれ、それ?――アリスちゃんが話してるんだから、おばさんは黙ってな!!」
狂気に満ちた表情に変わったアリスの鞭がかえでに制裁をくわえた。
「きゃ…!?」
「かえで…!」
「うふふ♪単純なことよ。崩壊した際に世界中のマナエネルギーの流れが変化しただけ。――ここでもんだ〜い♪万物の源である世界樹…。そこから創られるマナエネルギーの流れが変わったら、どんなことが起こると思う?」
「〜〜生態系は崩れ、死んだ人間が生き返ることも可能になる…」
「ピンポンピンポン、大正解〜♪」
「〜〜そんな…!?じゃあ、デクスも甦っているのか!?」
「えぇ、そうよ♪あんなうざいだけの馬鹿、アリスちゃんの下僕にはふさわしくないけどぉ〜、あの方のご命令ならしょ〜がないもんね〜♪」
「あの方って誰なの…!?」
「うふふっ、すぐにわかるわよぉ〜♪――生きてたらだけど…!!」
アリスは可愛らしい顔から再び悪魔の顔つきになると、使役しているキノコ型の魔物に毒の粉をまき散らさせた…!
「きゃ…!?」
「〜〜く…っ、これは毒か…!?」
「〜〜皆、吸っては駄目よ…!」
「あはははっ、よっわ〜い。パワーアップしたアリスちゃんの敵じゃないわね〜♪」
すると、工房から出てきた鳥型の魔物が完成したばかりのペンダントをくわえてきた。
「は〜い、よくできました〜♪」
「〜〜ペンダントが…!!」
「何故、それを狙う…!?一級品かを見定める目があるのは褒めてやるがなぁ…」
「はぁ?誰に口きいてんのよ、おっさん?これからくたばる奴になんか教えてあげないもんね〜♪きゃはははっ――!!」
高笑いしていたアリスの顔が突如、凍りついた。いつの間にか背後に回っていたかえでが神剣白羽鳥をアリスの首に突きつけていたのだ…!
「――おあいにく様。私はピンピンしてるわよ」
「〜〜な、何で…!?トードストールの毒を受けて立っていられるなんて…」
「さぁね?――思い当たるとすれば、リフィルさんの紅茶に入っていたトレントの球根で免疫ができたからかしら?」
「〜〜マジかよ…!?」
「ふふっ、だから素直に飲んでおけばよかったのに♪」
「〜〜超ムカつく〜っ!!アリスちゃんを怒らせると怖いんだからぁ〜!!」
アリスに服従している魔物達がかえでに一斉に襲い掛かってきた…!神剣で孤軍奮闘しているが、疲れ知らずの魔物相手では限界がある。
「〜〜かえで…!」
「――リカバー!!」
リフィルのロッドから放たれた聖なる癒しの光がロイドの体内にあった毒を消し去った…!
「サンキュー!さすがリフィル先生だな」
「ふふっ、私達も行くわよ、ロイド!」
「おう!――たあああああっ!!」
「シャープネス!!」
リフィルの魔術で力を強化させたロイドは二本の刀でかえでを襲う魔物達を切り裂いた!
「とどめだ!鳳凰天駆!!」
「きゃああ〜んっ!!」
アリスはロイドの奥義で倒れた魔獣の背中から落ち、尻もちをついた。
「〜〜いった〜い…!!ちょっと!女の子は腰を悪くするといけないのよ!?」
「なら、安静の状態で椅子に拘束してあげてよ」
「〜〜ふんっ!偉そうにしていられるのも今のうちよ…!?千年王国の誕生はもうすぐなんだから」
「千年王国ですって…!?」
「〜〜まさか、お前が従っている奴って…!?」
アリスはほくそ笑むと、指笛を鳴らし、使役している怪鳥型の魔物を呼んで、その足にぶら下がった。
「〜〜しまった…!」
「リフィルさん…だったかしら?その生意気な態度を改めない限り、あなたも弟さんも千年王国には入れてあげないわよ?私達につくか、敵対するかはあなたの意思に任せるわ。くすっ、じゃあね〜♪」
「待ちなさい…!」
高笑いしながら飛んでいくアリスをかえでは追おうとしたが、人間の足では空飛ぶ怪鳥に追いつけるわけもなかった。
「〜〜逃げられたわね…」
「……敵はアスカード方面へ向かったみたいね…。行ってみましょう…」
「リフィル先生…」
複雑そうに目を伏せるリフィルをロイドはぎゅっと抱きしめた。リフィルはフッと口元を緩ませると、ロイドの頭を優しく撫でた。
「私なら大丈夫よ。あなたは優しい子ね…」
「〜〜千年王国なんて間違ってる…。俺達の手で必ず止めよう…!協力…してくれるよな…?」
「もちろんよ。千年王国なんてなくても、私にはロイド…あなたのいるイセリア村があるもの…」
「リフィル先生…」
息子のラブシーンに照れながらポイズンボトルを飲み干すダイクにかえではくすくす笑った。
「しょうがねぇな…。――ほらよ…!」
と、ダイクはロイドにマテリアル・ブレードを差し出した。
「ドワーフの誓い、第1番を言ってみろ」
「『平和な世界が生まれるように皆で努力しよう』…だろ?」
「へへ、合格だ!ペンダントを壊さん程度にぶちかましてこい!」
「任しとけって!――ノイシュ、アスカードまで全速力だ!!」
「ワォ〜ン!!」
「きゃあっ!?」
「ふふっ、しっかりつかまってて…!」
ノイシュにまたがり、アリスを追いかけていく3人を見送ったダイクは微笑むと、ロイドの母親のアンナの墓前に佇んだ。
「どうかあの子を見守っててやってくれ…」
ダイクのつぶやきに反応するように、供えていたクラトスの剣が突然、蛍のように青白く発光した。
「これは…――!?」
すると、剣から放たれた光がクラトスの精身体を浮かび上がらせ、ダイクの前で静かに目を開けた。
「クラトス…!?」
「――デリス・カーラーンの軌道に異常が生じている…。ロイド…我が息子はどこにいる…?」
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