冥王せつな誕生日記念・特別短編小説2017
「愛の思い出」その12



「――お前は何者だ…!?」

時空の棺を破られ、気を失った私を抱き起こしてくれている衛さんの前に遂にセーラーギャラクシアが姿を現した…!!

「私は銀河最強の戦士・セーラーギャラクシアだ!」

「…っ!!お前は確か…、あの時の…!?」


近づいてきたギャラクシアの顔を見上げて、衛さんは水族館のVRに映り込んできた女と同一人物だと気付いたらしい!

「くくくっ、無力な地球の王子よ!――そのゴールデン・クリスタル、今もらい受けるっ!!」

――ゴオオオォ…ッ!!

「うわああっ!!」

ギャラクシアの掌から発せられた衝撃波は突風を巻き起こし、吹き飛ばしそうな勢いで衛さんと私に襲いかかる…!!

「〜〜くぅ…っ、そうか…!昨日、せつなが戦った相手というのは、お前だな!?」

「ほぉ?クク…、時空が歪んだせいで向こうの世界の住人と一部の記憶が混同しているか…」

「何わけのわからんことを…っ。〜〜答えろ!!せつなに何をしたっ!?」

「フッ、お前の愛するその女は、私を封じ込めておけるだけの力を維持できなくなったにすぎん。お前達がくだらぬ愛とやらを深め合ってくれたお陰で、私は封印のほとんどを解くことが出来たのだ。感謝しているぞ?」

「一体どういうことだ…!?」

「…この世界の貴様に言っても、わからぬのは当然か。ククッ!そこにいる冥王星のプリンセスに、あの世で聞いてみることだなぁっ!!」


――ゴオオオオォォ…ッ!!

「うわああああっ!!」

「フフ、ここは二つの世界の狭間に位置する亜空間…!私の野望は誰にも邪魔させんっ!!」


――ビュオオオオオオオオォォォォ…ッ!!

「〜〜うぐぅ…っ!?――く…っうぅぅ…っ!!」

息つく間もなく衝撃波を浴びせてくるギャラクシアをタキシード仮面は仮面越しに睨むと、翻した黒いマントを広げて盾にして、倒れている私を強く抱きしめて守ってくれた…!

「ふははははっ!!そんな布きれ一枚で、いつまで耐えられるかな!?――ギャラクティカ・マグナムッ!!」

――ドオオオオオオォォンッッ!!

「〜〜うぅ…っ!!…クッ!――せつなはぁ…っ、俺が必ず…っ!守って…みせるぅ…っ!!」

――温かい…。衛さんの温もりと愛情がこの肌を通して伝わってくる…。

……せめて指だけでも動かして彼に触れて、『私は無事よ』ってことを伝えてあげたい…。〜〜そう思っても、なかなか体は言うことを聞いてくれない…っ。

〜〜力が…出ない…っ。…頭も…痛い…。……まぶたも…重…い……。

――イライラしているのはギャラクシアも同じらしい。

「〜〜チッ、まだ一撃で仕留められるだけの力は出ぬか…。…ならば、ジワジワと嬲り殺してくれるっ!!」

――ビュオオオォォッ!!

「く…っ!――タキシード・ラ・スモーキング・ボンバー!!」

必死の思いでタキシード仮面が放った必殺技をギャラクシアはニヤッと余裕の笑みを浮かべると己の衝撃波を撃ち、相殺という形で、いとも簡単に打ち消してしまった!

「〜〜何…っ!?」

「…その程度か?まるで、そよ風のダンスだなぁ?」


――ドオオオオォォォォォ…ンッッ!!

「うわああああああ…っ!!」

「ふははははっ!!エンディミオンよ、その程度の力では愛する女は守りきれんぞ?」

「〜〜うぅ…っ、く…っううぅ…っ」


私のプリンスが…、〜〜衛さんが…苦しんでいる…っ!!

「〜〜く…っ!――プルート…、せめて…君…だけ…は…っ」

防御に徹せざるを得ない状態まで追い込まれてしまったタキシード仮面は汗びっしょりで弱々しく私に微笑みかけると、私の手を握る自分の手の力をギュッと強めた…!

〜〜このままでは私をかばって、タキシード仮面が…!!本当なら私がプリンスを…、衛さんをお守りしなくてはいけないのに…っ!!

〜〜お願いだから動いてっ!私の体…っっ!!

――ポォ…ッ!

「…っ!?せつな…?」

その時、私の気持ちに応えてくれたかのように、傍で転がっていたガーネット・ロッドが深紅とえんじ色の混合色の光を放ち始め、フワッと宙に浮かんで衛さんの傍に来た…!

「ム…!?」

――力を貸して、ガーネット・ロッド!私の守護星の冥王星よ!

私も戦わなくちゃ…!――大切なエンディミオン様を守る為に、また立ち上がりたいの…っ!!

「〜〜ハァ…ハァ…ッ!!――ガーネット・シールド…ッ!!」

私は全身を奮い立たせて、ロッドから独立させたガーネット・オーヴを両掌の上に乗せて頭上に掲げると、タキシード仮面と私の周りに時空のバリアを作り出し、表面に触れたギャラクシアの攻撃を全て異次元のブラックホールへと受け流すことに成功した…!!

「〜〜何だと…っ!?」

「はぁ…はぁ…はぁ…っ、私がいる限り、衛さんに手出しはさせないわ…っ!!」

「せつな…!無事でよかった…!!」

「ふふっ、タキシード仮面様が命がけで守ってくれたお陰です…♪」


私がエンディミオン様をお慕いして、お守りしたいように…、――こうやってプリンスも…、愛する衛さんも私のことを大切に想って愛してくれることで、私はもっと強くなれるのよ…!!

「…フッ、まだそんな力が残っていたとはなぁ。――だが、もう遅い!お前達の絆が強くなればなるほど、私の封印は解けていくのだからなぁ!?」

「封印が解けるということは、あなたを元の世界に強制送還できるということでもあるのよ?早くこの世界から出て行きなさい、ギャラクシア…!!」

「フ…ッ、どうやら、お前を少し見くびっていたようだなぁ?私をこんな亜空間の墓場へ閉じ込めてくれた礼はたっぷりしてやるぞ!?――覚悟するがいい、セーラープルートッ!!」


――ドオオオオォォォンッ!!

「〜〜くぅ…っ!?」

〜〜ギャラクシアが放ってくる攻撃の一つ一つがとても重い…!シールドを保つ為にガーネット・オーヴを掲げている腕も痺れてきて、力が抜けていくわ…!!

〜〜これでも、まだギャラクシアは完全に力を取り戻していない状態だなんて…っ!?

「ふははは…!!大見得を切った割に大したことないなぁっ!?」

――ゴオオオオオオォォ…ッ!!

「きゃああああっ!?」

〜〜くぅ…っ!!体がバラバラになりそうだわ…っ!!この時空のシールドも、いつまでもつか――っ!?

「――プルート…ッ!!」

――ヒュン…ッ!!

「〜〜…ッ!?」

タキシード仮面が投げてくれた赤いバラがギャラクシアの手の甲に刺さったお陰で、攻撃が途切れたわ!

「今だ、セーラープルート!」

「はい!――ヘィディーズ・ウォーニング・ブリーズ!!」


私はガーネット・オーヴをロッドに装着させると、デッド・スクリームやクロノス・タイフーンより威力は小さくも無数の竜巻を起こし…、

――ゴオオオォォッ!!

「〜〜…っ!?しまった…!!」

冥界の風で出来た枷をギャラクシアの両手首・両足首にはめ、拘束するのに成功した!!

「やったわ…!!」

「怪我はないか、プルート?」

「えぇ。助かりましたわ、プリンス…♪」

「愛する者と互いにかばい合う…か。…フッ、地球人とはくだらん種族だ」

「…あなただって、人を愛しいと思ったことぐらいあるはずよ?生まれた星は違っても、あなただって同じセーラー戦士…、同じ赤い血が流れている私達の仲間ですもの…っ!?」

「フッ、だから何だと言うのだ?人を慈しみ、愛する心など、この銀河を制圧するうえでは邪魔なだけだっ!!」

「〜〜ギャラクシア…」

「…せつな先生がどんなに指導しても、効果はなさそうだな?」

「…そのようね。――その状態で、あなたを元の世界まで護送するわ!おとなしくしていないと時空の狭間に落ちるわよ?」

「ククッ、いいだろう。――『やってみるがいい…っ!!』


すると突然、ギャラクシアの体から巨大な影が飛び出してきて、ぐわあっと私とタキシード仮面を頭から飲み込んできた…!!

「きゃああああああ…!!」「うわああああああ…!!」

『ふはははっ!!このカオスがお前達に底知れぬ絶望と絶対なる死を与えてやろう…!!』


ギャラクシアの声が二重に聞こえる…!?〜〜一体どういうことなの!?

『――私の世界の彼女は今もカオスを自らの体内に封じ込めたまま、自我を保てているわ』

まさか奴が…、ギャラクシアの声と重なって聞こえてくる、この不気味な声の主がカオスだというの…っ!?

「〜〜せつな…!?どこにいるんだ!?」

360度見渡す限り広がる真っ暗な闇…。〜〜なんて冷たい…、静寂の世界なのかしら…。

「衛さん、どこにいるの…!?〜〜返事をしてぇ…っ!!」

すぐ近くに衛さんがいる気配を感じるのに、手探りしても何も感じない…。目を凝らしても何も見えない…。……耳を澄ましても何も聞こえない…。

〜〜こんなに深くて邪悪な闇がギャラクシアの体に封じ込められているだなんて…っ!?

『くくっ、深淵なる私の闇の中で仲良く息絶えるがいい…っ!!』

二重に聞こえるギャラクシアの声が闇の中で響き渡った直後、黒い嵐が巻き起こった!!

「きゃああああああ…!!」「うわああああああ…!!」

視界を奪われた私と衛さんを吹き飛ばしそうなほどの強く冷たい風が襲い、体温を奪っていく…!!

「うぅ…っ!〜〜せ…、せつ…なぁ…っ」

〜〜寒くて凍えそうだわ…。

どこにいるの、衛さん…!?〜〜早くあなたの腕の中で温まりたい…っ!!

「〜〜ま…、まも…る…さぁ…ん…っ」

黒い嵐が吹き荒れる中、私と衛さんは真っ暗な闇の中で探り探り手を伸ばし合い、やっとのことで互いの指と指が触れ合うことが出来た…!!

「せつな…!そこにいるんだな!?」

「衛さん…!私は、ここにいるわ…っ!!」


指を絡ませ合い、そのまま衛さんの手をギュッと強く繋いだ私をタキシード仮面は自分の腕の中へ強く抱き寄せてくれた!

「プルート…!もう絶対、君を離さないからな…!?」

「私もです、プリンス…!――どうか私にあなたの力を貸して下さい…っ!!」


吹き荒ぶ風に飛ばされないように私とタキシード仮面が強く互いを抱き合い、握り合っている手から強くて神々しい光が生まれた…!!

『バ、馬鹿な…!?』

「――プリンス、私と一緒に…!」

「あぁ!」


私とタキシード仮面は光を放っている握り合った手と手を共に真上に伸ばした…!!

「――プルート!!」

「――タキシード!!」

「タイム・スペース・ボンバーッ!!」「タイム・スペース・ボンバーッ!!」

『〜〜ぐおおおおおおおおおおぉぉぉぉ…っ!?』


やった…!!私と衛さんが放った愛の合体攻撃がカオスが覆っていた闇を払いのけ、二人とも無事に抜け出すことが出来たわ…!!

「やったな、せつな!――君の顔がよく見えるようになったよ…♪」

「衛さん…♪」


――どう、ギャラクシア?これが私と衛さんの愛の力よっ!!

孤独に時空の扉を守っていた頃では想像できないほどの温かくて優しく、強い力が今、私の中にこんなにみなぎってくるわ…!!

「〜〜フフフ…、見事な協力プレーだ…。――褒めてやろう…っ!!」

抱きしめ合って喜んでいた私達をギャラクシアは空中から見下ろしながら笑うと…、

――ガシャァァァン…ッ!!

と、両手足にありったけの力を込め、拘束していた冥界の風の枷を4つとも全て振り解いてみせた!

「〜〜あぁ…っ!?」

「ふははは、愚か者め!!こんなちっぽけな技で本気で私に勝てると思っていたのかぁっ!?」


――ドオオオオォォォォンッ!!

「きゃああああっ!!」「うわああああっ!!」

「ははははっ!!力がみなぎってくる…!!お前達の愛が深まったお陰で、さらに私の封印が解けたようだぞ!?」


〜〜くぅ…っ!私と衛さんの力を結集させた合体攻撃を受けても、まだあんなにピンピンしているなんて…っ!?

〜〜悔しいけど、私達二人の力だけじゃ完全にギャラクシアを倒すことは出来そうにないわ…。

せめて、通信機で同じサンシャインシティにいるうさぎちゃんに…、エターナル・セーラームーンに応援を頼めればいいのだけど…、世界から切り離された、この亜空間の中じゃ…、〜〜いくらシルバー・クリスタルの力をもってしても駆けつけるのは容易なことではないでしょうね…。

「セーラープルートにプリンス・エンディミオンよ!今まで散々、私を手こずらせてくれたなぁ?貴様らのスターシードを今、私のコレクションに加えてやるぅ…っ!!」

ギャラクシアは高笑いしながらブレスレットをこちらに向けてきた…!

「〜〜いやぁ…っ!?」

――ダメ…!回避もシールドの展開も間に合わない…!!〜〜やられる…っ!!

「死ねぇぇぇっ!!」

「――せつなぁぁぁぁ…っ!!」


――ズギュウウウウゥゥゥン…ッ!!

タキシード仮面は私を抱きしめてかばうと、ギャラクシアのブレスレットから放たれた光の凶弾を背中で受けた…!!

「〜〜衛さぁぁぁぁぁん…っ!!」

苦悶の表情を浮かべ、ゆっくり私の方に倒れてきたタキシード仮面の体から黄金に輝く美しいゴールデン・クリスタルが出現し、浮遊してギャラクシアの掌の上に舞い降りた…!

「美しい…!これがゴールデン・クリスタル…、地球を司るスターシードか…!!」

「そ…んな…。〜〜エンディミオン様ぁっ!しっかりして下さい…っ!!」

「ハァ…ハァ…。せ…つな……、君が…無事で…本当に…良か…った……」

「〜〜いやああ…っ!!私をかばったばかりに…、プリンスであるあなたが…こんな…っ」

「約束…したろ…?俺は…熱い…風に…なって…、ず…っと…君の傍に…いる…って…」

「〜〜衛さん…っ」

「そんな顔…する…なよ……。俺達は…また…どこかで…必ず…っ…巡り…会える……」


衛さんは私の溢れて止まらない涙を手袋を着けた震える指で拭いながら弱々しく微笑むと、最後の力を振り絞って、私の唇に優しいキスをしてくれた。

「誕生日…なのに…最後…まで…一緒に…いて…やれ…な…くて…ゴメ…ン…な…?――愛…して…る…よ…、せ…つ…な……」

衛さんは静かに目を閉じると、私に抱き起こされていたその体は砂になって崩れ…、

「衛さん…っ!?」

亜空間に吹く冷たい風に吹かれて、腕を組んで仁王立ちするギャラクシアに最後の抵抗とばかりに、ぶわあっと砂の突風をお見舞いしながら通り過ぎて消えていった…。

「い…やぁ…!私を置いて行かないでぇ…っ!!〜〜いやあああああああぁぁぁぁ〜っ!!」

「くくくっ!心配せずとも、お前もすぐに後を追わせてやる…♪」

「〜〜許さない、ギャラクシアァ…ッ!!」


再びブレスレットを構えてきたギャラクシアを私は睨みつけると、ガーネット・ロッドを怒りで震える手でギュッと握りしめた…!!

「ククッ、良い顔だ…!私に対する憎しみの感情で、お前のセーラークリスタルはさらに輝きを増していることだろう…♪」

「〜〜よくもエンディミオン様を…っ!!」


昨日戦った十番高校の化学教師や今日の高校生トリオがそうだったように、きっとスターシードを取り戻せば肉体を復活できるんだわ!

――私の手で愛する衛さんを必ず取り戻してみせる…っ!!

「はああああああああっ!!――彼のスターシードを返しなさぁぁいっ!!」

――ゴオオオオオォォォッ!!

「ぐあああっ!?」

私は自分でも驚くほど強力な冥王星の力をガーネット・ロッドに込め、ギャラクシアに思い切り冥界の風を叩きつけた…!!

「〜〜ぐふ…っ!?……フ…フフ…、愛が怒りに変わり、力を爆発させたか…。時の神の血を継ぐ貴様の力は、まだまだ未知数なようだなぁ?」

「あなただけは絶対に許しません…っ!!〜〜プリンスの仇ぃぃ…っ!!」


――パシ…ッ!!

「…っ!?」

私が涙を飛ばしながら倒れているギャラクシアに向かって大きく振りかぶったガーネット・ロッドを後ろから誰かが掴んで、止めに入った…!?

「くっくっく…、そんなに愛しのプリンスが恋しいのなら会わせてやろう…」

「え…っ?」

「――言ったろ、ずっと君の傍にいるって…?」


背後から私の耳元で囁いてきた…、――この声は…まさか…っ!?

振り返ると、目の前に立っている仮面を取ったタキシード仮面はニヤッと私に向かって不気味な笑みを浮かべた。

「ま…、衛…さん…?」

「会いたかったぞ、せつな…」


――ドオオオオォォンッ!!

「…っ!?〜〜きゃあああああっ!!」

駆け寄ろうとした私にタキシード仮面は何のためらいもなく衝撃波を放ってきて、私は吹き飛び、地面を転がった…!!

「〜〜うぅ…く…ぅっ!そんな…、ど、どうして…――っ!!〜〜あぐぅ…っ!?」

タキシード仮面はマントを翻してギャラクシアの隣に移動するついでに、私の鳩尾に強く拳を叩き込んできた!

「くくくっ、痛かったかい?プルート…♪」

「〜〜う…、うぅ…っ。エ…、エンディ…ミ…オン…さ…ま…?」

「こいつはエンディミオンの体の一部で作った泥人形…。もう、お前の知る地場衛などではない!」

「な、何ですって…!?〜〜んああ…っ!?」


――ギリギリィ…ッ!!

「ハハハハッ、もっと苦しめ!その絶望に満ちたお前の心がセーラークリスタルをさらに輝かせるのだっ!!」

――ギリギリギリギリィィ…ッッ!!

「ひぎいいっ!?〜〜いやああああああぁぁぁぁ〜っ!!」

殴られた鳩尾が痛くて、うずくまって苦しんでいる私の背中やお尻をギャラクシアは笑いながら細いヒールで踏みつけてくると、手に握っている衛さんの肉体を形成していた砂を地面にパラパラこぼし、地面に這いつくばっている私に見せつけてきた。

きっと、亜空間の風に運ばれて通り過ぎていった際に掴んだものだろう…。〜〜これを使って、ギャラクシアは衛さんの泥人形を…っ!!

「あ…ああぁぁ…っっくぅ…っ!〜〜あなたは悪魔よ、ギャラクシア…ッ!!」

「フフフッ♪最後の仕上げだ。――エンディミオンよ、お前の愛するその女をもっと甚振ってやるがいい!」

「――かしこまりました、ギャラクシア様。我がギャラクティカ軍団の名誉に賭けて…」

「〜〜そ…んなぁ…。衛…さん…っ」


ギャラクシアと同じブレスレットを手首に装着しているタキシード仮面は私を冷たい瞳で見下ろしてくると、ステッキの先を私に向け、思い切り突いてきた!

――ヒュン…ッ!!

「きゃあっ!!」

「愛してるよ、プルート。君のセーラークリスタルを私に捧げてくれるね…?」


――ヒュンッ!!――ヒュン…ッッ!!

「いやあ…っ!!〜〜目を覚まして、衛さん…っ!!私がわからないの…!?」

「ふはははっ!!どうした、セーラープルート!?私の部下になり下がった男を早く攻撃してみるがいいっ!!」


〜〜そんな…っ!衛さんと戦うなんて…、できるわけ――っ!?

「――う…っ!?」

その時!タキシード仮面が急に苦しみだして頭を押さえ、その場にうずくまってしまった…!!

「衛さん…!?〜〜しっかりして…!大丈夫っ!?」

「〜〜う…、うぅぅぅ…っく…ぅ。――せ…、せつな…?俺は…一体…?」

「衛さん…!」


いくら泥人形といえども、衛さんの体の一部で出来てるんですもの!きっと、まだ衛さんの意識が残ってるんだわ…!!

「安心して?あなたのスターシードは私が必ず取り戻――!」

笑顔で励ましながら駆け寄ってきた私にタキシード仮面は急に冷たい表情になって、ニヤッと不気味に口元を緩ませると…、

――ギリィィィィ…ッ!!

「〜〜あう…っ!?」

両手で私の首を掴み、すごい力で絞めてきた…!!

「フフッ、愚かな…。空の器でしかない泥人形は心など持たぬわ!」

「君は優しいから、騙すのが簡単でいいよ。せつなのそういうところ、大好きだぞ…♪」


――ギュウウウウゥゥゥゥ…ッ!!

「〜〜んあああああぁぁっ!?く…、く…るし…い…っ!〜〜ま…、衛…さん…、や…めてぇ…っ」

「フフフ…、愛を知った美しき時の番人が絶望に悶え苦しむその顔…、プリンスの私にもっと見せてくれ…♪」

「〜〜あがぁ…っ!?んああ…ぁああぁぁぁぁ…」

「ふはははっ!!その顔、最高だよ!せつなぁっ!!――もっと美しくなるように、私が君を飾ってやろう…♪」


タキシード仮面が内ポケットから取り出した赤いバラに口づけすると、そのバラの茎は縄跳びの縄ぐらいの長さに伸び、私の上半身を拘束して、鋭いトゲを私の肌に思い切り食い込ませてきた…!!

「きゃああああああああぁぁ〜〜っ!!」

「フフフッ、嬉しいよ。私からのプレゼントを涙が出るほど喜んでくれてるんだな?」

「ふぅ…んっあ…ひぃ…んっ!や…っ、やめ…て…くだ…さ…い、プリ…ンス…ッ!〜〜あくぅ…っ!?…っふあぁっ!やああぁ…ん…っ!?」


〜〜ダメ…!解こうとして動けば動くほど…、トゲが全身に食い込んで…い…って…っ!!

「くくくっ!とっても可愛いよ、プルート…♪――もっと泣き叫ぶ君も見てみたいなぁ…っ!!」

――パリパリ…ッ!

「…っ!?〜〜いやああああっ!!お願い…っ!それは…やめ…てぇ…っ!!」

「クククク…♪」


私を拘束しているバラの茎から電気が弾ける不吉な音がして、おそらく全身に走るであろう強烈な痛みへの恐怖に顔を歪めながらイヤイヤをする私をタキシード仮面は嬉しそうに見下ろすと…、

――バリバリバリバリィィ…ッ!!

「あひぃ…っ!?〜〜きゃああああああぁぁぁぁ――っっ!!」

バラの茎から黒く、想像していたものより強い電流が流れてきて、私の全身を痛めつけ、痙攣させていく…!!

「ははははっ!!気持ち良くて、よがり狂いたい気分だろう?」

「あががががが…っ!?〜〜あ…っんひぃぃ…っいいっっ!!死…っ死…ぬうぅぅ……」


〜〜麻痺している為、私の意思とは裏腹に体中の穴という穴全ての締まりが悪くなって、力が抜けていくぅ…っ。

「う…は…っぁぁ…ああああああぁぁぁぁぁぁ〜……」

力を振り絞って立ち上がろうとしても膝に力が入らなくて両足はM字に開脚したまま…、私は涙と涎と鼻水を垂らしながら白目を剥いて痙攣すると、やがて…、

――ちょろ…、じょぼぼぼぼぼ……。

「…ム?」

――じょろろろろ…。――シャアアアアアァァァァ……。

「いや…ああぁぁ…。……は…ぁぁ…ん…っ♪」

中途半端に力を入れていた両足の太ももに生温かい液体が伝い始め、私の白いショーツに黄色い染みを作って広げていく…。

「これは…!ははははっ!!まさかギャラクシア様がご覧になっている前で失禁するとは…♪」

「クククッ、しかも戦いの最中だというのに…。セーラー戦士として恥ずかしくないのかっ!?」

「〜〜やあああああぁぁぁ…っ!!おしっこ…っ、止まんないぃぃ…っっ!!見…ない…でぇ…っ!〜〜プルートがお漏らししちゃってるとこぉ…っ、見ないれぇぇっ…!!」


――シャアアアアアアアァァァァァァ……♪

抵抗虚しく、私の黄金色の聖水はショーツを汚すだけでなく、亜空間の黒い地面にも垂れて広がっていく…。

「〜〜いやあぁ…ああぁぁぁぁ……」

「フフフ…♪」「ククク…♪」


タキシード仮面とギャラクシアが私を面白がって蔑んでいる視線がアソコに突き刺さり、強い電流が体中に流れているせいで呂律が回らなくても、必死に自我を保とうとすればするほど屈辱と羞恥心が増していく…。

〜〜衛さんにだけじゃなく、ギャラクシアにまで失禁したところを見られてしまったなんてぇ…っ!

「…ん…っも…もほぉ…ら…め…へ…ぇぇ……」

「――フフ…。よくやった、エンディミオン」

「私はギャラクシア様の忠実なしもべとして生まれ変わりました故…」

「〜〜い…やぁ…。ま…も…るさ……」


――バリバリバリバリィィィィ…ッッ!!

「んぎぃぃ…っ!?〜〜あ…ががががっががぁ…っっ…!!んふ…う…うぅ…ぅ…っ、ま…、ま…も…る…さ……――」

「フフフ…、我々が計画を進める間、ゆっくり休むといい…♪」


苦しむ私をギャラクシアの隣で残酷な微笑みを浮かべて見下ろしてくる衛さんを涙目で見つめながら、だんだんと視界が狭まっていき…、ガク…ッと私はそのまま気を失った…。



「――う…ん……――っ!?」

――ギリィ…ッッ!!

気が付くと、私は先ほど苦しめられた赤いバラの茎で出来たトゲトゲの縄によって手首を拘束され、地面に足がつかない状態で吊るされていた。

「〜〜い…っ、いやああっ!?」

「――お目覚めかな?冥王星のお漏らしプリンセスよ…♪」

「〜〜…っ!!」


先程の屈辱を思い出し、私が目に涙を浮かべた真っ赤な顔で声のした方を睨みつけると、ギャラクシアと彼女より一歩下がって泥人形のタキシード仮面が共に歩いてきて、私に近づいてきた。

「クククッ!捕虜になった気分はどうだ、セーラープルート?」

「〜〜く…っ!私を凌辱するつもり…!?」

「フフフッ、せっかくのセーラークリスタルだ。――出来るだけ最高の状態で取り出したいからなぁ…っ!!」


――ビシィッ!!

「んあ…っ!?」

ギャラクシアとのアイ・コンタクトでタキシード仮面は自分のステッキで私の太ももの裏を思い切り叩いてきた…!!

「〜〜くぅううん…っ」

〜〜い…、痛い…っ!!叩かれた所が真っ赤になって、ジンジンしてるわ…。

「フフフ…、もっとやってやるがいい!」

「…はっ!」


――ビシイイィィッ!!

「きゃああああっ!!」

タキシード仮面は先程より強めに私の太ももの裏をステッキで叩いてきた!

「フフッ、痛いか?プルート…♪」

「〜〜うぅ…んんんぅ…っ。ふぅ…ふぅ…んっ、こ、これくらい…なんてことないわ…っ」


〜〜本当はすごく痛いけど…、耐えなくちゃ…!これくらいの苦しみ、時空の扉の番人をやっていた頃と比べたら…っ!

「……ほう?さすがは孤独な番人…。なかなか我慢強いではないか」

――バシイイイィィィッ!!

「あぐううううぅっ!?」

タキシード仮面は太ももだけでなく、私の背中も今度はステッキで叩いてきた!

「あっははははは…!!叩かれて悶える度に、お前の臭く汚れたショーツが丸見えだぞ…っ♪――そらそらそらぁっっ!!」

――ビシィィッ!!バシィィッ!!ビシィィッ!!バシィィッ!!

「んひいいいいい〜っ!?〜〜いやああああああああぁぁぁぁ〜っ!!」

タキシード仮面は手首のスナップを効かせ、ステッキによる打撃を休むことなく私の体に与え続ける…!!

「ハァハァ…。〜〜も…、もう…やめて…、衛さん…。お願い…っ」

「捕虜の分際で、やめて…だと?くくっ!――『もっとやって下さい、ご主人様』だろうがっ!!」


――ビシイイイイィィィィッッ!!

「あぎゃあああああああああぁぁぁぁっ!!」

今度はタキシード仮面にお尻をステッキで強く叩かれた…!!

「…ほぅ♪ここの方が感度が良さそうだなぁ?」

――グリグリィ…ッッ♪

「え…っ?〜〜いやああああああああ〜っ!!」

タキシード仮面様にステッキの先端と手袋をはめた指をお尻の穴にショーツ越しに無理矢理ねじ込まれ、私は涙と涎をまき散らしながらイヤイヤと首を横に振った。

「っふぁあああああぁぁぁぁ〜…♪やめてぇぇ…!お尻…らめぇぇぇぇ…♪」

「クククッ!この尿まみれのショーツは、もう使い物にならんだろう?私が処分してやる…っ!!」

「…っ!!〜〜い…、いやああ…」


泥人形とは言っても、女性を責めるテクニックや言葉責めは衛さん本人のものと何ら変わらない。

タキシード仮面は私を心身共に責め立てながらニヤッと笑うと、黄色い染みが広がっているショーツを一気に引き裂いた…!!

――ビリビリイイイイイイィィ…ッッ!!

「〜〜いやあああああああああああぁぁ〜っ!!」

「くくくく…。――さぁ、我が愛しのプルートよ。私と君のプレイをギャラクシア様にご覧になって頂こうではないか…っ♪」


ギャラクシアが見ている前で、タキシード仮面の泥人形による私の凌辱ショーが今、幕を開けようとしていた…。


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