紐育星組ショウ2013〜ワイルド・ウエスト・希望〜開催記念・特別短編小説
「ラブソングを君に」その2
その頃、私と大河君はリトルリップシアターに残り、オーロラ姫とフィリップ王子二人のシーンの稽古を続けていた。
「――けほっけほっけほ…っ!あ〜…、高音が続くとどうしても喉が締まっちゃいます…」
「う〜ん…。台詞はだいぶ上手くなってきたけど、歌とダンスがねぇ…」
「〜〜う…。す、すみません…」
「ふふっ、ステップを踏む足の筋肉の前に、もっと肺活量を鍛えた方がいいかもね。……厳しいことを言うようだけど、今のままじゃとてもステージに出せないわ。見に来て下さるお客様に最高のステージをお届けするのが私達の仕事でしょ?」
「そうですよね…。〜〜本当にすみません…。せっかくラチェットさんがつきっきりで教えて下さってるのに僕ときたら…」
「フフ、嘆いてる暇があるなら練習なさい!なんなら、今日は一緒にシアターに泊まってく?」
「〜〜えぇっ!?」
「あら、だってその方が効率的だと思わない?シャワーもあるし、近くに遅くまで開いているレストランもあるし…」
「で、でも…、二人で泊まったとなると、色々マズイんじゃ…♪」
「あら、どうして?もう本番まで日にちがないんだから、今日から早速合宿を開始しましょ!双葉お義母様には私からうまく言っておくから、あなたは安心してレッスンに励みなさい♪」
「〜〜ラチェットさんが言うと、母さんが余計うるさいような気もしますけど…。…でも、そうですよね!?こうしてる間も時間が惜しいです!ラチェットさんと肩を並べても笑われないように、これまで以上に頑張らないと…!!」
「ふふっ、それでこそ私の隊長さんね!私も副司令兼パートナーとして、全面的にサポートさせてもらうわ♪」
「はいっ!よろしくお願いします、ラチェットさん!!――よーし!大河新次郎改めプチミント、粉骨砕身の覚悟でオーロラ姫になりきるぞ〜っ!!」
ふふっ、大河君ったら、すっかり張り切っちゃって!
最近は何事にも無関心で無気力な若者が多いけど、大河君みたいに努力家で、ちょっとだけ要領悪い子を見ると母性本能をくすぐられて応援したくなるのよね〜!
レッスンが一段落したら、ちょっとだけご褒美をあげちゃおうかしら…♪
「〜〜ああああ…、新君!私の新君はどこへ行ってしまったのだ〜っ!?」
その頃、双葉お義母様は真っ青な顔色でリトルリップシアターの前をうろうろしていた。
「シアターは閉まってるか…。〜〜キャメラトロンも全然繋がらんし…。だいいち、こんなに帰りが遅くなるなんて初めてだ…!スター・ファイブとワンペアに聞いても手掛かりはなしだったし、こういう時に限って加山君とは連絡がつかんし…。〜〜ハッ!?まさかプチミントに女装したまま、変な男に連れ去られてしまったとか…!?ああああああ〜っ!!だから、毎日母が送り迎えしてやると言ったのだぁ〜っ!!〜〜と…っ、とりあえず警察だなっ!!万が一の時は、一郎とかえでにも国際電話を――っ!!」
「――おや、双葉さん。こんな時間にどうしたんです?」
そこへ、声を掛けてきたのはサニーだった。
〜〜何故かはわからないけど、タキシードに薔薇の花束を抱えて、イイ男を決めちゃってるわ…。
「サニーサイド…!〜〜き…っ、聞いてくれっ!!新君がまだ帰ってきてないんだ!!どこにいるか心当たりないかっ!?」
「……ほほぅ〜?いやいや、実は私もですねー、ラチェットを深夜のドライブにでも誘おうかと、さっきから何度もキャメラトロンにかけてるんですが、不思議なことに一向に出てくれなくて…。――そういえば彼女、舞台のレッスンしたいから、今日はシアターに残るとか言ってたなぁ〜♪」
「〜〜ほっほ〜う?新君とのデュエットが決まった、あのラチェットがなぁ〜…?――フッフッフ…、どうやらお互い、繋がったようだなぁ〜?」
「クックック…、えぇ、本当に♪――それでは、シアターの鍵を開けましょう〜っ!!」
「〜〜ええいっ、早くせんと新君がまたラチェットの玩具にされるだろうがっ!!――待ってろ、新く〜ん♪母がすぐ助けに行くからなぁ〜っ!!」
鍵を開けてシアターに入った双葉お義母様とサニーは脇目も振らず、レッスン室へ直行した…!!
――バンッ!!
「――新く〜ん!母が迎えに来たぞ〜っ♪」
「――ラチェット〜!ドライブしながらディナーでも――♪」
……しーん…。
「……」「……」
私と大河君がついさっきまで稽古していたレッスン室がもぬけの殻だったことに、双葉お義母様とサニーはドアを開けたポーズのまましばらく動きを止めて沈黙した…。
「…うぅむ、一足遅かったか。さてはホテルか?いやいや、それともラチェットの高級マンションか…」
「〜〜うがあああ〜っ!!ラチェットめぇ…っ!新君にあんなこと♪やこんなこと♪していいのは、この母だけなのだぁ〜っ!!」
フフッ、ごめんなさい、お義母様♪
公演が終わるまで息子さんはお借りしますわ!
「――ディナーご馳走様でした、ラチェットさん」
「ふふっ、本当はもっとお洒落な所がよかったんだけど…」
「時間が時間ですからね…。でも、とっても美味しかったです!お腹もいっぱいになりましたし…!」
「フフ、よかった!――はい、お口直しに♪」
「あ…、ありがとうございます」
と、大河君は私から渡された、さくらんぼ付きのブルーの綺麗なカクテルを一口、緊張しながら飲んだ。
近くのレストランで遅めの夕食を取った後、食休めも兼ねて、私と大河君は気分転換にクラブへやって来たの。
ふふっ、うまく双葉お義母様とサニーの追跡から逃れられてよかったわ♪
「クラブは初めて?」
「は、はい。人が多い所って、何か緊張しちゃって…」
「ふふっ、そう。私も最初、こういう場所は苦手だったんだけど…、プラムに連れて来られてから結構気に入っちゃってね」
「へぇー、そうなんですか。ラチェットさんのことだから、もっと静かな高級バーで飲んでるのかと…」
「たまにはこういう場所で弾けないと、副司令なんて中間管理職はやってられないもの」
「あはは、そうですよね。僕も一応、中間管理職なのでわかります!」
「フフッ、大河君ならそう言ってくれると思ったわ。今日はレッスンをたくさん頑張ったご褒美に朝まで弾けちゃいましょ♪」
「はいっ!えへへへ…♪」
すると、アップテンポのダンスミュージックに曲が変わり、クラブ専属の歌手が歌い始めると、聞いているお客達のノリもさらに良くなった。
こういうのって、なんて言ったかしら…?――そう!アゲアゲね♪
「さぁ、踊りましょ、大河君!」
「えっ?〜〜ぼ、僕、そういうのわかんないんですけど…!?」
「フフ、緊張しないで。こうやってリズムを取って…、音楽に体を任せるだけでいいのよ」
「ヒュ〜♪」
私が踊り出すと、クラブの客達がノリノリで、こちらに視線を集めてきた。
(わぁ…、さすがラチェットさん!もう注目の的になってるや…!)
「ほら、こっちいらっしゃい、大河君」
「は、はい…!」
大河君は私の見様見真似で、リズムに合わせて踊り始めた。
ふふっ、少しぎこちないけど、そこが大河君らしいというか…♪
「あはは、結構楽しいですね!ダンスの練習にもなりますし」
「でしょ?楽しみながら覚えた方が効率も上がるしね」
「あ、もしかしてその為に僕をここへ…?」
「半分はね。残り半分の理由はさっき言った通りよ。今はお仕事のことは忘れて、普通のカップルとして楽しみましょ!…ね♪」
「あははっ、そうですね♪」
「――おい!あんた、ラチェット・アルタイルだろ?」
私と大河君が楽しく踊っていると、水を差すようにガラの悪い男3人組が近づいてきた。
「…そうですが、何か?悪いけど、今はプライベート中なの」
「ほぉ、プライベートねぇ…」
「へへっ、近くで見ると、ますますイイ女だなぁ〜、あんた♪」
「ガキのお守りなんてやめてさ〜、俺達と遊ばな〜い?」
「や、やめろ!ラチェットさんに触るな…っ!!」
「…おーっと!」
「ハッハッハ!お前、リトルリップシアターでもぎりやってるジャパニーズだろ?高嶺の花のお姉様に遊んでもらえてよかったなぁ〜?」
「失せろ!!てめぇみてぇなガキ、ラチェット・アルタイルとは全然釣り合わねぇんだよっ!!」
「〜〜…っ!!」
「――失せるのはあなた達よっ!!」
「…ぐほぉっ!?」
私はハイヒールでリーダー格の男の股間に一発蹴りをお見舞いした!
「〜〜あ…っ、兄貴…!!」
「〜〜んのアマァ…っ!!」
「やめろぉぉっ!!」
私に殴りかかろうと拳を振り上げた子分の男に大河君はタックルして守ってくれたわ!
「〜〜や…、やべぇぞ!このガキ、空手家か…!?」
青ざめて後ずさっていたもう一人の子分の手首を私は掴むと、無理矢理自分の胸に押しつけた。
「〜〜うお…っ♪」
「…コホン。――きゃー!ガードマンさーん、痴漢よーっ!!」
「〜〜いぃっ!?」「〜〜いぃっ!?」「〜〜いぃっ!?」
「――お任せを、ミス・アルタイル」
私の迫真の演技に黒人でサングラスをかけた大柄のガードマンがすぐに駆けつけてくれて、男達3人を店から追い出してくれた。
ふふっ、あのガードマン、常連の私とは顔馴染だから、ああやって私やプラムに近づいてくる男達からよく守ってくれるのよね!
ともかく、これで一件落着だわ♪
――あら…?ところで大河君ったら、どこに行っちゃったのかしら…?
「大河君…?――!」
大河君を探して、カラフルな照明に当たりながら店内を歩いていると、元のカウンター席に彼はいた。
「…おかわりっ!!」
目が据わった赤い顔でカクテルのおかわりを注文する様は、まるで仕事の失敗でヤケ酒しているサラリーマンみたい…。
「フフッ、大河君ったら…。急にいなくなったら心配するでしょ?」
「……すみませんでした…」
「そんなに飲んだら明日のレッスンに障るわよ?大神隊長に似て、お酒苦手なんじゃなかった?」
「……一郎叔父はいいですよね…。男らしくて、皆から尊敬されてて…、副司令のかえで叔母ともお似合いの夫婦だって、よく言われてて…羨ましいです…」
「大河君…」
カクテルの水面に並んで映っている私と自分の童顔を見て、大河君のイライラはさらに募ってしまったらしい…。
……さっき不良達に言われたこと…、やっぱり気にしてるのかしら…?
「……ラチェットさんは気にならないんですか、彼氏が僕みたいな子供っぽい男で…?」
「ぜーんぜん?だって、年下君には違いないもの♪」
「そ、それはそうなんですけど…!〜〜やっぱり、他人からしたらラチェットさんは僕とじゃ釣り合わないんですよ…。……今度のステージだって…、どうせ同じように批判されるに決まってます…っ」
「…んもう。その悩みは去年解決したんじゃなかった?」
「すみません…。〜〜けど、やっぱり面と向かって言われると…っ」
「……つけるのは肺活量だけじゃなくて、『自信』も…みたいね?」
私が隣に座っても、大河君は拗ねた子供のように目を合わそうとしない…。
「…そういうところがあるから、子供っぽいって言われちゃうんじゃない?」
「〜〜う…!」
「ふふっ、人の意見なんて気にしなければいいじゃない!付き合ってる私達自身が楽しければ、それでいいでしょ?」
「ラチェットさん…」
「舞台もきっとそうなんじゃないかしら?最高のステージというのは、必ずしもお芝居とパフォーマンスが完ペキなものとは限らないわ。大河君がつまらなそうに舞台に立ってたら、見ているお客様だって楽しめないでしょ?」
「……そうですよね…。何もしなくても本番は来るんです。どうせ酷評されるなら、舞台を思い切り楽しんだ方がいいですよね!?」
「フフ、その調子よ!…でも、始めから酷評されることを前提としてるのは良くないわね」
「あ…、〜〜そう…ですね…。僕としても、あのデュエットだけは絶対成功させたいんです!ラチェットさんに恥をかかせたくありませんし、――それに成功したら、二人の一生の思い出になりますから…♪」
「大河君…♪ふふっ、そうね。じゃあ、シアターに帰ったら、寝る前にもう少しだけ練習してみる?」
「イェッサー!えへへっ♪」
ふふっ、大河君は落ち込むことも多いけど、立ち直るのも結構早いのよね!
そういうところが子供っぽいって言われる所以かもしれないけど…、私はそういうところも含めて、大河君を愛しているから…♪
ふふっ!でも、人のアドバイスを素直に聞く子はこれから伸びるわよね?俳優としても隊長としても、――そして、男としても…♪
「――あ、曲が変わった」
スローテンポになったバンドの演奏と美しい照明に乗せて、歌手は自慢の歌声をクラブ内に響かせる。
その音楽に乗せて、クラブの客達も男女でペアを組み、ロマンティックにスローダンスを踊り始めた。
「…お相手してくれる?」
「は、はい…!」
大河君が少し緊張しながら私の手を取ると、私達は体を近づけて、ゆっくり体を揺らして踊り出す…。
「ふふっ、前もこうして二人で踊ったわよね?」
「はは、そうですね。信長との戦いの後、船上パーティーで…♪」
「えぇ。…あの頃は双葉お義母様が来る前だったから、平和だったかも。ふふふっ!」
「はははは…!」
大河君は周りでダンスする他の客の真似をして、頬を紅潮させながらも私の腰にゆっくりと手を伸ばしてきた。
ふふっ、照れちゃって可愛いんだから…♪
私もロマンティックな気分になって、大河君のおでこに自分のおでこをくっつけて、頬に軽く口づけした。
そういえば大河君、少しだけ背伸びたみたい…♪
「ねぇ、キスシーンも練習しておかない?」
「えぇっ!?〜〜い…っ、いつもしてるみたいにすればいいじゃないですか…」
「フフッ、ダーメ!どのシーンも完璧に演じるのが私のモットーですもの♪」
「ラ、ラチェットさん…」
「――目を閉じて、オーロラ姫…」
夢心地になり、王子役の私が目を閉じたお姫様役の大河君にゆっくり唇を近づけたその時…!
――ギィイイイイ〜〜〜〜ンッ!!
「〜〜っ!?」「〜〜っ!?」
突如、クラブ内に鳴り響いた蒸気エレキギターをかき鳴らすやかましい音に遮られ、歌っていた歌手やバンドメンバーはもちろん、私達・客も皆、驚いて現実に引き戻された…!
「な、何だ…!?」
「『――ヒャッハ〜!!ファンのお前ら、待たせたなぁ〜っ!!』」
すると、パンクロックの服装とヘビメタ風のメイクをした若い男が蒸気エレキギターを肩にかけてステージに上がり、今まで歌っていた歌手をステージ下へ蹴り落とした!
「うわあああっ!!」
「あぁ…っ!?」
「『ハンッ!テメェの歌なんてクソ以下だ!!地獄へ堕ちな、ベイビー♪』」
「おい、何だ、あのイカレ野郎!?急にステージに上がりやがって…!」
「せっかく良い雰囲気だったのに邪魔しないでよーっ!!」
「『ヒョオオオオオオオッ!!お前ら、熱くて最高だぜぇ〜っ!!俺様の魂よ!もっともっと煮えたぎれぇぇぇ〜〜っ!!』」
ヘビメタ男がかき鳴らした、けたたましい蒸気エレキギターの音色がクラブ中に反響しながら響き渡ると、私達は皆、あまりにやかましい音に耳を塞いだ…!!
「〜〜くぅ…っ、耳がおかしくなりそうです…っ」
「〜〜聞いちゃダメよ、大河君っ!?このギターの音…、何か変だわ…!」
「『ヒャ〜ッハアアアア〜ッ!!俺様の新曲だ!皆、聞いてくれーっ!!』」
「〜〜くっ!ステージから降りろ!!今すぐにだ!!」
「『チッ!――邪魔すんなよ、おっさん…っ!!』」
ヘビメタ男がさっき私を助けてくれたガードマンに向けて蒸気エレキギターをかき鳴らすと、
「ぐわああああ…!!」
屈強なガードマンは軽々宙を舞い、建物の端へ吹き飛ばされてしまい、恐怖を感じた客達は皆、一斉に出口へ向かって逃げ始めた…!!
「これは…!もしかして闇の霊力ですか!?」
「えぇ…!この世の者ならざる禍々しい力を感じるわ…。――早くジェミニ達に連絡を!」
「イ…、イェッサー!」
〜〜く…っ、スタァなしでは苦戦を強いられそうだけど、ジェミニ達が来るまで何とか持ち堪えてみせるわ…!
「『お…っ、おい待てよ、お前ら!俺様の新曲聞いてけっつってんだろー!?』」
――ギュ〜〜〜ン…!!ウィンウィンウィン…!!
「うわああああ…!!」「きゃああああ…!!」
蒸気エレキギターの音色は闇の霊力が込められており、まるで催眠術にかかったように私と大河君以外の客やスタッフは皆、闇のオーラに包まれながら深い眠りに落ちてしまった。
「『……またやっちまった…。〜〜ちきしょう!何でいつもこうなるんだよ…っ!?ロクに聞いてもねぇうちから、ヘビメタをイカれてるだの下品だの罵りやがって…!最後まで聞いても罰は当たらねぇだろうが!クソ…ッ!!』」
「――その前に、まず演奏中に霊力波を飛ばすのをどうにかしたらどう?」
「『……ああん?』」
スターファイブにキャメラトロンで連絡しようと大河君と離れ、一人店内に残った私をヘビメタ男は見つけると、中指を立てて、つばを吐き捨てた。
「『…ケッ!いかにも高級マンションでクラシック聞いてま〜す♪って感じの姉さんだなぁ、オイ?』」
「あら、よくわかったじゃない♪それも悪霊の能力なのかしら?」
「『〜〜俺様は悪霊じゃねぇっ!!何でテメェらはヘビメタが好きってだけで俺様を悪者扱いするんだ!?クラシック・マニアはみ〜んな高尚だが、ヘビメタ・フェチは全員サタンの手下ってか!?ああん!?』」
「…クラシック・マニアでもヘビメタ・フェチでも、あなたはもうこの世にいてはいけない人間なのよ?おとなしく憑依した人を解放して、サタンのいる地獄へ帰りなさい!」
「『ケッ、この世は地獄だ。だったら、ここも俺様のテリトリーなんだよ!――ブロンドの姉さん、アンタを俺様のファン第一号にしてやるぜぇ!!覚悟しなぁぁぁっ!!』」
「く…っ」
ナイフを構えたはいいけど、…正直言うと、奴の闇のオーラに飲み込まれてしまいそうで、立っているだけでもやっとって感じだわ…。
〜〜うぅ…っ!!店の中が狭いからかもしれないけど、圧倒的な負のパワーに今にも体が押し潰されてしまいそう…!
――大河君、お願い!早く皆を呼んできて…!!
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