「あやめママのお誕生日会」
(大神×かえで、なでしこ&ひまわり&誠一郎)
作:nicky様



「――あやめ姉さんの誕生日会?」

「はい。毎年7月31日は何かしらの公演と重なってますよね。でも、今年はちょうど休演日です。せっかくだから豪勢に開いてあげたいねって子供たちと話し合っていたんです」

「ママのお誕生日会、やってもいいでしょう!?かえでおばちゃん」

「そうね。あやめ姉さんも喜ぶんじゃないかしら」

「やったぁ〜!ケーキはチョコで決まりね〜!!」

「勝手に決めちゃダメだよ。ひまわりの誕生日会じゃないんだから」

「うるさいな〜!誠一郎は黙ってなさいよ!!年下のくせに生意気なんだから〜」

「ぐすっ、年下っていってもほんの数時間じゃないかよぉ…」

「それでも年下なのに変わりないでしょ!?年上のひまわりにたてつこうなんて100万年早いんだからねっ!!」

「うわ〜ん…!!父さ〜ん、母さ〜ん、ひまわりがイジメるよ〜」

「コラコラ、男の子が女の子に泣かされてどうするの?」

「かえでおばちゃんの言うとおりよ!まったく弱っちいんだから…。ボケッとしてないで麦茶つぎなさいよねっ!?」

「え〜ん…!!」

「ひまわり!誠一郎をいじめたらかわいそうだろ?」

「ふーんだ。それよりママのケーキ買いに行こ〜よ!」

「その前に、さくらお姉ちゃんたちも誘いに行きましょうよ」

「それいいね〜!どうせだったらサプライズパーティーにしよ!」

「おもしろそうだね〜!父さんと母さんもあやめおばちゃんには内緒だからね?」

「はいはい」

「あ、そうだわ。3人で『お誕生日おめでとう』ってお手紙でも書いてあげたら?」

「あ〜!それ、ひまわりが言おうと思ったのに〜!!」

「画用紙とクレヨン、部屋にあるから持ってくるわね」

「ありがと〜、なでしこ」




なでしこ、ひまわり、誠一郎は小さな体でテーブルに向かい、あやめ姉さんへ渡すバースデーカード作りを始めた。



「暑い日でも元気ですね。子供たちは」

「ふふ♪そうね。親の誕生日をお祝いしようって考えてくれる歳になったなんて…。子供の成長は早いわね」

「そうですね。性格はバラバラだけど、3人とも優しい子に育ってくれてうれしいです」




クレヨンを奪い合うひまわりと誠一郎。ケンカをやめさせようとするなでしこ…。

愛くるしい子供たちを親である私と大神くんは優しく見守っている。

異母姉弟だけど物心つく前から一緒に暮らしているので、5才になった今では本物の姉弟と言ってもいいぐらいに一緒にいることが当たり前になっている。

今では私自身も実子の誠一郎だけでなく、あやめ姉さんの双子の娘のなでしことひまわりも自分の子供のように思えるようになっている。



「――あやめさんのお誕生日会?」

「そうなの!今日の6時からね、サプライズパーティーするんだよ!!」

「さくらお姉ちゃんたちもパーティーに参加していただけませんか?」

「もちろんよ。お誕生日会って楽しいものね」

「料理と飾りつけは私たちでやっておくから、あなたたちはかえでさんとケーキを買ってきてくれる?」

「は〜い!」

「ほんなら、うちは『えんかいくん(改)』の調整をしておきまひょ」

「あたいはマリアと一緒に料理だな。――すみれ、お前も何か手伝えよ」

「しかたありませんわねぇ。では、わたくしは資生堂パーラー風のハヤシライスでも…」

「ぎゃ〜!!すみれさんに料理をまかせてはダメで〜す!!さくらさんとおとなしく楽屋の掃除でもしてるといいで〜す!!」

「何ですってぇ!?トップスタァのわたくしにほこりまみれになれとおっしゃりたいのっ!?」

「子供の前で喧嘩はやめなよ。…僕は何をすればいい?」

「えっと、レニお姉ちゃんは飾りつけをお願いします」

「わかった」

「それ、アイリスもやっていい〜!?」

「もっちろん!ひまわりと一緒にやろ〜!!」

「うんっ!やろ、やろ〜!!」




舞台に戦闘にと頑張る花組のお姉ちゃんたちを見て、協力することの大切さを学ぶ日々。

毎日毎日少しずつ、確かに子供たちは成長しているのだ。



「――ケーキがいっぱいねぇ。どれにしましょうか?」

「んとね〜…」




なでしこ、ひまわり、誠一郎はケーキ屋のガラスケースにへばりついて、たくさんのケーキを見比べている。



「やっぱり、お誕生日ケーキといえばショートケーキじゃないかな?」

「え〜!?チョコケーキって決めてたじゃ〜ん!!」

「だから、それはひまわりの好みだろ?」

「ひまわりがいいって言ったものはママも喜んでくれるの!だから、いいの!!」

「こら!喧嘩しないってお約束は?」

「はぁい…」「はぁい…」

「ふふ♪よろしい。なでしこはどれがいい?」

「う〜ん、どれもおいしそうで迷っちゃうわね…」

「なら、ここに並んであるのぜ〜んぶ買っちゃお〜よ!」

「それ、いいね〜!ね〜母さん、いいでしょ〜?」

「ダメよ。全部なんて食べきれるわけないでしょ?」

「カンナお姉ちゃんがいるから平気だよ〜!」

「ね〜、お願いだよ。母さ〜ん」

「もう…。ひまわりと誠一郎は変なときだけ意見が合うんだから…」

「じゃあ、いちごとチョコの小さいのを買っていったらどうですか?」

「なでしこ、グッドアイディア〜!」

「はいはい。わかったわよ…」

「やったぁ〜!」「やったぁ〜!」「やったぁ〜!」




帰り道、私は子供たちの小さな手を握る。

何か月か前に花やしきでつないだときよりも大きくなっているような気がする。

親の気づかない間に成長しているなんて…うれしいような、さみしいような……。



「――お父さん、ただいま〜!」

「あのね、母さんがいちごとチョコの両方買ってくれたんだよ〜!!」

「ははは、そうか。それはよかったな」

「みんな〜、飾りつけ終わったわよ〜!」

「それじゃ、お母さんを呼んできましょうか」

「ひまわりが行く〜!」

「僕も〜!」

「私も〜!」




そうやって少しずつ、少しずつ…。



「子供たちったらあんなにはしゃいじゃって…」

「きっとお母さんの誕生日を祝うよりケーキを食べるほうが楽しみなんでしょうね」

「ふふふ♪やっぱり、まだまだ子供よね」




でも、きっと来年の今ごろはもっと成長していることだろう。

親の私たちが想像するよりお姉ちゃんっぽく、お兄ちゃんっぽく…。

頭がいいとか容姿がいいとか、そんなことよりも心の痛みがわかる優しい人間に育ってくれれば私はそれでいいんだけれど…。



「――あやめママ、お誕生日おめでとう〜!!」

「ありがとう。お母さん、とってもうれしいわ♪」




無限の可能性を秘めた子供たち。

この子たちの笑顔がずっと続くように帝都の平和を守っていかなければと私は大神くんとあやめ姉さんと心に誓った…。





nicky様から頂いた、心温まるあやめさんのお誕生日記念小説です!
子供達の成長を喜び、優しく見守るお母さんのかえでさん♪
なでしこ、ひまわり、誠一郎のキャラを崩さずに丁寧に描いて下さって、どうもありがとうございます!!
あやめお母さんのお誕生日を祝おうと一生懸命頑張る子供達がとっても可愛いですね♪
大神さんと藤枝姉妹の箱根温泉旅行編のブログ小説も力作で素晴らしく、とっても感動しました!!
また他の観光地編も読んでみたいな〜と思いました♪
nicky様、お疲れ様です!素敵な作品もどうもありがとうございました!!

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