「かえでさん、初めての実家ご挨拶」その2



「――お鍋、できたよ〜!」

鍋つかみを両手につけた五香さんが、できたてのお鍋を運んできてくれた。

「わぁ〜!美味しそうですね〜!!」

「ふふっ、花嫁修業の賜物よ♪」


鶏の肉団子とイノシシのお肉、そして先程、吉村さんのお宅から頂いた野菜を煮込んだアツアツのお鍋。

それを家族皆でこたつに入りながら、日本酒の熱燗で頂く。今の寒い時期にはうってつけの料理だ。

「ねぇねぇ〜、乾杯の音頭は母さんがとってもいいかしら〜?」

「おいおい、今日は誰が主役だと思ってるんだよ?」

「ここはお兄ちゃんに華を持たせてあげようよ」

「え〜?〜〜せっかくお三味線と長唄を披露しようと思ってたのにぃ〜」

「〜〜何で乾杯の音頭でそんなことやるのよ…?」

「ははは…、俺はいいよ。母さんがこんなにやりたがってるんだからさ…」

「駄目だ!ここは大神家の長男として、ビシッと挨拶を決めるんだ!!」

「かえでさんの前で格好良いところを見せましょうよ、一郎叔父!」

「〜〜プ、プレッシャーを与えるなって…」

「ふふっ、頑張って、大神君!」

「はい…!――ゴホン…!え〜、母さん、五香、今日は俺とかえでさんの為に色々準備してくれてありがとう。――姉さん、新次郎、紐育からわざわざ会いに来てくれてありがとう。俺、かえでさんを絶対、幸せにする…!結婚したら、一家の家長としての責任もできるだろう。俺達一家の家長だった父さんは俺の小さい頃に死んでしまったから、目標にする父親像とか、父親が子供にすべきこととか、正直、まだわからないこともある…。けど、子供ができたら、俺は立派な父親になろうと思う…!そして、妻のかえでさんを一生愛し続けて、大切にしようと思う…!」

「大神君…」

「最初はわからないことがたくさんあって、迷惑をかけてしまうかもしれない…。けど、この先どんなことが待ち受けていても、俺はかえでさんを守っていきたいと思う…!どんなに辛く苦しいことも二人で乗り越えていこうと思う…!――だから、これからも俺達夫婦をよろしく頼む…!」

「ハハハ…!お前、かえでの両親にご挨拶してるんじゃないんだぞ?」

「はは…、それもそうだな」

「あははっ、でも、素敵なスピーチでしたよ、一郎叔父…!」

「立派だったわよ〜!母さん、感動しちゃったわ〜」

「かえでさん、お兄ちゃんをこれからもよろしく頼みますね…!」

「えぇ。――私の方こそふつつか者ではございますが、どうぞよろしくお願い致します」

「おう!大神家にようこそ、かえで!」


大神君達の笑顔はとても明るい。

ずっと憧れていた家族の温かさというものに私は初めて触れることができた。

お嫁さんって大変って聞いていたけど、この人達となら仲良くやっていけそうだわ♪ふふっ…!

「――それじゃあ、カンパ〜イ!!」

「カンパ〜イ!!」


双葉お義姉様と五香さんのお手伝いをして、私も大神君達のご飯とお味噌汁をお碗によそってあげる。

「へぇ〜、大神君のおうちでは、お味噌汁にじゃがいもを入れるのね」

「はい。栃木の人間は、よく料理にジャガイモを入れるんですよ。焼きそばとかにも普通に入れるよな?」

「そうね〜。あれ、と〜っても美味しいのよね〜♪帝都の人は、おじゃが入れないの?」

「ライスカレーとかには使いますが、お味噌汁の具に使っているのは初めて見ました。でも、とっても美味しそうですねぇ…!」

「日本とアメリカの食文化は全然違うけど、同じ日本…、しかも関東でも、ちょっとした食文化の違いってあるものなんですね」

「そうだな。特に味噌汁は同じ食材を使っても、家によって違う味になるっていうからな」

「なるほど…!だから、ミソスープは日本の家庭の味の代表なんですね!」

「みそすーぷ…?」

「えへへっ、英語で味噌汁のことを『ミソスープ』っていうんですよ。味噌は日本独自の食材ですからね。アメリカでは重宝されて、そのまま『ミソ』って呼ばれてるんですよ」

「へぇ〜、日本の物が外国に受け入れられてるって何だか嬉しいね…!」

「ふふっ、そうね〜!――かえでさんもこの味を覚えて、一郎さんに作ってあげてね〜♪」

「ふふっ、えぇ、もちろんですわ…!」


じゃがいものお味噌汁は予想通り美味しかった。大神君のこの家のように心も体もとても温まる。

あやめ姉さんと違って、私はお料理はあまりし慣れてないけど、大神君の為に頑張って作ってあげなくちゃ…!

「う〜ん♪この鍋もうまいぞ〜!――腕を上げたな〜、五香!」

「あ〜あ、せっかく加山さんに食べてもらおうと思って頑張ったのに…」

「そんなに加山君に会いたいのか?仕方ないなぁ…。――ほら、この写真でも見ながら食え」

「きゃ〜!!加山さんのお写真…!!……ん?〜〜この隣に写ってる美少女は誰…?」

「まぁ〜!本当、綺麗な娘ねぇ〜」

「フッフッフ…、知りたいか!?実は新く――」

「〜〜うわああ〜っ!!か、彼女はプチミントさんといって、リトルリップシアターの舞台にたまに立つ女優さんなんですよ…!」


と、大河君は双葉お義姉様の口を慌てて塞ぎ、苦笑した。

「ふ〜ん…。〜〜何だか、加山さんと妙に親し気だけど…?」

「それはそうだろう!なんせ、加山君はプチミントにベタ惚れだからなぁ〜♪」

「〜〜な…っ、何ですって…!?」

「〜〜母さん…っ!!」

「だって、本当のことだろう?仕方ないよな〜、プチミントはシアターの中でも群を抜いて美少女なんだから!ハッハッハ〜♪」

「……加山さんは金髪女が好きだったのね…。〜〜私も金髪に染めて、紐育に行ってやる〜っ!!」

「〜〜お、落ち着いて下さいって、五香叔母…!!」

「〜〜叔母って言うなっつってんでしょっ!?」

「〜〜わひゃあ!!」

「〜〜五香っ!!新君をいじめるなってば…!!」

「五香ちゃんが行くんなら、母さんも紐育行きたいわ〜♪」

「は…、はい、是非いらして下さい!一郎叔父とかえでさんも新婚旅行の時は是非…!」

「あぁ、そうさせてもらうよ」

「久し振りにラチェットにも会いたいしね」

「〜〜私も絶対ついていくからね!?そんで、そのプチミントって女と対決してやるんだから…!!」

「面白い…!プチミントに勝てる自信があるのなら、挑んでみろ!!」

「〜〜えぇ〜っ!?そ、そんな勝手に決めないで下さいよぉ…」

「ルンルン♪母さん、英語をお勉強しておかなくっちゃ!」

「〜〜五香にプチミントの正体は新次郎だって…、教えてあげた方がいいんでしょうかね…?」

「ふふっ、別にいいんじゃない?面白そうだから」

「〜〜かえでさんって…絶対Sですよね…」

「ふふっ、そうかしら?」


笑顔と賑やかな声が絶えない明るい食卓…。帝劇で花組の皆と囲んでいる時と同じくらい楽しいわ。

私も大神君のご家族に少しずつだけど、馴染んできたと思う。

お義母様達も私のこと、ちゃんと大神君のお嫁さんとして認めて下さってるといいな…♪

「――そういえば、帝劇の方はどうだ?」

「皆、元気だよ。経営の方も順調だしね。今も次回公演に向けて、花組の皆は稽古中なんだ」

「ふふっ、平和になったから、お稽古にも熱を入れられていいわよね」

「いいなぁ〜。紐育なんか、この前、ツタンカーメンが復活して大変だったんですよ?」

「あの時、新君、母を助けてくれたんだよな〜♪格好良かったぞ〜!」

「えへへ…」

「ツタンカーメンか…。帝都も油断できませんね…」

「そうね…。平和な時こそ、気をしっかり引き締めないと…。――はい、大神君」

「あっ、ありがとうございます、かえでさん」


私はご飯のおかわりを大神君のお椀によそってあげた。

「おいおい、まだそんな風に呼び合っているのか?もうすぐ夫婦になるっていうのに…」

「変かな…?」

「そういう問題ではない!!萌え要素が足りんと言ってるのだ!!」

「〜〜何だよ、萌え要素って…?」

「一回、呼び捨てで呼んでみたら?」

「わ…、わかった…。――その…、か、かえで…」

「な、なぁに?一郎…君…。――んも〜、ヤダぁ〜♪」


私は照れくさくなって、バシッ!!と大神君の背中を思い切り叩いてしまった。

「〜〜げほっ、ごほっ…!」

「あ…、〜〜ご、ごめんなさい!大丈夫…!?」

「ハハ…、大丈夫だよ、かえで…♪」

「ふふっ、もう一郎君ったら…♪」

「いや〜ん!若いっていいわねぇ〜♪」

「ハハ、さすが帝劇のバカップルだねぇ」

「あははは…!それじゃあ、今から僕も『かえで叔母』って呼ぶことにしますね!」


『かえで』『一郎君』…。

呼び慣れてないせいか、少し恥ずかしい…。

けど、悪い気はしないわね♪



「――お〜い、酒買ってこいよ〜、一郎〜」

「……こっちもなくなっちゃったぁ…。一郎く〜ん、お酒とおつまみ、きれちゃったわよぉ〜」

「〜〜しょうがないなぁ…。――洗い終わるまで待ってて下さいよー!」

「いや〜ん、一郎君のイジワル〜♪そんなこと言ったら、今夜はおあずけにしちゃうわよ♪」

「〜〜まったく…」


私と双葉お義姉様が晩酌して良い気分になっている間、一郎君は洗い物する五香さんを手伝っていた。

「ふふっ、かえでさん、お酒飲むといつもあんな感じなの?」

「ハハ…、あぁ、笑い上戸になったり泣き上戸になったり、忙しくてさ…」

「ふふっ、今は甘え上戸ってとこかしらね」

「一郎く〜ん、キスして〜♪」

「〜〜はいはい、後でしてあげますから…」

「一郎っ!可愛い嫁の頼みを断るなんて、旦那失格だぞ〜!!」

「まぁ〜、お義姉様ったら話がわかりますわ〜。さぁ〜、もっと飲みましょ〜♪」

「お〜!私のペースについてこれるとは、さすがかえでだな〜!あははははっ!!」

「〜〜姉さんと一緒だと余計たち悪いね…」

「〜〜ハァ…、だろう?」


一方、新次郎君はというと、こたつの中でうとうとしていたと思ったら、いつの間にか眠ってしまっていた。

「…ありゃ?新君、寝ちゃったのか〜」

「はは、きっと時差ボケだな」

「うふふふ〜、寝顔も可愛いなぁ〜、新君は。母は襲いたくなってしまうぞ〜♪」

「〜〜やめときなよ、姉さん?」

「あらあら、新ちゃん、眠っちゃったのね〜」


と、志乃お義母様はアルバムを抱えて部屋に戻ってくると、新次郎君に毛布を掛けてやった。

「ん…?そのアルバムは?」

「じゃじゃ〜ん♪一郎さんの思い出がたくさん詰まった特製アルバムで〜す!かえでさんに見せたくて、母さん、整理しといたのよ〜」

「まぁ、ありがとうございます、お義母様!是非、拝見させて下さい」

「ふふふっ、一郎さんが小さい頃の写真がいっぱいあるわよ〜♪」

「おっ、懐かしいな〜!これは一郎が生まれた日の写真だよな〜」

「え…?どれどれ…」


気になるのか、一郎君と五香さんは後片付けを中断して、私達と一緒にアルバムを覗き込んだ。

「あははは!お兄ちゃん、ピンクの毛布に包まれてる〜!」

「〜〜な、何でだよ…?」

「一郎さん、お腹の中で全然暴れなかったから、絶対女の子だと思ったのよ。だから、双葉ちゃんのお古でいいかってことになって、男の子用の赤ちゃん用品は買わなかったのよね〜♪」

「逆に五香はお腹の中で暴れまくってたから、男の子だと思ってたんだぞ」

「〜〜赤ちゃんは元気な方がいいでしょ!?」

「俺、双葉姉さんとの写真ばっかりだな…」

「母さん、不器用だから怪我させたら大変でしょ?だから、代わりに双葉ちゃんが一郎さんのおしめ替えたり、ミルクを飲ませたりしてくれたのよ。散歩に連れて行けば、双葉ちゃんの子かってよく聞かれたものよね〜♪」

「そういうことだ!もっと姉に感謝しろよ〜、一郎!!」

「ハハ…、はいはい、感謝してますよ」

「それで、これが小学校に上がったばかりの一郎さん♪可愛いでしょ〜?」

「ふふっ、えぇ、とっても…!」

「入学したての頃は、私と離れるのが嫌だって校門前で泣き叫んでたよな〜♪」

「そうそう〜。おねしょもなかなか直らなくて困ったわよね〜♪」

「〜〜こ、子供だったんだから、仕方ないだろう…!?」

「ふふっ、一郎君ったら可愛い!」

「〜〜うぅ…、は、恥ずかしい…」


お義母様とお義姉様は、他にも一郎君の色々な写真を見せてくれた。

運動会の徒競走で1位になった一郎君、小学校の演劇会で木の役をやる一郎君、卒業式で卒業証書をもらう一郎君、士官学校合格を喜ぶ一郎君…。

「いいなぁ〜、お兄ちゃんばっかり…」

「ふふっ、五香ちゃんのは加山さんと結婚する時に作ってあげるわよ♪」

「本当…!?ふふっ、恥かかないように今から素敵な写真をいっぱい撮っておかなくちゃ…♪」

「ふふっ、今度、かえでさんが子供の頃のアルバムも見せてね〜♪」

「え、えぇ…」


私の子供の頃のアルバム…。あるにはあるけど、どれも私の表情が暗いものばかりだ…。

あやめ姉さんは必死に笑顔を作っていたけど、幼い私には到底、無理な芸当だった…。

だから、笑顔がいっぱいのこういう家族写真は羨ましい…。

お母様が亡くなってから、私にはほとんどそんな写真は残ってないから…。

「――あ〜、そうそう。最後にもう一枚あるんだったわ〜」

と、お義母様は、ある写真をアルバムの次のページに貼った。

一郎君、花組、米田さん、椿達三人娘、そして、あやめ姉さんが写っている、私が来る前の帝撃の集合写真…。きっと、一郎君が元気にやっているという手紙を添えて、実家に送ったものなのだろう。

「懐かしいな…」

一郎君もそれを見て、ポツリと呟き、微笑んだ。

「――あら…、そういえば、かえでさん…、髪を切られたのねぇ」

「え…?」

「ほら、だって、この写真に写っているの、あなたでしょう?」


と、お義母様は、写真の中で一郎君の隣で微笑んでいるあやめ姉さんを指差した。

「〜〜母さん、それは…」

「ふふっ、いいのよ、一郎君…。――えぇ、そうなんです。帝都では今、女性も断髪スタイルが人気ですから」

「まぁ〜、そうなの!今の髪型も素敵だけど、この長い髪を結っているかえでさんも素敵ね〜♪」

「……一郎、かえでと一緒に酒買ってこい…!」

「え?」

「洗い物は大体終わったから、行ってきなよ。かえでさんの酔いもさめるだろうし」

「わ、わかった…。――行きましょうか」

「え、えぇ…」

「なら、母さんもついていっちゃおうかな〜♪」

「〜〜母さんはここにいろっ!」

「三味線と長唄聞いてあげるから…!」

「まぁ〜、本当!?優しい娘達を持って、母さん、幸せだわ〜♪」


双葉お義姉様と五香さんは私とあやめ姉さんのことを知っているのか、私達に気を遣ってくれたみたいだ。



私と一郎君はコートを羽織り、お酒を買いに行く為に酒屋に行くことにした。

〜〜一歩外に出ただけで寒い…!冬だから仕方ないんでしょうけど、ここは群馬県に近いので、からっ風が吹いてくるせいもあると思う。

外に出ると、あの家の温かさが身にしみてわかるわ…。五香さんの言う通り、一気に酔いなどさめてしまった。

「〜〜寒いわねぇ…」

――ぎゅ…っ!

一郎君は、突然私を強く抱きしめてきた。

「〜〜すみません…。母は、きっと…あやめさんのことを知らなくて…」

「ふふっ、別に気にしてないわよ。――ありがとう…」


優しい人…。本当は一郎君自身もあやめ姉さんのことを思い出して、辛いはずなのに…。

私は一郎君に微笑むと、かじかむ彼の手を優しく包み込んだ。

「早く行きましょう。遅くなって、心配かけても悪いわ」

「そうですね…」

「…それから、もう私に敬語使うのも禁止!」

「〜〜いぃっ!?」

「ふふっ、だって、今のあなたの肩書は司令見習いなんだから、副司令の私より上官のはずでしょ?――それに私達…、もうすぐ夫婦になるんだし…♪」

「かえで…」

「ふふっ、子供が生まれて、パパがママに敬語使ってたら、父親としての威厳がなくなっちゃうでしょ?」

「はは…、それもそうだな。――じゃあ、行こうか…♪」

「ふふっ、えぇ…♪」


私と一郎君は互いの肩に寄り添い合って、酒屋への夜道を歩き始めた。

ガス灯とガス灯の間が離れている為、酒屋がある商店街までは暗い夜道を通って行かなくてはならない。

けど、空に輝く満点のお星様達が私と一郎君の足元を照らしてくれる。

夜でも明かりが消えず、車の排気ガスで空気が汚れている帝都では見られない自然の輝きを見上げると、心身共に癒される…。

「綺麗な星空ねぇ」

「あぁ、こんなにはっきりした輝きは田舎でしか見られないからね」

「ふふっ、そうね。とってもロマンチック…――きゃあっ!!」

「〜〜危ない…!!」


星に夢中になって道を踏み外して田んぼに落ちそうになった私を一郎君が手を引いて、抱きしめて止めてくれた。

「ご、ごめんなさい…」

「まだ酔いがさめてないんだから、気をつけてな?」


一郎君は優しく微笑んで、抱きしめながら私の頭を撫でてくれた。

ふふっ、いつもなら私が一郎君にしてあげる仕草なのに、逆に自分がされるとは不思議な感じだ。

でも、悪くない。むしろ、心地良い…。

「危ないから、かえではこっちを歩きなよ」

と、私がまた落ちないように一郎君が田んぼ側を歩いてくれることになった。

「ふふっ、ありがとう、一郎君」

頼りになる彼の優しさに甘えるように、私は一郎君の腕に抱きついた。

「はは…、今日は随分、甘えん坊だな」

「ふふっ、たまにはいいでしょ♪」


田んぼや畑が両脇に広がる田舎道を私と一郎君は腕を組み、仲良く寄り添い合って歩いていく。

どんなに寒くても、一郎君の温もりを感じるだけで心も体もポカポカだ。


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