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「大神と藤枝姉妹のセクシー旅行記〜ダブル・ハネムーン編〜」

〜2日目・夜
・その1〜



俺とかえでさんはあやめさんと合流し、『セイント・フラワー・ホテル』の中にある高級フランス料理店に入った。

「――ようこそいらっしゃいました」

英語を話すウェイターからフランス語で書かれたメニューを渡されてしまった…。

〜〜日本語が使えないこの状況に頭が混乱してきたぞ…。だが、あやめさんとかえでさんの前で格好悪い所は見せられないよな…!

「〜〜シェ…、シェフの気まぐれフルコースを3つ…」

「かしこまりました」


ホッ、何とか通じたみたいだな…。

あやめさんに言われた通り、これからのグローバル時代、見習いとはいえ、支配人として恥じないような語学力を身につけておかないとな…!

「ふふっ、大神君も英語上手くなってきたわねぇ」

「はは…、慣れただけですよ」

「ふふっ、楽しみね〜!どんな料理が出てくるのかしら?」

「でも、フルコースなんて頼んじゃって大丈夫なの?」


〜〜いぃっ!?し、しまった…!!よく値段を見ず、簡単に読めたものを頼んでしまったばかりに…!!

「〜〜あ…ははは…、せっかくの新婚旅行ですからね。たまには豪勢に…」

「ふふっ、そうね!さすがは大神君、気が利いてるわ♪」

「なら、ワインも追加しましょうよ。ご馳走に合う店で最高級のものをね♪」

「〜〜いぃっ!?」

「うふふっ、支払い、よろしくね、大神司令見習い君♪」

「〜〜そ、そんな…!?割り勘にしようってさっき――!」

「あら?私、そんなこと言ったかしら?ほほほ…」

「〜〜いぃっ!?」

「ふふっ、大丈夫よ。大神君は支配人なんだし、お給料が一番良いはずですもの♪ちょっと高級なレストランの食事代くらいどうってことないわよね?」


〜〜くっそ〜、二人ともフランス料理食べたさに調子いいことを…!

……まぁ、いいか…。あやめさんもかえでさんも嬉しそうだし…。旅行先で妻のわがままに付き合ってやるのも夫の役目だよな、うん!

〜〜メニューの金額をよく見なかったのが唯一、不安だが…。仕方ないよな…、頼んだのは俺なんだし…。

「――それじゃ、お料理が来るまで、さっき言ってた大きな収穫について説明してもらおうかしら?」

「わかりました…」


俺とかえでさんは、洞窟で起こったこと、そして、レオンさんとマーサさんと出会い、キュピピ族の里について教えてもらったことを全てあやめさんに報告した。

「――なるほど…。それで、その聖剣は…?」

「この袋を鞘代わりにして、俺が持っていることに決めました」

「そうね…。ノーマの封印が解かれたということは、今夜か明日にも襲撃してくるかもしれないから、注意しておきましょう」

「えぇ…。〜〜ごめんなさい…、私のせいで…」

「ふふっ、かえで、メソメソしてるなんてあなたらしくないわよ?ほら、いつもみたいに胸を張って…!」

「〜〜でも…」

「かえでさんは悪くありませんよ。メイミを救おうと思って、行動しただけなんですから」

「大神君…」

「そうよ。むしろ姉さんはね、あなたが他人をのことを思いやれる、心の優しい女性に成長してくれて嬉しく思ってるのよ?かえでの失敗は姉である私も、旦那様である大神君も連帯責任を負うって決まってるんだから」

「そうですよ。もっと俺とあやめさんを頼りにして下さい…!3人で必ずノーマを倒して、この島の平和を取り戻しましょう!」

「姉さん…、大神君…。ありがとう…。ぐすっ…」

「ふふっ、鬼の目にも涙ね♪」

「〜〜う…、うるさいわねぇっ!」


あやめさんに寄りかかり、涙をハンカチでぬぐわれて、頭を撫でられているかえでさんも可愛く思えた。やっぱり、血の繋がった姉妹がいるっていいものだよな…!

すると、突然、店の照明が消えた…!

「…!停電か…?」

「――うおおおお…」


すると、店の奥から謎のゾンビ集団が現れた…!

「〜〜な、何だ、あれは…!?この島の怪物か…!?」

「ふふっ、あれは人間よ。ただの仮装」

「へ…?」


よく見ると、ゾンビ達を見て、他の客達は怯えるどころか喜んで拍手さえしている…!すると、今度は魔女や幽霊に仮装した子供達まで出てきて、キャンドルを用いた素敵なハロウィーン・ショウが始まった。

「ふふっ、可愛いわね〜!」

「誠一郎にもそろそろ弟か妹をつくってあげないとね、大神君♪」

「あ…ははは、そうですね」


ショウが終わると、お化けに仮装した子供達が各テーブルをまわってきた。

客達は、テーブルに準備されていたチョコやビスケットなどのお菓子をその子達にあげると、子供達はお礼に魔女と黒猫のデザインがお洒落なワイングラスの箱をプレゼントした。

どうやら、先程のショウもこのプレゼントも、この店独自のハロウィーン一日限定の演出とサービスみたいだ。

「――Trick or treat!」

「はい、どうぞ」

「ありがとう。素敵なハロウィーンを!」

「ふふっ、あなた達もね」

「良いお土産ができましたね」

「そうね。可愛くて、何だか使うのがもったいないけど…」

「あら、そう?それでワインを飲んだら、より美味しくなりそうだけど♪」

「〜〜かえでさん…。――ん…?これは何だろう?」


子供達のくれたワイングラスの箱の中にメモが一緒に入っていた。

「へぇ、ハロウィーン仮装コンテストが今夜、ブルー・スターダスト・ビーチで開催されるんですって!記念に出てみない?」

「そうね、面白そうだわ…!」

「ホテルの売店で衣装をレンタルできるみたいですね。食べ終わったら覗いてみましょうか?」

「そうね…!」

「――お待たせ致しました。シェフの気まぐれフルコースの前菜でございます」


と、ウェイターは俺達の前にそれぞれ一皿ずつ置いた。細長い皿に3品のお洒落な西洋料理が少しずつ…。

〜〜ちょ…、ちょっと待て!!この黒いの、もしかしてキャビアじゃないのか!?〜〜まさか、前菜のうちから世界三大珍味が使われているとは…!

「さすがお洒落ねぇ…!ふふっ、コンテストの前に、まずはしっかりお夕飯を頂かないとね♪」

「そうね!ハネムーンの記念ですもの♪」


そう言って、あやめさんは前菜に舌鼓を打ち、かえでさんは高級ワインに酔いしれ始めた。

〜〜この調子だと、メイン料理はフォアグラかAランク牛肉を用いたステーキだろうな…。

――まぁ、あやめさんとかえでさんの笑顔が見られただけでも良しとするか…!よ〜し、俺も食うぞ〜!!

「――ありがとうございました」

〜〜支払いは予想通り…。いつもとは桁違いの食事代が書かれた伝票に、俺は意識が遠のきながらも何とか持ちこたえ、無事に払い終えた。

〜〜ハァ…、金を多く持ってきといてよかった…。

「ふふっ、大神君、ごちそう様!」

「大変だったでしょう?後で半分払うわね」

「いえ、ここは旦那らしく、どんとおごらせて下さい…!」

「ふふっ、無理しちゃって♪まぁ、三番勝負の時にそういう約束したんですものね。ありがとね、大神君!」

「あんなに美味しい料理を食べたのは生まれて初めてだったわ。どうもありがとう…!」


あやめさんとかえでさんは上目遣いで見つめながら、俺の腕にそれぞれ抱きついてきた。

二の腕に感じる柔らかい感触、鼻腔をくすぐる香水の匂い、そして何より、二人のとびきりの笑顔…!

高い代償だったが、思い切ってごちそうを頼んでみてよかった…!!

「――あっ、あのお店がそうみたいね…!」

俺達は部屋に戻る前に、ハロウィーンのコスプレ衣装を借りに、ホテルの売店に寄った。

魔女、狼男、妖精、吸血鬼、ゾンビ、フランケンシュタイン…。売店のものだからと侮っていたが、どの衣装もよくできたものばかりじゃないか…!

「う〜ん、どれがいいかしら…?たくさんあって、どれがいいか迷っちゃうわね」

「大神君はもちろん狼男よね?」

「え?どうしてですか?」

「ふふん、だって…オ・オ・カ・ミ君だから♪」

「〜〜それって、ダジャレじゃないですか…」

「…そこは笑うとこよ!」


――ドスッ!!

「〜〜ぐふっ!?」

〜〜俺が口ごたえすると、かえでさんは、すぐ腹にエルボーしてくる…。

結婚する前からそれが当たり前だったから、別に今さら気にしていないのだが、ここだけの話、実は少しずつ快感を覚えてきている…。〜〜昼間のあやめさんのSMプレイの時といい、俺ってやっぱMなんだろうか…?

「うふふっ、私はこれがいいかしら♪」

あやめさんは試着室で魔女のコスプレに着替えた。

黒いロングドレスのスリットから見える細くて長い美脚、そして、黒い網タイツとガーターベルトがなんともセクシーだ…!!

「じゃあ、私は…」

かえでさんが選んだコスプレは黒猫で、ナイスバディな体の線がくっきりわかるエナメル質のボンテージ衣装。

胸元が大きく開いており、尻尾がついた後ろも尻の割れ目が見えるギリギリまで背中と腰部分がパックリ開いたものだった…!!

さらに、あやめさんは魔女のとんがり帽子、かえでさんは猫耳を装着した。まるでオーダーメイドのように、セクシー&キュートに二人の魅力を存分に生かしている衣装だ…!!

「どうしたの、ボーッとして?ふふっ、もしかして見惚れちゃったのかな?」

「は…、はい!お二人とも、よく似合ってますよ…!!」

「ふふっ、ありがとう。それで、大神君は何の衣装にするの?」

「そうですね…。かえでさんの言う通り、狼男にしようかな」


値札見ると、一番安いしな♪さっきの夕飯代の分を少しでも浮かさなければ…!

「私はこの吸血鬼の衣装も似合うと思うけど?ほら、マントを羽織ってみて」

「こ、こうですか…?」

「ふふっ、えぇ…!とっても素敵よ、大神君♪」

「そ、そうですか?なら、こっちにしようかな…」


と、俺は吸血鬼の牙を着けて、あやめさんの首筋に軽く噛みついた。

「あんっ!んんっ…、大神くぅ…ん…」

「フフ…、血を吸われた者は吸血鬼の奴隷になるんですよ?」

「まぁ、大変…!――ふふ、でも、大神君の奴隷にならなってもいいかな」

「あやめさん…」


俺とあやめさんの良い雰囲気にムッとしたかえでさんは、俺の頭に無理矢理、狼男の耳を付け、ぎゅっと上から押さえつけた。

「〜〜いででで…っ!」

「ふふっ、やっぱり吸血鬼よりオオカミ君の方が似合うわよ!――狼男はね、人間の男の何倍も精力があるんですって♪」

「そうなんですか?――なら、この狼男が今夜、黒猫を食べちゃおうかな」

「ああんっ、ワイルドに抱いて〜!」


俺に猫耳を噛まれ、尻尾をさすられた黒猫のかえでさんは、びくびくっと仰け反った。

すると、今度はあやめさんがムッとして、吸血鬼のマントを俺に着けた。

「大神君みたいに格好良い男の子は、やっぱり吸血鬼が一番よ!」

「〜〜オオカミ君に決まってるでしょ!?大神君は肉食系男子なんだから!」

「〜〜ただ、そのダジャレが言いたいだけじゃないんですか…?」

「〜〜だから、そこは笑うとこっ!」


――ドスッ!!

「〜〜ぐはぁっ!!」

結局、あやめさんとかえでさんは両者一歩も譲らなかったので、俺は吸血鬼と狼男がミックスした新種のモンスターコスプレで参加することになった…。

仮装を終え、コンテストに参加しにブルー・スターダスト・ビーチに到着した頃には、すでにモンスターに仮装した者達の多くが受付でエントリーしていた。

〜〜モンスターの大群を夜に見ると不気味だな…。全部作り物だとわかっていても…。

それにしても皆、すごい気合いの入れようだな…。優勝賞品が1万ドルだからもあるんだろうが、この島はハロウィーン発祥の地のアメリカの領土でもあるからな。

――よし、今晩の夕食代を取り戻せるように、俺達も優勝目指して頑張ろう…!!

「――エクスキューズミー、俺達も参加したいんですけど…」

「3名様ですね?かしこまりました〜!この用紙に必要事項を記入して、番号札を付けてお待ち下さいね〜♪」


俺達の番号は31番か…。えっと、名前を記入してっと――!

「あっ、丁度、始まるとこみたいよ…!」

「ほら、行きましょう、大神君!」

「〜〜いぃっ!?ちょ、ちょっと待って下さいって…!まだ書いてる途中――!」

「――レディース&ジェントルメン!ホーリー・アイランド島が誇る年に一度のお祭り!ハロウィーン・コスプレコンテスト、今年もいよいよ開催だぁ〜っ!!」


ノリの良い司会者に参加者達も皆、ワ〜ッと盛り上がった!

見たところ、日本人の参加者は俺達だけみたいだな。よし、日本代表として頑張ろう…!まずは敵のチームを観察してと…。

「――大神君、出番よ…!」

「〜〜いぃっ、もうですか…!?俺達、31番のはずでは…?」

「番号順じゃなくて、くじ引きで決まるみたいね。さっき、1番引いちゃったから♪」


と、かえでさんはニコニコしながら俺に『1』と書かれたくじを見せた。

〜〜なら、エントリー番号の意味ないじゃないか〜っ!!…とツッコむ間もなく、俺は心の準備ができないまま、あやめさんとかえでさんに舞台袖まで連れてこられた…。

「――お次はエントリーナンバー31!チーム名は『麗しの魔女様とペットの黒猫ちゃん、奴隷の吸血狼男君』だ〜っ!!」

〜〜いぃっ!?いつの間にチーム名なんて決めてたんだ…!?しかも、俺は奴隷かよ…っ!?

「出番だわ…!――行きましょう、大神君!」

「は、はい…っ!」


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