サイト設立1周年記念・連続長編小説
「サクラ大戦×コラボ小説
〜時空を超えた英雄達〜」
第1章「狭間を繋ぐ者〜『テイルズ・オブ・シンフォニア』×『サクラ大戦』〜」その4
「――久し振りだね、ジーニアス」
「〜〜ミトス…、君まで甦っていたなんて…」
あどけなかったミトスは大人に成長したユグドラシルの姿となって、かつての親友・ジーニアスと再び対峙している…。
「ミトスって…、劇に出てくる伝説の勇者のかい?」
「あぁ、ミトス・ユグドラシル…。――またの名を『堕ちた勇者ミトス』」
大神の存在に気づいたユグドラシルは首を傾げ、子供の姿になった。
「見ない顔だね…。ジーニアスの新しい友達かい?」
「そ、そうだよ!一郎は君と同じ僕の大切な友達だ…!」
「フフ、君はハーフエルフなのにたくさん友達がいて羨ましいよ。…でもね、全てのハーフエルフが君やリフィルさんのように恵まれてるわけじゃない。ううん、君達以外のハーフエルフは今も世界中のあちこちで迫害を受けて、辛い思いをしてるんだ…。だからね、僕はハーフエルフの悲願を果たすまで倒れるわけにはいかないんだ。きっと、この肉体と魂が再生できたのもマーテル姉様が世界樹に祈りを捧げてくれたからだろうね…!」
「〜〜違うんだ!君が甦ったのはアンジュっていう世界樹の…この世界とは違う世界樹の女王がこの世界を滅ぼしたからで――!」
「…ジーニアス、また邪魔をするつもりなの?〜〜どうしてわかってくれないのさ…?君も僕とアリスと同じハーフエルフなのに…」
「ミトスとアリスもハーフエルフだったのか…」
「えぇ。ミトスはかつて、差別のない世界を作りたいが為に全人類を天使という無機生命体にした千年王国を作ろうと企んでいたの」
「…君の気持ちはわかるよ。でも、その為に他の人を傷つけるなんて間違ってるよ!人間だってロイド達や一郎のような優しい人だっているんだ!!」
「異種間同士の友情と愛なんてまやかしよ!!ハーフエルフはどの種族からも嫌われて、傷つけられてきたわ!…けど、そんな生活も今日でおしまい。ユグドラシル様が復活された今こそ、ハーフエルフの復讐の時なのよ!!」
「これは姉様の願いなんだよ。『誰もが差別されることのない世界』…、想像してみてよ?皆が等しい存在で、感情なんてものも持たないから争いも起こりやしない。その世界に住む全員が一生幸せでいられるんだよ…!?」
「それはマーテルさんの遺言をあなたが歪んで捉えているんだよ!だって、私に乗り移ったマーテルさんの心はそんなこと望んでいなかったもの…!!お姉さんの心の声をあなたも聞いたはずでしょう!?」
「…聞いたよ?でも、姉様はお前の肉体が気に入らなかっただけなんだ。お前が未完成だったせいで、また一から器を探し直しじゃないか…!」
「〜〜ミトス、もうやめるんだ…!!また同じ悲劇を繰り返すつもりなのか!?」
「――言っただろう、僕は何度でもこの選択をするって?」
「あ…っ!」
ミトスは、かえでを磔にしている十字架ごと浮かせて自分の元へ近づけると、満足そうに微笑みながら、かえでの頬を妖しく撫でた。
「かえでさんって面白いマナエネルギーをお持ちですね。まるでこの世界の人間ではないような独特な波動を感じるよ。フフ…、あなたが器になってくれたら、姉さんもさぞかし喜ぶだろうなぁ」
「ん…っ、や…、やめて…っ!」
「かえでさん…!!」
石舞台の階段を駆け上がろうとした大神は殺気を感じ、空を見上げた。
天上から翼をはためかせた無表情の天使の軍勢が襲ってきたのだ…!
「て、天使だと…!?」
「ううん、あいつらは無機生命体に変えられたハーフエルフなんだ…!」
「ククク…、悪いけど、かえでさんは僕がもらうね?」
「〜〜く…っ!――狼虎滅却・一刀両断!!」
「サポートするわ…!――ディバインセイバー!!」
リフィルの雷に撃たれ、天使達は落下して、能力が落ちた。
「サンキュー、リフィル先生!――魔神剣・双牙!!」
「私も行きます…!――裂旋斧!!」
「うふふっ、ここから先は通さないわよ〜♪」
「通販で買った暗黒邪神剣ゴールデン・ドーンの威力、とくと見るがいい!!」
大神達に飛びかかってきたアリスとデクスだが、コレットが歌うホーリーソングを聞くと、頭を押さえながら苦しみ出した…!
「〜〜いや〜ん、力が入らな〜い…」
「〜〜こ…、これが…天使の…歌…声…か…。……パタリ…」
「大神さん、今のうちに…!」
「助かったよ、コレット…!」
「…頼りない部下だなぁ。クラトスとユアンが恋しいよ」
「うおおおおおおおっ!!」
一気に階段を駆け上がって斬りかかった大神だが、ミトスが手中で展開していた魔法の防御壁に防御されてしまった…!が、負けじと大神も真刀滅却を押し続ける…!
「剣の腕はなかなかだね。僕の仲間にならない?」
「〜〜ふざけるな…っ!かえでさんから離れろ…!!」
ミトスはニッと笑うと、再びユグドラシルの姿になって、レーザーを大神に浴びせた…!
「うわあああああっ!!」
「〜〜大神君…っ!」
「一郎…!――インディグネイション!!」
けん玉をやりながら詠唱していたジーニアスの雷の上級魔術は見事ユグドラシルに命中…したように思えた。が…、
「きゃああああああああああーっ!!」
「〜〜あぁ…っ!?」
「残念だったね、ジーニアス。魔術の威力は強くなったみたいだけど」
「あ…あああぁああぁ……あ…ぁぁぁ……」
シュウシュウ煙が晴れて見えてきた、かえではマーテルの衣装がボロボロになるほど傷だらけになり、白目を剥きながら背中を仰け反って、体を痙攣させていた。
ユグドラシルは落雷する直前に十字架を移動させ、かえでを盾にして雷を代わりに浴びせていたのである…!
「〜〜かえでさああんっ!!」
「さすが姉様の器となる肉体だね。あれほどの上級魔術を受けても絶命しないなんて驚きだよ」
「ひっは…ああぁぁ…きゃあああっ!?〜〜あぎゃ…ぎゃああああっ!!やめ…てぇぇ!!さっ、触らないでぇぇ!!」
「〜〜やめろ…!!かえでさんに何をするつもりだ!?」
「安心して。――痛く感じるのは始めだけさ…!!」
ユグドラシルは手を前にかざすと、大神達にタイムストップをかけた。
「〜〜しまった…!時間を止められたわ…」
「〜〜か…、体が動かない…!?」
「フッ、所詮人間の力なんてハーフエルフには及ばないのさ」
「ユグドラシル様、格好良い〜!!」
「フフ、無様だこと♪そこでおとなしくマーテル様の復活を見てなさいね」
「〜〜やめなさい!ミトス…!!」
「〜〜もう…やめてよぉぉっ!!」
「た…す…けて…、大…神…く…ん……」
「かえでさん…!!〜〜く…っ!かえでさあああーん…っ!!」
「フフフ…、その格好をしていると本当に姉様に見えてくるよ…」
ユグドラシルはアリスが奪った記念祭のペンダントから宝石を取り出すと、かえでの胸に押しつけた。すると、宝石はかえでの肌に吸い寄せられるように寄生した…!
「あがぁ…っ!?〜〜い…っ、いやあああああああ〜っ!!」
「クククッ、待っててね、姉様。今、その大樹から解放してあげるから…!」
ユグドラシルが宝石に指を乗せてマナエネルギーを注入すると、かえでに寄生している宝石は、かえでのマナエネルギーを奪って成長していく!
「やああっ!!いやああああああ〜っ!!やめてぇぇぇ〜っ!!」
「かえでさん…!!〜〜かえでさあああんっ!!」
「〜〜やめろぉぉっ!!」
「フフフ…、ほぉら、天使化が始まったよ?」
「あ…ああああぁぁぁぁぁ…」
虚ろになった瞳から涙が頬に伝うと、かえでの背中から七色の天使の羽が生えた。極度の色彩明度の高低差が十字架の黒を一層引き立てている。
「天使化だって…!?」
「まさか、ペンダントに使われていた宝石はクルシスの輝石だったの!?」
「〜〜そうか…。だから、アリスはペンダントを狙って…」
「フフ、一気に仕上げといこうか…!」
目の焦点が合わずに開いたままで失神しているかえでのマナエネルギーをさらに宝石に注入しようとユグドラシルが構えたその時だった…!
「――風刃縛封!!」
漢字のような文字が書かれた何枚ものお札がユグドラシルを囲むと、風の力で浮かして、かまいたちの結界の中で動けなくさせた…!
「体が動く…!」
「ユグドラシルの術が解けたんですね…!」
「あぁ〜ん、ユグドラシル様がぁ〜」
「〜〜ア、アリスちゃん…、あの技って、もしかして…!?」
「――ロックブレイク!!」
「きゃああ〜っ!!」「うわああ〜っ!!」
その直後、アリスとデクスの真下から岩の塊が生えてきて、二人は石舞台から飛ばされた…!
「く〜っ!俺様、格好良い〜♪俺様、いっちば〜ん♪」
「調子に乗るんじゃないよ、アホ神子!」
目の前に着地したくノ一のような風貌の女性と赤髪の美青年に大神は不思議そうに顔を上げた。
「き、君達は…?」
「ゼロス、しいな…!来てくれたのか…!」
「いっやぁ〜、探したよ〜、ロイド君♪」
「イセリア村にいなかったから、ここだろうと思ってさ」
「――まったく、君達には興ざめしてばかりだよ」
ユグドラシルはしいなの風の呪縛を消すと、指を鳴らして十字架からかえでを降ろし、寝かせるように宙に浮かせた。
「かえでさん…!!」
「儀式の続きはイセリア人間牧場でやることにするよ。君達も招待するよ、姉様が目覚める歴史的瞬間に立ち会ってもらいたいからね」
「人間牧場ですって…!?」
「あ〜ん、ユグドラシル様ぁ、アリスちゃんを置いていかないで〜♪」
――ぎゅむっ!!
「あぁ〜っ、アリスちゃ〜ん…!もっと背中を踏んで〜♪」
「〜〜待て…っ!!」
大神が真刀滅却を薙ぎ払う直前に天使の羽を生やしたユグドラシルは、かえでをお姫様抱っこで抱えながら空を飛ぶと、そのまま瞬間移動した。
「ちっ、逃がしたか…」
「すぐにイセリアへ戻ろう!」
「〜〜くそ…っ、かえでさんを器にさせてたまるものか…っ!」
「――ね〜ね〜、さらわれたダイナマイト・セクシーお姉様ってお前のカノジョ〜?」
「〜〜ダ、ダイナマイト…?…あぁ、かえでさんは俺の恋人だが…?」
「ならさ〜、あのお姉様のスリーサイズ知ってるはずだよね〜♪俺様に教えてくんな〜い?」
「〜〜は…?」
「〜〜あんたって奴は…っ!!」
――ドスッ!!
「ぐほああっ!!」
「〜〜な、何なんだ…、いきなり…?」
「〜〜気にしないで。いつものことだから」
「……緊張感、ぶち壊しです…」
「でひゃひゃひゃっ!んも〜、しいなったらヤキモチ妬いちゃってさ〜♪」
「〜〜んな…っ!?だっ、誰があんたみたいなアホ神子なんか…っ!馬鹿なこと言ってないで、さっさと行くよ!?」
「でひゃひゃひゃひゃっ♪」
「――こっちだ〜!テセアラの神子が奇襲をかけてきたぞ〜!!」
「出あえ、出あえ〜!!」
「…おりょ?」
「な、何だい…!?」
すると、鍬や鋤を構えて武装したアスカード町民達の自警団がゼロスとしいなを取り囲んだ…!
「…あ〜らら。熱烈な歓迎だこと。嬉しくて涙出るね〜」
「な、何のつもりだい…!?」
「お前らの魂胆はわかっているぞ!シルヴァラントの世界統合記念祭の出席という名目で開催を邪魔しに来たんだろう!?」
「さては先程の騒ぎも、お前らの差し金だな!?」
「あわよくば、シルヴァラント領を占領するつもりなんだろう!?」
「白状しろ!テセアラの神子め!!」
「何だと…!?確かにゼロスは女ったらしでヘラヘラしてるし、前に俺達もすんごい裏切られ方したことがあったけど、根は良い奴なんだぞっ!?」
「〜〜フォローあんがとね、ロイド君…」
「どうして、あなた達はテセアラ人をそういう見方でしか見られないんです?この二人はアスカードの街を助けてくれたんですよ!?」
「おい、あの男、テセアラ人をかばったぞ…!」
「ここら辺じゃ見かけない顔だ。どうせあいつもテセアラ人なんだろうよ」
「シルヴァラント人だろうがテセアラ人だろうが、今はそんなことどうでもいいだろ!?」
「〜〜そこをどいて下さい!私達はさらわれた仲間を助けに行かなくてはいけないんです…!!」
「ケッ、シルヴァラントの神子の言うことなんて、もう聞かねぇよ!マーテル教会と組んでシルヴァラントを弾圧してるくせによぉ!!」
「えっ!?」
「……それはヴァンガードが流したデマです。コレットさんはそんなことをやっていません…!」
「……やれやれ。シルヴァラントとテセアラの神子に楯突こうもんなら、世界統合前なら打ち首必至だったろうに…。時代は変わったねぇ…」
ゼロスは前に歩み進むと、鍬を構えていた女性の頬に徐に手を添えた。
「な、何するの…!?」
「おぉっ!ゼロスが何か行動に移したぞ…!!」
「きっと、すっごい作戦を思いついたんだね!」
「〜〜僕はあまり期待しないでおくよ…」
「くっ、お、女だからって甘く見てると痛い目に遭うわよ――!?」
「フッ、強がっちゃってか〜わいい♪――可愛い娘がこんな物騒な物持ってちゃダメだぜ、ハニー?」
「ま、まぁ…♪」
「〜〜ズル…ッ!やっぱり、そっちかよっ!!」
「〜〜きゅ、急に何だ、あいつは…!?」
「〜〜気をつけろ…!?油断させて、怪しい術を掛ける気かもしれん…!!」
「あはははっ、術…ねぇ。ま、俺様の美しさはある意味妖術だよなぁ♪」
「〜〜こんのアホ神子がぁ…っ!いいかいっ!?私らはシルヴァラントとテセアラの橋渡しをする親善大使として派遣されてきたんだ!今夜だって記念祭の式典にテセアラ代表で出席する為に来たんだからねっ!?ナンパしに来たんじゃないんだよ!?」
「だって〜、シルヴァラントにも可愛い娘がたっくさんいるからさ〜♪ハニー達には挨拶しておかないと失礼じゃん?」
「…ゼロス君、最低です」
「あ〜ん、怒っちゃいや〜ん。プレセアちゃ〜ん♪」
「〜〜この状況でふざけられるって…、ある意味大物だな…」
「〜〜おかしな戦術で攪乱させよってぇ…!――ええい!記念祭を阻害した罪でお前ら全員、牢屋にぶち込んでくれるわっ!!」
「ひっとらえよーっ!!」
「おーっ!!」
リーダー格の命令で、町民達はわあっとロイド達に襲いかかった…!
「えぇっ!?何で俺達まで…!!」
「〜〜ほら見ろ!あんたのせいで事態が悪化しちまったじゃないか!!」
「うん!今のはゼロスが悪い!!」
「〜〜そんなぁ〜、コレットちゃんまでぇ〜」
「〜〜う…っ!こんなことをすれば、テセアラ王が黙っていないと思うけれど!?」
「これ以上、シルヴァラントとテセアラの関係が悪化したら戦争になるぞ!?」
「上等だ!この際、とことんテセアラと戦ってやるっ!!」
「〜〜わ…っ!皆、やめてよぉ!!僕達の話を聞いてー!」
「うるせぇ!クソガキ!!――まずは神子とミズホの民を確保しろー!!」
「おーっ!!」
「〜〜うわあっ!!」
「ジーニアス…!」
「へ、平気…。こんなのかすり傷だよ…」
突き飛ばされたジーニアスを見て、プレセアは自警団を睨むと、怒りの炎を瞳に秘めながら斧を強く握り、近くにいた町民達の鍬や鋤を次々に払い飛ばした…!
「プレセア…!?」
「――下がって下さい…。仲間を傷つける人は許しません…!」
「〜〜ひいいっ!!こいつ…、ちびのくせに強ぇぞ…!」
「〜〜皆、落ち着けって…!今日は年に一度の記念祭だろ!?」
「ロイドの言う通りだ!今日はシルヴァラントとテセアラが一つの世界になった記念日じゃないのか…!?〜〜なのにこんな不毛な争いをして…!」
「調子いいこと言いやがって…、どうせお前もテセアラのスパイなんだろ!?」
「誰に命令された!?そこにいるテセアラの神子か!?」
「違う!頼むから俺達の話を聞いてくれ…!!」
「〜〜ちっ、これじゃあ埒が明かないね…!」
しいなは煙幕を投げ、自警団が動揺している隙にシルフ三姉妹を召喚した。
「――出でよ!シルフ…!!」
しいなはシルフの風で自分達の体を舞い上がらせて風の絨毯を作ると、アスカードから脱出した…!
「〜〜けほっけほ…っ、待て〜っ!!」
「逃げる気か!?卑怯者〜!!」
「王からの親書を渡さないといけないから、また後で来るよー!それまで頭を冷やしておきなー」
「…煙幕を持っていたのなら、最初から出しておいてほしかったわね」
「〜〜い、いいだろ!?脱出できたんだから文句言うんじゃないよっ!」
「これって妖精かい…?」
「いいや、こいつらは私が契約を交わしている風の精霊・シルフさ」
「しいなはね、符術士でもあって召喚士でもあるんですよ」
「召喚士か…!まるでゲームの世界だな」
「お前達、イセリアまで頼んだよ!」
「わかりました」「おう!」「りょ〜かいっ♪」
「プレセア、大丈夫…?」
「……すみません…。取り乱してしまいました…」
「ううん。プレセアが言ってくれたこと…、僕、すっごく嬉しかったよ…!」
「ジーニアス…」
「はは、可愛いカップルだな」
「〜〜くぅ〜!ガキんちょなんぞに負けてたまるか〜っ!!――コレットちゃ〜ん!俺様の天使ちゃ〜ん♪ちょっと見ない間にますます可愛くなったね〜♪」
「え?〜〜そ、そかな…?」
「ゴージャス・ウルトラ・クールビューティーのリフィルお姉様〜、氷の女王様っぷりにますます磨きがかかって〜♪」
「……静かにしてないと、舌噛むわよ?」
「あ〜ん、二人ともつ〜れ〜な〜い♪照れなくていいんだって〜♪俺様と再会できて本当は嬉しいくせに〜♪でひゃひゃひゃっ!!」
「〜〜……」「〜〜……」
「ゼロス、前向けよ!ちゃんと座ってなきゃ危ないだろ?」
「あ〜っ!ズルいぞ、ロイド君!!さてはコレットちゃんとリフィル様を独占するつもりだな〜!?」
「〜〜何で話がそうなるんだよ…」
「君はゼロスっていうんだね?俺は大神一郎。よろしくな」
「…あっそ。野郎の名前なんてどうでもいいわー」
「〜〜何なんだろう…?この扱いの差は…」
「俺、野郎の隣なんて嫌なんだけどー?ロイドく〜ん、俺様と席代わってよ〜♪」
「〜〜わっ!離せって、ゼロス…!!危ないだろ!?」
「〜〜うわっ!ロイド、俺まで巻き込むなって…!!」
すると、呆れたしいながシルフのスピードを上げたので、騒いでいたロイド、ゼロス、大神の男3人は一斉に前のめりになった。
「〜〜いってぇ〜!!舌噛んだ〜!!」
「〜〜何で俺まで…」
「…わふっ!?」
「きゃっ!?ロ、ロイド…!」
ロイドだけはリフィルの大きな胸に顔を埋められたので、それがクッションとなって無傷で済むことができた。
「あ…。ご、ごめん、リフィル先生…」
「ふふ、ロイドじゃなければ魔術でおしおきしているところだけれど」
「あ〜っ!いいな〜いいな〜、ロイドく〜ん!!何、そのラブコメチックな展開はよ〜!?」
「〜〜ったく…、男って奴は…」
「〜〜はうぅ…。私の胸もおっきくならないかな…?」
(〜〜ははは…、これから戦いに行くというのに呑気でいいな…)
「――え…?ちょ、ちょっとロイド…!あれを見て…!!」
「ん…?どうしたんだ、ジーニアス?――!!」
「あれは…!!」
風の絨毯から身を乗り出したロイド達は目を見開いた…!
イセリア人間牧場の近くにあるロイド達の故郷・イセリア村。その一帯が真っ赤な炎に包まれていたのだ…!
「イセリア村が…!!」
「〜〜燃えている…!?」
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