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「大神と藤枝姉妹のセクシー旅行記〜ダブル・ハネムーン編〜」

〜2日目・午前
(あやめとデート編)・その2〜



15分くらい経って、俺達は頂上に着いた。ここも様々な国籍のカップルで賑っている。

『レジェンド・パーク』の頂上にある石碑群は、ガイドブックによれば、ホーリー・アイランド一神聖な場所として崇められているはず…。〜〜なのに、これでは色欲で汚れてしまっているように思えてならないな…。

「ん…?皆、何を買って食べているんだろう…?」

「ふふっ、あれがカップルに人気の理由よ」

「え…?あの菓子みたいなものがですか…?」

「ふふっ、後で詳しく教えてあげるわ。さぁ、調査を再開しましょ!」


周りのカップルにつられるように、あやめさんはウキウキしながら、石碑を調べ始めた。

石碑の説明は、英語・中国語・アラビア語で書かれている。紙に書かれている英文なら、時間をかければ俺でも何とか読めそうだ。

キュピピ族の代々の族長の偉業、神『ノーマ』のこと、そして、英雄姉妹のこと…。どうやら、先程教わった話に間違いはないようだ。

「――ん…?これは何だろう…?」

俺は、ノーマの生贄になった女性達の慰霊碑にかかっている十字架のペンダントを見つけた。

同じペンダントが慰霊碑のてっぺんにいくつも飾られている。木漏れ日が十字架をキラキラ輝かせ、幻想的な美しさを演出している。それはまるで、生贄になった女性達の涙のようにも思えた。

「『生贄の女性は族長から十字架のペンダントを賜り、それを首から下げて、ノーマに身を捧げた。これは神であるノーマへの絶対的忠誠と服従を示すものである』…か。うーん、このペンダント、どこかで見たような…」

「ねぇ、確か…マイアとメイミの幽霊もこれをしてなかったかしら?」


あやめさんに言われて、俺は思い返してみた。暗くてよくは見えなかったが、確かに彼女達の首に何か光るものが見えたような気がする。だが、何故だかしっくりこない…。

俺は気になって、『レジェンド・パーク』のシンボルともいえる英雄姉妹の先程の銅像が掲載されているパンフレットを見返してみた。

「でも、見て下さい。さっきの銅像では、そんなペンダントしていませんでしたよ?単に彫刻家が省いただけなんでしょうか…?」

「本当だわ…。まさか、神の称号を剥奪されたノーマが復讐の為、英雄姉妹の魂をこの世に呼び出して、無理矢理服従させているとか…?」

「ありえますね…。ペンダントをするということは、ノーマへの絶対服従を誓うようなものですから…。――ほら、ここにも書いてありますよ、『このペンダントは一度すると、ノーマの呪いにかかり、二度と外すことはできない。生贄は肉体が朽ち果てるまでノーマに服従し、その身を捧げ続ける。そして、使い物にならなくなると、海に捨てられた』って…。〜〜ひどい話ですよね…。もし、本当に英雄姉妹の魂が今、ノーマに支配されているんだとしたら、すぐに助け出さないと…!」

「そうね…!問題は、何故、いつ頃ノーマが地獄から這い上がってきたかだけど…」

「う〜ん…、それについてはどの資料にも書かれていないみたいですね…。きっと、この島の人もまだ知らないんだ…。だから、幽霊の見える俺達に早々に危機を知らせてくれたのかも…!」

「えぇ、そうかもしれないわね。――ふふっ、偉い、偉い!大神君も少しは英語わかるようになってきたみたいね」

「ハハ…、文字として書いてあれば、何とか意味を理解できるようにはなってきたんですが、会話の方はまだあまり聞き取れなくて…」

「ふふっ、聞いて話すを繰り返すうちにすぐ慣れてくるわよ。英会話はね、文法を崩して話すことが多いから、慣れてしまえば文章より意味がわかりやすいの。心配しなくても、大神君なら、すぐ話せるようになるわよ」

「そ、そんなもんなんですか…?」

「ふふっ、どの国の言葉もそんなものよ。大事なのはハート。日本語だって、うわべだけの言葉じゃうまく相手に伝わらないでしょ?それは英語も、他の国の言葉も一緒!これからの時代、英語くらいは話せるようになっておかないとね。ふふっ、支配人なら、劇場に外国人のお客様がお見えになっても対応できるようにしておかなくちゃ…!――しっかりお勉強しなさいね、大神君!」


と、あやめさんは笑顔で俺の額を小突いた。

どんなに面倒そうなことでも、あやめさんにこんな風にされると、不思議とやる気がわいてくるんだよな。はは、俺って単純なのかも…。

「なかなか収穫があったわね。来た甲斐があったわ」

「そうですね。後でかえでさんにも連絡しておきましょう。――では、次の場所に向かいましょうか」

「あ、ちょっと待って…!ふふっ、いいもの買ってきてあげる…!」

「え…?――あっ、あやめさん…!?」


あやめさんは近くの売店に行って、何かを買ったみたいだ。あれは棒付き飴だろうか…?

「ふふっ、お待たせ…!――はい」

と、あやめさんはニコニコしながら、棒付き飴のようなものを俺に手渡した。〜〜こ、これは…!?

あろうことか、このグミキャンディーは、女性器を模した形をしているのだ…!しかも、細部まで非常に精巧に作られている…。〜〜作るには、かなりの職人技がいることだろう…。

「このグミキャンディーをあの像の前で男の子が食べて、好きな女の子にキスすると、その夫婦やカップルは子宝に恵まれ、永遠に幸せでいられるんですって」

あやめさんが指差したのは、『エターナル・ラブ』と呼ばれる像だった。

〜〜だが、その像の形もグミキャンディーに負けず劣らず、すごかった…!

「あれは…その…、〜〜男根を模して造られたみたいね…。英雄姉妹がノーマを倒した年に生贄になるはずだった女性の恋人のものを模して造られたみたいよ」

さすがのあやめさんも照れているみたいだ…。なんせ、その男根にマイアとメイミ姉妹が抱きついている、とんでもない構図の像なのだから…。

説明によると、キュピピ族の繁栄をもたらした英雄姉妹は子宝の神として今でも崇められているらしい。〜〜だからと言って、この構図はないと思うのだが…。これだけでも、英雄姉妹が怒って化けて出てきそうな感じがするが、現地の人にとってはとても神聖な、ありがたい像らしい。

『像の前でキスしたカップルは永遠に結ばれる』という伝説自体は素敵なのだが…、〜〜グミキャンディーと像の形があまりに露骨すぎて…、恥ずかしいというか、滑稽というか…。

だが、この伝説や評判は観光客の間でも有名らしく、他のカップルも皆、その像の前でグミキャンディーを食べ、キスしているみたいだ。その影響で、この公園は人気デートスポットとなっているらしい。ガイドブックにも有名なパワースポットとして載っているし、何よりあやめさんがとてもやりたがっているみたいなので、試してみる価値はありそうだ。

丁度良いタイミングで前のカップルがキスし終わったので、俺はグミキャンディーを持って、あやめさんとその像の前に陣取った。

「せっかくですし、俺達もやってみましょうか…?」

「えぇ、そうね」

「〜〜えっと…、どういう風に食べた方がいいんですか…?」

「ふふっ、さぁ…?大神君の好きなようでいいんじゃないかしら?」

「わ、わかりました…。では…――」


俺はドキドキしながら、色もピンクでやけにリアルな女性器の形のグミキャンディーを口に含み、奥歯で噛んだ。こり…っ!

「〜〜あんっ!い…、いきなり噛んじゃダメよ。もっと舌で舐めて、味わって食べなくちゃ…」

「え…?〜〜あ…、すみません…」


俺がグミキャンディーを噛んだ瞬間、何故あやめさんが喘いだのかはよくわからないが…、あやめさんの指示通りに舐めながら、よく味わって噛んでみる。

むに…っ!グミなので、柔らかく、歯ごたえがいい。色から考えると着色料が入っていそうだが、結構美味いな。むにゅっ、ぐにゅぅ、こりっ…!

「あぁん、あふっ、あああぁっ…!」

俺がグミキャンディーを舐めたり、噛んだりする度に、あやめさんは体をぴくんっと跳ね上がらせて反応し、甘い嬌声をあげる。

「はぁはぁ、そう…。とっても上手よ、大神君…!〜〜くはぁ…っ」

あやめさんは息を荒げて、前屈みになりながら、俺がグミキャンディーを味わうのをじっくり眺めている。まるで、自分のを舐められているような錯覚に陥って、興奮しているのだろう。

〜〜あやめさんって想像力も人より豊かなんだな…。そんな顔と声されたら、だんだん俺も興奮してくるじゃないか…!

食べ終えようとしていた俺は作戦変更し、グミキャンディーを舐め回す時間をもう少し延長することに決めた。

「〜〜だっ、ダメぇ…!〜〜やぁっ、そんなとこまで舐めないでぇ…っ!」

あやめさんは像を囲んでいる手すりに寄りかかり、背中をのけぞらせた。

フッ、もうそろそろ限界のようだな…!

俺は喉の奥で湿らせていたグミキャンディーを一度口から出すと、前歯で軽く噛んで棒を引き抜き、割れ目を模した部分に棒を一気に深くまで差し直した。

「あああああっ…!?〜〜ああああ〜ん…!!イクぅぅぅ〜…!!」

あやめさんは再び前屈みになり、艶っぽい声でイキ声をあげた。そして、そのまま下半身を押さえながら、ハァハァ息を荒げて、膝をついた。

「そんなに気持ち良かったんですか、あやめさん?俺はただグミキャンディーを食べていただけですよ?フッ、まさか、自分のものを舐められてるって想像でもしてたんですか?」

「ご、ごめんなさい…。大神君、食べ方、とっても上手なんですもの…」


あやめさんに褒められた俺は満足して、グミキャンディーを丸ごと口に放り込んで食べ終えると、腰砕けになってしまったあやめさんを抱え、キスをした。

「あやめさんも色っぽかったですよ。また後で可愛がってあげますから」

「お…っ、大神く…、――うんぅ…っ!」


俺はあやめさんを抱きしめ、再び唇を奪った。あやめさんも恍惚の表情で、積極的に俺の唇と舌を狙ってくる。

野外だからだろうか?今日のあやめさんはいつにも増して積極的だ…!どうやら、外でするのが快感という新たな性癖があやめさんに芽生えてしまったようだ。普段なら、副司令という立場上、本能を理性で抑えてしまっているのだろうが…。

だが、あやめさん一人に頑張らせるのも申し訳ない…。外で、しかもこんな大勢の人の前でキスするのに少し抵抗はあったが、俺も頑張らないと…!

俺とあやめさんの舌と舌が絡み合い、くちゅくちゅと卑猥な音を立てる。あやめさんは瞳を潤ませ、涎を垂らしながら微笑み、ぎゅっと俺に抱きついて、もう一度唇を重ねてきた。

「――あやめさん、俺、誓います。これからもずっと…、永遠にあなたを愛し続けるって…!」

「私も誓うわ…!もう二度とあなたから離れない…。一生、大神君の傍にいて、愛し続けるって…!生まれ変わっても、またあなたと一緒になりたいって…!」

「あやめさん…」


俺達はキスの合間に愛の言葉を囁き合い、何度も唇を重ね合う。

すると、俺達の情熱が伝わったのか、周りのカップル達が拍手と歓声を送ってくれた。

「ブラボ〜ッ!!」

「エクセレンツッ!!」


歓声とひやかしが耳に入り、俺達はやっと我に返って、唇を離した。そして、照れながら顔を見合わせ、苦笑する。

「ふふっ、お似合いですって、私達」

あやめさんは恥ずかしそうに、だが、嬉しそうに微笑んだ。

「約束よ、大神君…!ずっと私の傍にいてね?」

「えぇ、もちろんですよ…!あやめさんは、永遠に俺のマドンナですから」


愛を確かめ合い、俺達はもう一度キスをした。かえでさんには悪いが、もう少しこのままあやめさんとのキスを楽しんでいたい…。

だが、いつまでもここにいては時間がもったいないな…。俺とあやめさんは存分にキスを堪能し合った後、次のデートスポットへ向かうことにした。

「――う〜ん…、確かにこの辺りなんだけどなぁ…」

次に向かう場所は『Hell`s Gate』という若いカップルの間で定番のデートスポットとなっているショッピングモールだ。

……だが、その建物がいつまで経っても見えてこない…。どうやら、道に迷ってしまったみたいだ…。

「おかしいわねぇ…。人気のあるお店なのに、地図に載ってないなんて…」

「あ、あの人に聞いてみましょうか。――すみません、『Hell`s Gate』という店、どこにあるかご存知ですか?」


俺のつたない英語を通行人の男性は理解してくれたみたいだ。あやめさんの言っていた通り、大事なのはやっぱり、伝えたいという気持ちなんだな…!

「あぁ、あの店なら、あの角を曲がってすぐのとこさ」

「あの角ですね?わかりました。どうもありがとうございます…!」

「Hahaha!君達はカップルかい?」

「え…?はぁ…、夫婦ですが…?」

「そうかい。ま、人の趣味にガタガタ言う気はねぇけどよ、あの店はマニアな奴にはお楽しみな商品が目白押しだ。せいぜい今夜は奥さんを楽しませてやりな!Hahahaha…!」


と、地元のおじさんは意味深な言葉を残し、陽気に笑って、去っていった。

「今のどういう意味かしら…?」

「さ、さぁ…?」


とにかく、おじさんに教わった通りに俺とあやめさんは道を進んだ。

「――あ、ここですね…――!?」

店の看板を見て、俺は顎が外れそうになった…!

確かに『Hell`s Gate』と書かれている。しかも、鞭を持った女王様が首輪をつけた男達を踏みつけているイラスト付きで…。

「〜〜こ、これのどこがデートスポットなの…?」

「た、確かにガイドブックには…――!?」


よく見ると、ガイドブックに載っていたのは『Heaven`s Gate』。〜〜名前が似ているだけの、全く違う店じゃないか…っ!!

「〜〜すみません、間違えました…!戻りましょう――!」

だが、あやめさんはというと、何故かショーウィンドゥに釘づけだった。

鞭、蝋燭、女王様の仮面にボンテージコスチューム…。マニアックなSMグッズを呼吸を荒げ、興味津々に見つめている。〜〜心なしか、口元も少し笑っているようだ…。

「〜〜あ…、あやめ…さん…?あの…?」

「あ…、〜〜ちょ、ちょっとこのお店にも寄っていかない…?こんなお店、銀座では見たことないし…」

「そ、それはそうでしょうが…、〜〜って、あやめさん…っ!?」


あやめさんはドアをくぐり、入っていってしまった…。なので、俺も周りの通行人の奇異な視線に対する羞恥心を捨て、慌てて店に入った。

「おや、いらっしゃい。フフ、初めて見る顔だねぇ。日本人…?それとも、中国人かい?」

「あ…、えっと…、お…、俺達は日本人の観光客です。新婚旅行でこの島を訪れました」

「ふぅん、そうかい」


よし、何とか英語で会話することができたぞ。〜〜早くあやめさんを連れて、店から出なければ…!

「ふふ、ハネムーンなら、あっちの方も余計に楽しまないとねぇ」

刺青だらけの腕をした、いかにもアウトローそうな女店長が俺とあやめさんを妖しい目つきで見つめてくる…。あやめさんは商品物色に夢中で、そんな視線も気にならないようだが…。

〜〜参ったな…。完全にそういう趣味のある夫婦だと思われてるぞ…。

……それにしても、あやめさんにそんな趣味があったとはな…。殺女に転化した時のドSの血が未だに騒ぐのだろうか…?

「へぇ、お目が高いねぇ。そいつは今月入荷したばかりの新商品さ。コンパクトだから、持ち運びに便利だし、どんな場所でもプレイができるよ?」

「まぁ…!はぁはぁ…、ゾクゾクしてきちゃう…!これで大神君を…、うふふふふ…」


〜〜まずい…!その鞭で俺を叩く気満々じゃないか…!!

「フフン、あんたの旦那、なかなかの色男じゃないか。この首輪もセットでまけてやるよ。試着してみるかい?」

「ありがとうございます。――大神君、つけてみてくれる?はぁはぁ…」


あやめさんは(弱冠、顔が赤くて、呼吸が乱れているが)いつもの笑顔でおねだりしてきた。〜〜そ…、そんな顔で言われたら、断るものも断れなくなってしまうではないか…!

だが、愛する人の要求に全て従うだけが愛ではない。時には男らしく、ビシッと断って道を正してやるのも愛情だ…!

〜〜このままでは、あやめさんにまた新たな性癖が備わってしまう上、人格まで崩壊してしまいそうだからな…。

「〜〜ま、また後でゆっくり来ませんか?時間もあまりありませんし、もうそろそろ――」

――ガシッ!

「…私の言うことが聞けないの?うふふっ、いけない子ねぇ、大神君は…!!」

あやめさんは、女とは思えない力で俺の腕を掴んで放そうとしない…。

〜〜か、完全に目が据わっている…!!殺女の時と同じ表情じゃないか…!!

「フフッ、あんたら、気に入ったよ。どれ、そのボンテージもつけてやる!」

「まぁ…!何から何までありがとうございます。ふふっ、ちょっと着替えてくるわね…!」

「〜〜あ、あやめさん…!?待――」

「あんたも諦め悪いねぇ。妻にサービスしてやるんが旦那の務めだろ?ほら、特別に裏のステージ貸してやるから、プレイに励んでみな…!」

「〜〜ス、ステージ…!?」

「あぁ、私の店、夜はSMショーやってるんだよ。今度、奥さん連れて観に来なよ。最初は皆、そうやって抵抗するんだけど、クセになるよぉ?」


美人の女店長に顎を軽く押し上げられ、妖しく見つめられる…。〜〜この場所じゃなければ、確実に鼓動が高鳴るシチュエーションなのだが…。

「――お待たせ、大神君…!」

「〜〜いぃっ!?もう着替えたんですか…!?」

「ふふっ、早く着てみたくて…。――どう?似合うかしら?」


妖しく光る黒のエナメルとへそ出しルックの女王様のボンテージコスチュームを身にまとい、まとめていた髪を下ろしたその姿は、あの時の殺女そっくりだ…。

周りのSMマニアの客もあやめさんの女王様に釘づけのようだ。

「へぇ、こりゃ驚いたな…!フフン、おとなしそうな顔して、とんだ素質隠し持ってたんだねぇ。――ほら、女にばっかり恥ずかしい思いさせてんじゃないよ!あんたもとっとと、これ着けなっ!!」

「〜〜いぃっ!?ちょ…っ、ちょっと待…〜〜うわあああっ!?」


俺は女店長に強引に裸にひん剥かれ、首輪をつけられてしまった…。

「お、大神くぅん…っ!」

あやめさんは俺の姿を見て、さらにゾクゾクしたらしい。

「フフッ、お似合いの女王様と下僕じゃないか。ほら、さっさと始めちゃいなよ」

「ふふっ、ほら、店長さんのご厚意に甘えちゃいましょ?ね?」


天使のような声とは反対に、あやめさんは悪魔のような微笑みで俺を裏のステージへと引っ張っていく…!

「〜〜や、やめて下さい、あやめさん…!正気に戻ってくれ…!!」

俺は抵抗し、あやめさんが最終降魔・殺女になってしまった時のように必死に呼びかけた…!だが、その記憶が逆にあやめさんのスイッチをONにしてしまう…!

「あ〜っははははは…!!あやめさんですってぇ?女王様とお呼びっ!!この下僕がぁっ!!」

「〜〜いぃっ!?」


あやめさんは鞭で俺を縛ると、そのまま裏のステージへと連れていった。

「うふふっ、さぁて、私がいない間に私そっくりの妹に手を出した、お下のだらしな〜い坊やにどんなおしおきをしてあげましょうか…?」

「〜〜ま…っ、待って下さい…!そこは…!!う…っ、うわああああ〜っ!!」


ビシィィン…!!バシーンッ!!

「あっはははは…っ!!何て無様な姿なのかしら…!?ふふっ、かえでにも見せてあげたいわ…!写真に収めておきましょっと…!」

「〜〜や、やめて下さい…っ!」

「ホホホ…!!奴隷に口答えする権限なんてないのよ…!?ほ〜ら、あんたのその薄汚い姿を花組にも見せてやるんだから…!!」

「〜〜お、お許し下さい、女王様〜っ!!〜〜ひぃぃ…っ!!」

「ほ〜ら、こっち向きなさ〜い、下僕君!あははははは…っ!!」


俺は『とれるんですくん』で女王様に責められる姿を撮られ続ける。

「フフ…、面白いジャパニーズカップルだねぇ」

あやめさんの高笑いと女店長の嘲笑が頭の中で木霊し、視界がぐるぐる回る…。

あぁ…、痛いはずなのに、何故か気持ちいい…。〜〜まずい…、俺まで変な性癖に目覚めてしまいそうだ…。

「――くん…、大神君…!」

「――う…ん……」


気がつくと、俺は大通りのベンチにあやめさんに膝枕されて、横になっていた。いつの間に眠ってしまっていたのだろう…?

「大丈夫…?突然、倒れちゃうんですもの…。心配したのよ…?」

ホッ、いつもの優しいあやめさんだ…。

そうか、あれは夢だったのか…!ハハ、そうだよな。あのあやめさんがあんな高飛車な女王様になるはず――。

「ふふっ、大事なところで眠っちゃうんですもの。――続きは今夜…ね」

と、あやめさんは購入した鞭をビシッと両手で引っ張り、殺女の時と同じ顔で俺に微笑んだ。〜〜や…、やっぱり、あれは夢じゃなかったのか…!!

「――あら、もう12時半ね…。『Heaven`s Gate』にフードコートがあるみたいだから、そこでお昼にしましょうか?」

「〜〜わ、わかりました…、じょ、女王様…」

「ふふっ、普段は『あやめさん』でいいわよ、下僕君?」


〜〜あやめさんを突っ走らせると、めちゃめちゃ怖い…。よく勉強になりました…。


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